映画 さよなら私のクラマー First Touch


監督 宅野誠起
声の出演 島袋美由利  若山詩音  土屋神葉  内山昂輝  逢坂良太  白石涼子  遊佐浩二
脚本 高橋ナツコ
原作 新川直司
音楽 横山克
編集 吉武将人
2021年作品 104分
好き度☆☆☆★


すっごい、いいじゃない!

テレビ版で盛り上がれなくて、映画で100分以上やんの〜? と期待してなかったが。泣いたし笑ったし感動した! とツイッたね!

まあ、なんも期待してないという前提が、「いいじゃない!」を生みがちなのは、よくあることだが、映画というある程度の長さでひとつにまとめたものの良さが出たと思う。
テレビ版にありがちな時間制約(と予算制約?)からの解放を含めた作り手の思いのたけが込められ、観る方にも集中と感動をもたらすのではないか。

テレビ版は高校生時代だが、映画は小学生から始まって、メインは中学のサッカー部。
ヒロインの恩田希は、男子の中に交じってサッカーをする。
女子サッカー部があれば、そっちに行ったのだろうが、中学生になって男女の体格差、体力差の問題が彼女の前に立ちはだかる。
彼女が監督にアピールしても、監督は指導者の立場上、けがや故障をさせるリスクはおかせない。

才能があっても埋もれる、飼い殺し状態は気持ちが鬱屈してくる。が、あの手この手で監督を懐柔しようとするあたりでは笑わせる。
テレビ版は、どうも乗れない展開が多かったのだが、映画版はそんなことがない。
試合に出られない恩田がとった手段は、ばれたらチームが負けになるだろう、というか、普通、ばれるんじゃないの? というものだが、きっと、それでもいいのだと思わされるくらい、彼女が試合に出ると夢が広がる
ファンタジスタという言葉を思い出す。

でも、夢みたいなことは起きない。彼女は最終的には、男子の当たりに倒される。事実は事実として描くことが真摯な姿勢だ。
男子と互角には戦えずに試合に出られない中学生時代を送った恩田が高校に入ったあとは…これがテレビ版なのである。

〔2021年6月20日(日) 新宿バルト9〕


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