シャンハイ・ナイト

SHANGHAI KNIGHTS
監督 デビッド・ドブキン
出演 ジャッキー・チェン  オーウェン・ウィルソン  ファン・ウォン  アイダン・ギレン  ドニー・イェン  トム・フィッシャー  アーロン・ジョンソン  ジェマ・ジョーンズ
脚本 アルフレッド・ガフ  マイルズ・ミラー
撮影 エイドリアン・ビドル
音楽 ランディ・エデルマン
編集 マルコム・キャンベル
2003年 アメリカ作品 114分
評価☆☆☆

招待券をもらって観に行った。
映画の内容についての情報は、ほとんど調べていなかった。つまり、あまり興味はなかったわけだが、券を無駄にするよりは、とにかく観てみようか、という程度の気持ちだった。
で、結果は、観ているぶんには、充分に面白かった

前作の「シャンハイ・ヌーン」を観ていないと分からないところがあるかな、と思ったが、その心配はなかった。前回が「ヌーン」だから、今回のタイトルにある「ナイト」は「夜」のことかと思っていたら、「騎士」の意味だった。舞台がイギリスだから納得だ。

ジャッキー・チェンを好きな人は大勢いるが、私は特別に好きということはない。
昔から、カンフー映画は、ろくに観ていなくて、せいぜいブルース・リーの映画を観たくらいのものだ。
さて、そこで映画を観てみると、ジャッキー・チェン、さすがである。
「いろいろな小道具を使った、細かくピシッピシッとパズルのように決まる、コミカルなカンフー技」が、面白い。誰にも真似できない芸術の域である。

コート、はしご、壷、回転ドアなど、手近にあるものを何でも使ってみるようなチャレンジ精神は素晴らしい。
傘を使ったときには、「雨に唄えば」のメロディが流れて、ジーン・ケリーの真似をしたりして、観ていても楽しい。

ジャッキーの人の良さそうな笑顔は実にほのぼのとしていて、子ども連れの一家が、揃って安心して観ることができるような映画を作ってくれるのを保証してくれるイメージ。
そういう意味では、無難な映画だなあという気はするのだが、それがジャッキーの持ち味ということなのだろうか。

相手役のオーウェン・ウィルソンも、まあまあか。
私は「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」で、彼を見ているはずなのだが、あの映画では、どんな演技をしていたのか、すでによく思い出せない。物覚えが悪くなってきたのは老化現象であろうか(爆)。いやいや、映画は1回観ただけでは、そんなにはっきりと覚えていられない。ましてや、次から次へと新しい映画を観ているのであれば、よっぽど素晴らしい映画でなければ鮮明に覚えてはいないだろう(と自己弁護したりして)。
オーウェンは、「ザ・ロイヤル〜」で、脚本も書いていた人なのだ。才人なのである。

本作では、ジャッキーと、いいコンビを組んでいた。ジャッキーの復讐のために、わざわざイギリスくんだりまでやってきて力を貸す、とてもいいヤツ。
というか、面白いことが好き、冒険好きなのだった。危ない目にあった後でも、「おまえと一緒にいると楽しいよ」なんて言ってたからね。

ジャッキーの妹役のファン・ウォンは初めて見たが、可愛いです。(え? あんたは、誰でも可愛いと言ってるって? そんなことないです。断言。)
ちょっと細長型の顔だけど。
彼女はシンガポール生まれ。すでに、モデル、歌手、女優として活躍しているという。すごいんだね。

そうそう、映画のストーリーを少し書いておきましょうか。
中国皇帝のしるしである「龍玉」の守り手であるジャッキーの父親を殺し「龍玉」を奪った敵を追って、息子のジャッキーと相棒のオーウェンとジャッキーの妹が、1888年のロンドンへ行く、というもの。

ジャッキーの役は、名前がチョン・ウェンで、オーウェンがそれをもじって「ジョン・ウェイン」と呼んだりする。また、コナン・ドイルやチャーリー・チャップリンのデビュー前?のキャラクターが出て来たりして、脚本も遊んでいる。そういえば、ビクトリア女王まで出てきたし。

映画を観るまで知らなかったのだが、「HERO」での戦いが印象的だったドニー・イェンが出ている。
悪党の役で、最後はジャッキーと戦う。出番自体が少ないのでジャッキーとの戦いも短めだが、見応えはあった。どちらが勝つかの結果は分かりきっているが、その決着のつけ方は、なかなかユーモラスというか、笑えるものだった。ドニー・ファンは怒るか?

ラストは、大時計の建物内での剣戟があるが、ジャッキーはいまにもやられそうなピンチ。
ここで、さっさと決めないで、余裕を見せて遊んじゃうのが、敵の命取りなのだ。よくあるね、こういうのは。弱い敵でも全力で仕留めよ! これが教訓である。ためになる映画だなあ。

ジャッキー映画ではお馴染みらしい、NGシーンが最後についている。
アクションの失敗場面は、ああ、なるほど、うまくいかないと、こうなるのか、と見ていて面白い。
ただ、もしかしたら狙ってやっているのかもしれない、と思われるNGもあった。
映画のたびに毎度NGシーンをつけるとなれば、映画製作中から、面白いNGを作りたいと考えてしまうのは仕方がないことかもしれない。
普通にやっていてNGがなければNG集をつけなければいいよ。
わざとNGを作っていないよね、頼むよ、ジャッキー。
〔2003年11月29日(土) 上野東急2〕


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