キル・ビル Vol.2

KILL BILL Vol.2
脚本・監督 クエンティン・タランティーノ
出演 ユマ・サーマン  デビッド・キャラダイン  ダリル・ハンナ  マイケル・マドセン  パーラ・ハーネイ=ジャーディン  ゴードン・リュー  マイケル・パークス  ボー・スベンソン  サミュエル・L・ジャクソン
撮影 ロバート・リチャードソン
編集 サリー・メンケ
音楽 RZA  ロバート・ロドリゲス
2004年 アメリカ作品 136分
サターン賞…アクション、アドベンチャー、スリラー作品・助演男優(デビッド・キャラダイン)・助演女優(ダリル・ハンナ)賞
評価☆☆★

期待をはずした。
「キル・ビルVol.1」の、ぶっとび加減が頭に残っていると、裏切られる。前作とは明らかに印象が違うのである。
今回は、マカロニ・ウエスタンとカンフーにオマージュを捧げたともウワサに聞いているが、はっきりとした元ネタ映画はなかったのではないだろうか。マカロニ・ウエスタンやカンフーには、それほど詳しくないのだが。(あ、そういえば、棺桶を引っ張ったガンマンが主人公のマカロニ・ウエスタンがあったような…。)

映画は、かなり、ビル(デビッド・キャラダイン)とザ・ブライド(ユマ・サーマン)の間の愛情関係に力を入れて描いていたが、私が求めていたのは、それではなかったのだ。「Vol.1」のような、とんでもないハジケた痛快さを、再び観たかった。だから期待をはずしてしまったのだ。
ザ・ブライドが、かつて愛したビルまでも、ノリ一直線でやっつけてしまっては、さすがにイカンだろうとタランティーノは考えたのかもしれない。
そこで、ドラマを持ってきた
タラちゃんの映画は、やたらに長く、くどいセリフにも面白みがあることが多い。だからそれを否定するわけではないが、重ねて言うが、「Vol.1」のノリを観たかったのだ。
今回はセリフが多いと感じたのも、そのせいで、この続編もアクションで押すのだろうという予想を覆すから、とくにビルの喋りの部分は、観ていて、ちょっと疲れる気分にもなった。なかなかいいこと言ってるなんてことは関係ない。

つまりは、印象の違う2部作に分けたことで、私には「Vol.2」は普通の映画に成り下がったように思えたのだ。たとえ「Vol.2」がドラマとして見応えがあったとしても、そんなことは関係ない。
スローなペースになっては詰まらない。

もし、これを1本にまとめていたら、どうだっただろうか。最後のビルの場面でトーンダウンはするが、私には、2本に分けるよりは面白く観られたような気がする。
もし、1本にするのに少し短くするなら、まず、「Vol.2」での教会のシーンを切る。この場面はビルとザ・ブライドの関係を説明したものだが、「Vol.1」ですでに教会での出来事は描かれているから、あえてカットする。
他にもサクサクとカットを入れていけば、まとめて3時間半くらいにはならないか? なったとしても、やはり映画会社としては長すぎる、と難色を示すのだろうな。
それに、1本にしてみて全体に統一感があるのかどうか、という問題も出てきそうではある。

前作でザ・ブライドは5人のうち2人を殺った。残りは3人。
まずビルの弟バド(マイケル・マドセン)が標的。バドは西部劇の舞台のような荒野で1人、トレーラー暮らしをしている。
ザ・ブライドは復讐して当然だ、おれたちは殺されて当然だ、と殊勝なことを言っているのが意外。
だが、その腹の中はどうなのか、と思いつつ、ザ・ブライド対バドの戦いは予想外の展開に
映画が気に入らないとなると、この場面からして気に入らなくなってくる。
どうしてバドは○○○○(ピー音)を××××××(ピー音)で△△(ピー音)かな。
簡単に※※※※(ピー音)せばいいものを。

それに比べると、エル・ドライバー(ダリル・ハンナ)は情け容赦ない。ザ・ブライドとの一騎打ちも最高だが、エルの性格の悪さは天下一品だ。
「キル・ビル」世界の女は、例外なく、絶対に、男よりも強い。
ビルも、心の底ではザ・ブライドに殺られたがっているように思える。
男は女を崇めるのだ。

「Vol.1」で、ピー音で消されていたザ・ブライドの本名が今回判明する。だが、なぜ前作で消されていたのか、よく分からない。聞いた話では、ある〓〓〓(ピー音)のキャラの名前だとか? 有名なのだろうか。

そして、子役。可愛い。彼女の名前が、introducing(紹介します)と書かれて、エンドクレジットで大きく出ている。
彼女は、「仄暗い水の底から」のハリウッド版リメイク“Dark Water”(ジェニファー・コネリー主演)に出演しているらしい。ジェニファーの娘役か、幽霊役か、どっちだろう?

「Vol.1」でザ・ブライドによって悲惨な負傷を負わされたソフィ(ジュリー・ドレフュス)は、今回まったく出てこなかった。まだ入院中だったのだろうか…。

エンドクレジットには、「Vol.1」の出演者も合わせて紹介されて、懐かしさとともに、やっぱりまとめて1つの映画なんだよ、と主張しているように思えた。

〔2004年4月25日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕


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