5人の伝説の女優 写真展


このテキストは、2002年12月23日に日記に書いたものを転載、追記したものです。

銀座のミキモト本店で、「5人の伝説の女優たち〜Legend of Beauty〜」展を見た。

ホールの入口から展示順に、イングリッド・バーグマン、ヴィヴィアン・リー、オードリー・ヘップバーン、マリリン・モンロー、グレース・ケリー。

おばさんたちが「きれいねー」「同じ人間とは思えないわ」などと感想を言いながら見ている。(笑)


イングリッド「汚名」「カサブランカ」などの写真や、スウェーデン映画に出ていたときの写真もある。「さよならをもう一度」の写真もあったが、このときは40代半ばで、他の写真と比べると、少し年齢を感じてしまう。写真は全部で18枚、そのうちポートレートが2枚あった。
彼女のイメージは、高貴で頭がよくて芯も強そう(夫や娘を捨てて、ロベルト・ロッセリーニ監督のもとに走ったくらい、恋多き女でもある)。私はとても好きな女優さんだ。
スウェーデン出身だから、イングマル・ベルイマン監督の名前と同じく、本来の彼女の名前はベルイマンと読むのではないだろうか。
私はとくに、マイケル・カーティス監督の「カサブランカ」、ジョージ・キューカー監督の「ガス燈」、アルフレッド・ヒッチコック監督の「白い恐怖」「汚名」の頃の彼女が好きだ。


ヴィヴィアンは「目」だ。ぱっちり大きい目が印象的。
本当に「美人」という言葉がぴったりな人だ。ちょっと冷たそうではあるけれど、燃え上がったら大変だぞ、というイメージも。晩年は精神不安定で不遇に亡くなったと聞くが、やはり彼女には自分でも制御しがたい激しい内面があったのかもしれないという気がする。
「風と共に去りぬ」「哀愁」などの写真がある。「欲望という名の電車」も1枚あった。彼女はこの3本の映画だけでも、映画史に永遠に残る。写真は17枚、そのうち、ポートレートは1枚。


オードリーは「太い眉毛」。これが何といっても印象的。「ティファニーで朝食を」「麗しのサブリナ」「昼下がりの情事」「パリで一緒に」「マイ・フェア・レディ」の写真。
彼女は、ファニーフェイスとも言われたが、そこが可愛いのだ。いわゆる美人ではないが、チャーミング。
「ローマの休日」は、彼女が出ていなかったら、それほど話題にもならない映画になったのではなかろうか。写真は19枚、そのうちポートレートは2枚。


さて、マリリンだ。おなじみの写真ばかり15枚、そのうちポートレートは、1950年〜1953年のものが4枚。
映画の写真11枚は、
「Dangerous Years」で、ウエイトレスの格好をした写真。
「Ladies of the Chorus」では、コーラスラインの一員として。
「ラヴ・ハッピー」は、グルーチョ・マルクスと。
「イヴの総て」は、明日を夢見る女優としてベティ・デイビスなどに囲まれている場面。
「アスファルト・ジャングル」は、サム・ジャッフェと一緒に。
「ノックは無用」では、リチャード・ウィドマークと。
「紳士は金髪がお好き」が、親友役のジェーン・ラッセルと。
「ショウほど素敵な商売はない」は、恋人役のドナルド・オコーナーと。この写真は、映画名を「百万長者と結婚する方法」と書かれて展示されていた。間違うなよ〜。
「王子と踊子」は、ローレンス・オリビエと。
「お熱いのがお好き」では、「女性」バンドのみんなと一緒に。
「荒馬と女」は、クラーク・ゲーブルのあごのあたりに顔をうずめて安心したような表情。これが、いちばん可愛いな。


グレース。「ダイヤルMを廻せ!」「喝采」「モガンボ」の写真。フィルモグラフィを見ると、出演作の少なさが目立つ。モナコ王妃になっちゃったからね。写真13枚、そのうちポートレートが4枚。
彼女は育ちのいい美人という感じ。名前の通り、優雅な気品がある
アルフレッド・ヒッチコック監督のお気に入りで、「泥棒成金」「ダイヤルMを廻せ!」「裏窓」と、ほんとに溜息の出るほどの美しさを見せてくれた。「真昼の決闘」「喝采」「上流社会」なども素敵で、やはり大好きな女優さんだ。
モナコ王妃になったのはいいけれど、交通事故死というのは何とも悲しい。


こうして、この5人を見比べてくると、改めて、マリリンは異色だと思う。
他の4人は、その美貌が気品になるが、冷たさをも、どこかに感じさせることがある。
しかし、マリリンには、冷たさを感じることはない。
どんな写真を見ても、外側に放たれた、ある意味スターらしい「冷たさ」は見当たらないのだ。
それがマリリンなのであり、たぶん、それが、私が彼女を好きな、いちばんの理由なのである。



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