1984年12月22日、小泉今日子さん初の主演映画「生徒諸君!」が公開された。

いまや、映画女優、舞台女優、さらには舞台の演出まで広く活躍する小泉今日子さんだが、映画初主演のときには「アイドル歌手の主演映画」だった。

監督は、吉永小百合や山口百恵の映画などを手がけてきた西河克己。アイドル的な映画作品を任せるには適任だったのだろう。本作を監督したときは、60代半ば。
原作は、庄司陽子の漫画、脚本は、川邊一外(かわべかずと)、真船青子(まふねせいこ)、音楽は、馬飼野康二。日本ヘラルド映画配給。101分。

小泉さんの撮影は8月2日、横浜の高校でスタート。いきなり、ソフトボール部入部テストの100本ノックなどのシーン、しかも真夏の撮影だった。
夏のコンサートで忙しくなるため、小泉さんの撮影は8月15日に一時中断、8月30日から再開、9月28日に撮影終了。


小泉さんは、双子のナッキー(妹・北城尚子〔きたしろなおこ〕)とマール(姉・北城真理子)の二役。


転校して2年A組の仲間となったナッキー。クラスの副委員長の五月野舞子(高橋知子)と一緒に、いろんな部活動を見てまわる。


18歳の小泉さんだから、役柄に近い年頃。


ソフト部入部テスト。キャプテン清水令子(渡辺理砂)が3球投げるうちの1回でもバットに当てればOK。


つづいて、100本ノック。周囲のギャラリーから、それは厳しすぎると声があがるなか、ナッキーは果敢にチャレンジ。


合格! キャプテンと握手して笑顔。青春ですねー。


友人たち(「悪タレ団」と名づけられている)がナッキーの家を訪問、マールが出迎える。彼女の初登場シーン。


ナッキーとマールが並んで映る。撮影は着替えなど大変だったんじゃないでしょうか。


母親役は、岸田今日子。今日子と今日子の共演は、こんなに早くから実現していた!


ベッドにいるマールと話をするナッキー。病弱なマールのぶんまで、いっしょうけんめい頑張って生きようと誓っている彼女。


田舎でのお祭りで太鼓をたたくナッキー。林家こん平が、となりで歌っていたりする。


こんな、さみしい表情も見せる。


マール、ナッキーの先輩の飛島峻(羽賀健二)と結婚する。


祖父、祖母の役は、稲葉義男、野村昭子。稲葉さんは「七人の侍」など、野村さんは「渡る世間は鬼ばかり」などで有名。


ナッキーが出場するソフト部の試合を観戦する、マールと峻。


ナッキーのことをマールと思い込む母。岸田今日子さんは精神不安定演技がなぜか似合う!? 父親役は、夏木陽介。


悪タレ団。左から、小西初音(持留昭子)、岩崎祝(坂井徹)、ナッキー、田村僚一(井上周)、五月野舞子、沖田成利(麻見和也)。持留、井上、五月野役の高橋の3人はオーディションで選ばれている。

ほかに、クラス担任の金田に伊藤克信、蒔枝校長先生に有島一郎。
いま見ると、たあいないなあ、と思ったりもするが、当時のアイドル映画、しかも初主演作品としたら、じゅうぶんすぎるのではないか。けんかするのが、すがすがしいような雰囲気なのは、あまり賛成できないが。
ふたりぶん生きる覚悟のナッキー、失恋したり、自分自身のアイデンティティを消してまで頑張ろうとするナッキーを、応援しないわけにはいかない。
終盤で父親がピアノを弾くシーンは、小泉さんが、このあとに主演するドラマ「少女に何が起ったか」への橋渡しをしているかのようなリンクが感じられて(同じ曲を弾いていたような?)興味ぶかかった。偶然だろうけれど。

1984年作品
監督 西河克己
出演 小泉今日子、高橋和子、持留昭子、坂井徹、麻見和也、井上周

(c) 角川映画




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