理事長あいさつ

NPO法人 TOSS五色百人一首協会ひょうご  理事長  木村 孝康 



 いまから10年以上も前、五色百人一首のさらなる普及をめざして、私は競技大会の開催を志しました。
 県内の子どもたちに呼びかけたものの、参加者は思うように集まらず、本当に大会ができるのかどうか、心配したことを覚えています。
 それでも、50名ほどの子どもたちが集まって、小さな会場で「兵庫県大会」は産声をあげました。
 それが今では、兵庫県内各地の15を超える会場で「地区大会」が行われるようになり、年間1000名を超える子どもたちが大会に参加するまでになりました。
 五色百人一首がもっている伝統文化の魅力、自分の力を思いっきり試せる競技大会の魅力が、子どもたちに伝わったのだとうれしく思っています。
 この兵庫県のみならず、47すべての都道府県で競技大会が開催されるようになったのも、その表れでしょう。

 新しい小学校学習指導要領には、下記の通り「伝統的な言語文化」の重視が謳われました。

(5) 伝統的な言語文化に関する指導の重視
伝統的な言語文化は,創造と継承を繰り返しながら形成されてきた。
それらを小学校から取り上げて親しむようにし,我が国の言語文化を継承し,新たな創造へ とつないでいくことができるよう内容を構成している。
例えば,低学年では昔話や神話・伝承など,中学年では易しい文語調の短歌や俳句,慣用句や故事成語, 高学年では古文・漢文などを取り上げている。

 『小学校学習指導要領解説 国語編』(文部科学省)


 ただ単に短歌や俳句を読ませるのでは、子どもたちはあまり興味をもちません。
 しかし「五色百人一首」や「五色名句百選かるた」に取り組むと、子どもたちは目を輝かせて、短歌や俳句の暗唱に夢中になります。
 遊びを楽しみながら、「伝統的な言語文化」である短歌や俳句の学習が進められるのです。
 私どもの活動は、これからの教育現場で、一層役立つものであると自負しております。
 2年前には、私どもの活動が評価され、NPO(特定非営利活動法人)に認可されました。
 「NPO法人 TOSS五色百人一首協会ひょうご」として、今後もさらに活動を充実させていく所存です。

 私どもの母体であるTOSS(Teacher's Organization of Skill Sharing)は、全国の1万人を超える教師が集まる、日本最大の民間教育団体です。
 TOSSは、日本の伝統文化のすばらしさを、子どもたちにさらに広めようと、新しい取り組みを始めています。
 TOSSと角川学芸出版のタイアップで、新しい俳句かるたである「五色名句百選かるた」が生まれました。
 また、郵便局(日本郵政グループ)が毎年行う「年賀状コンクール」には、TOSSが開発した児童用テキストを含む教材キットを提供するなど、積極的に協力しています。
 それを受けて、私どもは全国に先駆けて「第1回五色名句百選かるた兵庫県大会」を開催しました。(平成20年度)
 さらに兵庫県の先生方に「年賀状コンクール」への参加を呼びかけるなど、「五色百人一首」のみならず、伝統文化教育の推進についても取り組んでおります。

 学校の教室で取り組んでくださっている先生方、
 練習に励む子どもたちを見守ってくださっているご家族の皆様、
 大会の開催にご協力くださっている地域の皆様、
 多くの方々のご支持を得て、「五色百人一首」をはじめとする伝統文化教育の輪は、これからもますます広がっていくものと確信しております。

 今後とも、私どもの活動に、温かいご支援・ご協力をよろしくお願いします。

「五色百人一首」の生みの親であるTOSS代表・向山 洋一氏(右)とともに。