藍染め絞り:片野かほりさんの仕事
(2025年1月更新)

昔から、藍染の絞は我が民族の美しい手仕事として、受けつがれ引次がれてきたのであつて、決して亡びさせてはならないものである。・・・・・・・・・・

總ての染物が化學染料に変りつつある現在では、絞も亦同じことで、眞に胸の痛む思ひである。民族の手仕事として藍染の絞を繋ぎ止めたい一念で毎日精根を傾ける。

片野元彦(片野かほりさん父:1899-1975)


仕事風景

片野かほりさん(1932-2016)は、日本の藍染め絞りの本場、名古屋市有松で仕事をされていました。国画会の会員で、日本を代表する藍染め絞りの作家でもありました。

有松の藍染め絞りをベースに独自の技法を確立されたお父様、片野元彦氏と長年苦労を共にし、多彩な作品を発表して来られました。お父様の没後も、お父様の遺訓を守り、尊い仕事をされ続けられました。

コレクター故桂憲正氏のご厚意により、展示館に6点の作品を展示させていただきました。2005年のことでした。

矢澤の家具としっくりなじみ、暑い夏に涼やかな空気を運んでくれました。(矢澤美子記)


折縫絞について:片野かほり氏記

(折縫絞は)絞を量産なさいますところでは採算上不可能と思われるほどの余分なあて布を多く用いて効果を出したり、殊に亀甲や斜格子に工夫を凝らし、階段状に布を折り畳んで絞る方法などを編み出して用いたものであり、これらは、父の全くの独創のものと確信いたしております。

作品1

出典

片野元彦氏と片野かほり氏の文と、片野かほり氏の写真
「片野元彦作品集 絞と藍」
草土社

(矢澤美子記)

藍染絞りは今でも見ることができますが、藍色の中に白が浮き上がり美しく感じます。

もう大分過去の話になりますが、片野かほりさんの作品に触れてた時まず感じたことは、片野さんの藍染め絞りは、白の中に藍が映えているということでした。白を基調にするということは、その部分を全部絞るということで、藍を基調とする仕事より、はるかに大変な仕事が要求されます。

片野さんの作品は、普通の家屋の中でも違和感なくとけ込む親しさがあり、それでいて格調が高く、見る人の感動を誘います。

このページをアップしたのが2005年。 片野さんの紹介ページはその頃から他に無かったからか、2008年頃片野さんからお電話をいただきました。知人からこのページのことを聞かされたと感謝されました。彼女の作品の私の展示の仕方が、壁に横長に豪快にされており、そんな展示は見たことがない、と話されていました。良かったのか悪かったのか今でも謎です。


作品2

作品3

作品4