木工家になるためのQ&A:木工修業について

木工で独立するには、どのようにすればよいのでしょうか。学校があるのでしょうか。修業は何年くらいかかるのでしょうか。

各県に職業訓練校があります。木工科、木材工芸科などで1年間訓練を受けられます。訓練校は一般に1月頃募集があるようです。期間は4月から1年間です。卒業後のことですが、すぐ独立する人もいます。小さな家具工房で数年修業をしてから独立するほうが、販売など色々なノウハウが分かって成功率が高くなります。

木工を勉強できる学校を教えて下さい。

2014/2/17更新

当工房は下記の学校からの卒業生が多いです。
学業の内容、レベルが当方の希望するところに近いようです。
学校名 ホームページ
長野県立
上松技術専門校
こちら
岐阜県立
木工芸術スクール
こちら

修業期間中は無収入でしょうか?

昔と違い、今は最低賃金というものが決まっていますので、個人の工房でも、働く限り、必ず最低賃金以上の収入が得られます。 現在最低賃金は時給550円、月給11万円程度です。労働時間も週40時間以内、残業すれば、割り増し手当がもらえます。サラリーマンと全く変わらない、労働上の保証があります。

この法律ができて以来、従来の徒弟制度は完全に崩壊しました。昔ながらの小遣い程度の給金で弟子をとることができなくなり、非常に困っている作家が沢山います。反対に、修業したくても、受け入れてくれるところが無くなって困っている人たちもいるわけです。

「何もわからん者に技術を教えるんだから、給料は小遣い程度でいいだろう、教えるのに手が取られて、こっちが月謝を貰いたいくらいだよ」とこぼす作家も出てくるわけですが、本当に教えるだけならいいのですが、教材として、ちょっとでも親方の仕事を手伝うような形になると、もうそれは立派な労働ですから、労働基準法違反となって厳しい改善命令が受けることになります。

無給でよいのですが、修業させていただけませんか?

時々そういう方がいて、何だか得するような気がして、そうしたくもなりますが、これは労働基準法違反となりますので出来ないんですよ。教えて貰うわけだから、授業料を払ってもいいという、寛大な方も中にはいらっしゃいますが、それでも、そういうわけには行かないんです。

実際の木工の仕事を通じて、木工を勉強をするので授業料はいりません、給料も払いません、という木工教室がありますが、これはどうゆう風に理屈づけているかというと、授業料と、給与が丁度等しい額である、ということでしょう。ですが、現実には授業時間より労働時間の方が長いことが多いようで、その分は無賃労働と見なされる可能性があります。また給与相当分には源泉徴収税が発生しますし、また現実に労働する訳ですから、労働保険(労災と失業保険)にも入る義務があると思います。

また無給で働くということは、本来なら雇用されるべき労働者の就職の機会を奪うことになるという面からも、労働基準法で禁じられています。外国の工房にたいして、無給でいいから働かせて欲しい、といっても入国が認められないのは同じ理由です。

それから、法律的な規制を別にしても、私は、無給で弟子をとりたくないですね。無給となると、弟子の側に、「ただなんだから・・・。」と仕事を軽んじたり、権利意識が強くなったりして、お互いのいい関係を築く上で悪影響があると思います。上下関係といういいかたは古いかもしれませんが、教える側、教わる側の立場がきちんと確立していないと、なぜか、ノウハウの伝達もスムーズに行かないようです。

「プロの木工家になるための木工教室」という類のものがありますが、是非をお聞かせ下さい。

そのような木工教室(塾)に通っても、普通の人がプロになるのは難しいと思います。技術は教えてもらえるでしょうけど、技術だけで食べていこうとしたら、木工教室の先生になるしかないでしょう。「木工教室の先生になるための木工教室」なら分かります。

まず、その木工教室の先生が、木工作家として、現実に食べていけているのかどうかで、評価が決まると思います。生活の為の主たる収入を、木工教室に頼っている先生のもとで勉強しても、その先生を飛び越して、木工家として独立できるようになれるとは理屈の上でも考えにくいですね。

自分の木工房を持って、運営していくには、技術以外に沢山のことを知らなければなりません。声楽だけ勉強しても、歌手として食べていけないのと同じですね。 やはり、個人の木工作家に弟子入りするのが、最も可能性の高い方法だと思います。

また、木工教室というと一般に授業料を払いますが、中には、ちゃっかり自分(先生)の仕事を手伝わせたりして「ただ働き」させている所もあるようです。 生徒が生徒自身の作品を作る分には何の問題ありませんが、教材として先生の仕事を手伝わせるような部分が入ると、 つまり無賃金で仕事をさせると前に書いた理由で問題が発生します。

そもそも木工の仕事を勉強するということは、本質的に労働なんですね。 お金を払って勉強するんじゃなくて、お金をもらいながら勉強する事なんです。

設計図を書いたことがありませんが、特別の勉強が必要ですか。 またデッサンの勉強も必要でしょうか。

訓練校に行くならば設計図はそこで教わります。デッサンは、自然に覚えると思いますが、絵の苦手な人は、勉強した方がいいでしょう。お客との打ち合わせの際、ラフスケッチを描くことが必要だからです。