Gabriel Thouin

著名な庭園設計家の一族の出身ガブリエル・トゥーアン(1747-1829)による、庭園建築、庭園デザイン作品集です。
彼は、ピクチャレスク庭園を造るためのレディメード庭園装飾物をカタログ化し提案します。
庭園を造りたい人は、カタログから商品を選ぶように、このデザイン集から、気に入ったものを選べばよいのです。

以下の2つの作品集においても、同様に庭園装飾物のカタログ化を見ることができます。

Christian L. Stieglitz

この本の著者Stieglitzは、ドイツの著名な建築歴史家、批評家です。また、1792年〜1798年に最初の建築辞典のひとつをを生み出した人物として知られています。彼はヴィンケルマンの影響が濃い新古典主義に関する理論書を残すと同時に、エジプト建築やゴシック建築の歴史も研究しています。
この本に見られる庭園デザインに対するロマンティックな態度は、イギリスで生まれたピクチャレスク思想の他国への広がりをよく表しています。
巻末の図版に収められた庭園、カントリーハウス、庭園建築デザインは、ライプチヒの建築家Karl August Siegel (1757-1832)によるものです。ここでは、その中よりいわゆるシノワズリー(中国風)趣味を見ることができる図版を紹介します。シノワズリー趣味自体は、フランスに始まるロココの時代から続くものですが、イギリスではホレス・ウォルポールのストロベリー・ヒルを代表とする初期のゴシック・リヴァイヴァルと同時期にロマンティックで情緒的な雰囲気を醸し出すデザイン要素として流行しました。中国風建築物を扱ったパターンブックは、William Halfpennyによる著作をはじめとして数多く出版され、それらは流行の庭園をつくりたいアマチュア庭園家にとっては大変便利なものでした。

 

 

Baron Maxmilian Speck von Sternburg

この本は、実際の庭園の所有者自身によるガイドブックです。
ここでは典型的なドイツのロマンティック庭園の例を見ることができます。この本での庭園は、最新の芸術思想であるピクチャレスクを表現した作品というよりも、既に庭園様式のひとつとしてピクチャレスクという思想をとりいれたコンベンショナルなものとなっている感があります。ピクチャレスクの影響を受けた庭園では、このように装飾的な建築が、広大な敷地の中に点在して置かれるのが一般的です。