1993/12/26 5回 中山 8日目 晴(良) |
09R サラ系4歳以上 有馬記念(G1) ○混(馬齢) 芝2500 |
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再現実況 |
実況;堺正幸 解説:大川慶次郎 |
堺「晴れ、良馬馬の中山競馬場です。例年にも増して素晴らしいメンバーとなりました今年の有馬記念。 第38回、ごらんの14頭。GTホースがずらりと顔を並べております。 3時現在、中山競馬場は15万8000人近いファンが詰め掛けて、ぎっしり超満員です。 実況席の解説は大川慶次郎さんです。大川さん宜しくお願いします」 大川「はい、こちらこそ」 堺「まあ、それにしましても、毎年有馬記念は素晴らしいメンバーが揃うんですが、 その中でも今年はファン投票上位の馬が順調にこのレースに臨みまして、素晴らしい顔ぶれになりましたねえ」 大川「そうですねえ、とにかく欠場馬がいないということで、ファンの方もきっと喜ばれるでしょうねえ」 堺「そうですねえ、ま、ファンの方、それぞれ思い思いに好きな馬を応援していただければ、 それでいいと思うんですが」 大川「ええ、それでいいんですね」 堺「さあ、まずですね、今年のメンバーを見渡して大川さん、4歳馬と古馬の関係はどうご覧になってるんでしょうか?」 大川「そうですねえ、実はJCの時にですね、4歳が強いと言われていたんですけども、 この時にダービー馬のウイニングチケットをレガシーが負かしましたでしょ」 堺「はい」 大川「え〜、そういうことから言って、今度はビワハヤヒデがどうなのかというのが分からないんですが、 確かに、4歳のダービーも菊花賞もなかなかいいタイムでしたしね。 タイム的に優劣を付ければ、ちょっと分からないなあという感じがするんですけども、私は大体、その年の4歳とか、 そういう風なランキングを引かないもんなんでね、なんとも言えない、馬によりけりだという風に思うんですけどもねえ。 え〜どうでしょうか、まあ互角という見方をしておいたほうがいいんじゃないでしょうかねえ。 その時調子が良いビワハヤヒデがレガシーを負かすか、これが4歳対5歳という考え方が、ちょっとし難いなあという 感じですね」 堺「そして大川さんの最終的な予想といいますと」 大川「はい、レガシーワールドですね」 堺「レガシーワールド。はい、そして対抗が」 大川「対抗はビワハヤヒデですね、この1着2着というのがかなり濃厚だなあと思ってるんですけどね。 あと、メジロパーマーの逃げですよね。これがため逃げをしないでね、思い切って逃げると面白いと思うんですがね」 堺「そうですか。さて、スタート地点に14頭が既に集合しています。 スタート地点に青島アナウンサーが待機しています。 青島さん、スタート前の馬、そして騎手の表情を伝えてください」 青島「はい、ええ、なんとなくですね、例年になく暖かい日差しがスタート地点、ゲートの方西日が差し込んでいまして、 例年の緊張感の中にもですね、ちょっと穏やかなと言ったら語弊があるかもしれませんが、そんな雰囲気が漂っています。 トウカイテイオーですけどもね、ええと、おなじみの独特の歩様なんですけども、まだこの、レースを思い出そうとしている のかなという風に見えなくもないんですけどもね、やはりグッドルッキングホースといったところを見せています。 それから、ビワハヤヒデは本当に威風堂々という感じです、相変わらず。 レガシーワールドも元気いっぱいというところ。 今係員の皆さんが散っていきましたので、これからもうまもなくゲートの方に誘導されるんではないでしょうか。 ライスシャワーの方もですね、前をギロっと睨んで、時々チャチャチャっと前の方に歩いていく、そんなような素振りを 見せまして、内面的な闘志が戻ってきているのか。私には戻ってきているように見えるんですがどうなんでしょうか」 堺「大川さん、今ですね、1年振りのトウカイテイオーの話も出ましたが、うーん、ダービー馬とはいえ実に1年振りですからねえ」 大川「そうですね、どうしてもやっぱり、プール等でやっておられたようですけども、やはり心臓とか、そういった物がこういう激戦にね、 耐えうるかどうかというとこなんですよねえ」 堺「なるほど。さあ、その他ではウイニングチケットが現在単勝で3番人気、ライスシャワーが5番人気、 トウカイテイオーは4番人気に推されてるんですよねえ」 大川「そうですねえ、やはり人気があるありますねえ。 ライスシャワーが、あの、何かとても良いように思うんですけどねえ。 これがどんなことをやってくれるのかね。ちょっと、いわゆるその、野に下がると怖い馬なんですよね。 主役ではいけませんけどね」 堺「ここ何戦かのレースを見ておりますと、ライスシャワーはどうしたんだろうという声がありますが、 ま、今日くらいはですねえ、今年最後の有馬記念では良い所を見せてもらいたいんですが」 大川「見せ場は作ってもらいたいですねえ、結果はともかくね」 堺「そうですねえ。ま、去年、一昨年と、大川さん、ブービー人気の馬が有馬記念を制しているんですが、 今年は穴馬を1、2頭探すとすると、大川さん、どんな名前が挙がりますか?」 大川「私はエルウェーウィンなんですがねえ」 堺「エルウェーウイン、まだキャリア4戦の馬なんですがねえ」 大川「ダイユウサクのような馬というと、この馬だと思うんですがね」 堺「青島さん、側でエルウェーウインを見ててどうでしょう」 青島「そうですね、あの〜なんとなく小ぶりの中にもぎゅっと凝縮されたようなパワーが見えるような気がしますね。 南井騎手は透明のゴーグルを掛けて、そろそろコンセントレーションを高めようとしているように見えますねえ。 あとウイニングチケットもね、黒光りして本当に良い馬体。惚れ惚れする馬体ですね。 柴田騎手もね、心地よいプレッシャーを感じているのかもしれませんね」 堺「さあスターターがスタート台に上がりました、GTのファンファーレです」 堺「さあ、今年のサラブレッドNO1を決めます、第38回有馬記念。 大川さん、今年ももちろんパーマーが行くんでしょうねえ」 大川「ええ、もちろんパーマーが行って、レガシーと、あとホワイトストーンも行くかもしれませんねえ」 堺「あ〜ストーンも行きますか」 大川「ええ、と思うんですがね、まあパーマーは絶対逃げますね」 堺「青島さん、枠入り順調ですね?」 青島「順調です。レガシーもですねスムーズなゲートインでした。 そしてビワハヤヒデ、ゲートに入る時に、なんかこうギラっと目が光ったようにも見えました。 ちょっとエルウェーがうるさいところを見せましたが、駆け込んで行きます。 そして、後はメジロパーマーを待つだけとなりました。 エルウェーがちょっと立ち止まりました」 堺「12頭は既にゲートの中、このエルウェーウインが収まりますと、大外、去年逃げましたメジロパーマーの枠入りを 待つだけとなります。今年はどういった逃亡劇をこのメジロパーマー見せてくれるんでしょうか。 按上は横山典弘です。 さあ14頭枠入り完了しました、有馬記念!」
堺「大川さん、え〜審議のランプがどの辺りで点いたのか私もちょっとわからないんですが、 しかし、びっくりしました!」 大川「ええ、やっぱり強い馬ですねえ。JCも勝ったし」 堺「ええ、去年のJCを私もちょっと思い出してしまたんですがねえ、ダメだダメだと言われながら、 やはり奇跡の復活をしたトウカイテイオーが、この有馬記念、しかも1年振りのレースでですね、 こんなことが、やっぱりあるんですねえ」 大川「ええ、やっぱり、今の栗東の調教所にはですね、プールがありますでしょう。 このプールが非常に、この馬には良かったんですねえ」 堺「さ、審議の内容を聞きましょう」 堺「ということで、お耳に達したかと思いますが、第1コーナーでエルカーサリバー、そして第3コーナーで ライスシャワーの進路が狭くなった、この二つの点についてですが。 これはまあパトロールフィルムを見ないとなんとも言えないんですが。」 大川「そうですね、ちょっと今ここではわかりませんねえ」 堺「トウカイテイオーは割と先の方に行っていたと思うんですがねえ」 大川「ええ、4、5番目にいましてねえ、あまりあの〜馬群に崩れがなかったと思うんですがねえ」 堺「ええ、よくあるのは4コーナーでね、ごちゃごちゃっとするんですが。 しかし大川さん、4角周って直線ですねえ、ビワハヤヒデがスーっとこう抜けてきまして、 うーんやはり強いのかなあと思いましたら・・・赤い帽子が来ましたねえ」 大川「ええ、4角の時の行きっぷりが凄かったですよねえ。 それで、これは!、と思ったんですがねえ、案の定・・・実力馬ですねえ、実力馬です」 堺「いやあしかし、大川さんも長年競馬をやられていますが、1年振りに出てきてですね、 もう、まあ、GT有馬記念をあっさりと言いますか、ねじ伏せたというのは凄いことだと思いますがねえ」 大川「ええ、これは大変なことですよ。これをここまで仕上げてきた調教師さんとか、管理されてる方とかも 立派なものだと思いますねえ」 堺「まあ、単勝の人気では直前4番人気に推されていたトウカイテイオーなんですが、 田原成貴騎手も、去年の無念をこの1年後に晴らしたという、そんな感じがいたします。 今、トウカイテイオーと田原騎手が引き上げてまいりました。 あのー、記録のことを言うとなんなんですが、重賞をですね大川さん、その昔昭和18年クリヒカリという馬が 中202日でですね、え〜勝ったというのが、ま、これは天皇賞ですが、有馬では70年のスピードシンボリの 中62日が最長ということで、ま、トウカイテイオーは1年振りですからね、まあ〜これは凄い記録ですねえ」 大川「そうですねえ。最近ではとにかく、皐月賞勝って菊花賞へ直行したサクラスターオーね。 これが10ヶ月振りだったかと思いますが、それよりまだ長いんですから」 堺「お父さんのルドルフに続きまして、このまま確定しますと親子グランプリ制覇ということになりますね」 大川「そういうことですね」 堺「それにしましてもゴール前、ビワハヤヒデが抜け出したところを、トウカイテイオー6歳馬が襲い掛かりまして 人気のビワハヤヒデを振り切りました。岡部ビワハヤヒデ、なんとか連は確保致しました。 平成になりましてこれで大川さん、4歳馬5歳馬まだ勝てませんねえ、グランプリ」 大川「そうですねえ、中々きついんですよねえ。でも、ビワハヤヒデも偉いですよ」 堺「そうですねえ。 え〜、勝ちました田原成貴トウカイテイオー、田原騎手は既に後検量室へ入っております。」 |
勝利騎手インタビュー |
アナ「放送席、田原騎手です。おめでとうございます」 田原「ありがとうございます」 アナ「1年振りの有馬記念で去年の雪辱を晴らしました。今のお気持ちから」 田原「そうですね、やっぱりもう驚きの方が先でね、ほんとにもう、テイオー自身がね、 ほんとに、今日はもう何がどうの、レース展開がどうの、どう乗ったというよりもね、 もうトウカイテイオー彼自身がね、本当に色んなアクシデントがありましたからね。 それを克服してね、本当にもう今までの中央競馬の歴史の常識を覆すね、 ほんとに彼自身の勝利です」 アナ「途中、調教、そして今日パドック、そして本場場に出ての感じはどうだったんでしょうか?」 田原「そうですね、もう昨年のことがありましたからね、気にはしていたんですけど、今日は本当に、 馬場に出てから覇気もありましたしねえ。心配してた腰の状態も凄く良かったですからね。 もうほんとに、凄い馬です」 アナ「田原さん自身は、レース中、どんなことを考えながらトウカイテイオーの手綱を握っていたんですか?」 田原「そうですね、とにかく、まずスタートで去年のようなアクシデントが無いように、 とにかく1番先にスタート切ろうと思って、それだけを考えてました。 とにかくもう、本当に、相手がどうこういうよりもね、2500mを本当にこの馬のペースで、 一番この馬が2500mで能力を出せるようにね、その点だけを考えて乗ったんですけどね。 まあ、僕がどう乗ったこう乗ったというよりもね、本当にトウカイテイオー彼自身がね、 本当にここまで立ち直って、彼がほんとに、掴んだ勝利です」 アナ「最後にビワをかわした時の気持ちを」 田原「いやもう、直線最後の100mはね、テイオーがんばってくれがんばってくれって、もう本当に声出してね、 励ましながら追ったんですけど、交わした時もね、本当に、なんか嬉しいというよりもね、 なんかちょっと申し訳ないようなね、1年も本当にきつかったと思うんですけどね、本当にありがとうってね、 ゴールした時は思わず言ってしまいました」 アナ「最後に1年振り、松元調教師にどんな報告をしましょうか?」 田原「いやほんとに、もうほんとにありがとうございましたと。 もう何でね、もうさっきも手を上げなかったとか、大きなパフォーマンスはって言われたんですけどね、 もう1年もね、色々あって、本当にここまでね、立て直した関係者のこと考えたらね、ほんとにもう、変なあの、 手なんか上げてね、もしアクシデントで脚でもぶつけたらって思ったら、もう、ちょっと出来ませんでした」 アナ「どうも、おめでとうございます」 田原「ありがとうございます」 |