1993/05/30 3回 東京 4日目 曇(良) |
09R サラ系4歳 東京優駿(G1) 牡・牝(定量) 芝2400 |
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再現実況 |
実況;堺正幸 解説:大川慶次郎 |
堺「昭和7年の第1回優勝馬ワカタカから去年のミホノブルボンまで、過去59頭の優駿が、 サラブレッド最高の栄誉とされる日本ダービーの歴史にその名を刻んできました。 記念すべき第60回日本ダービー。その名を記すのは、果たして18頭のうち,どの優駿 なんでしょうか。 雨の心配がありましたが、現在曇り、良馬場の東京競馬場で、第60回日本ダービーが まもなくスタートとなります。 実況席の解説は、大川慶次郎さんです。 ま、大川さん、雨の心配がされたんですが、良かったですね」 大川「ええ、私はもう最初から晴れると思ってました」 堺「ああ、そうですかあ」 大川「はい」 堺「さあその良馬場の中で、18頭の優駿が距離2400mで、この日本ダービーを争うんですが、 大川さん今年のダービーをまとめてください」 大川「はい、私の本命はシクレノンシェリフなんですけども、返し馬の時から見ていて、これはうまく いったなあと思ったのはマイシンザンですね。 3コーナーの所にたった1頭ね、えー残りまして、えー少し馬が寂しいから行こうというような かっこうで、スタートの時やおら出てきましてね、出てきたときとは馬が全然違うくらい落ち着 いてましたねえ」 堺「ああ、そうですかあ」 大川「ええ、この馬は、NHKの時と同じくらい走れるんじゃないでしょうか」 堺「なるほど。さあ上位人気3頭についてなんですが、大川さんどういう評価なんでしょうか?」 大川「ええ、上位では一番堅実なのがやっぱりビワハヤヒデじゃないかなあと思うんですがね。 でももちろん、強さという点では、ナリタタイシン、ウイニングチケット、これが決まればね、 あの物凄い脚が決まるように道中がうまく行ければですね、やっぱり怖いということですね」 堺「さあ、ファンファーレが府中の杜にこだまします」 堺「スタート地点には、青島アナウンサーが待機しています。 青島さん、スタート前のリポートを入れて下さい」 青島「はい、薄日が差してきたスタート地点なんですが、まず真っ先にアンバーライオンが誘導され ました。ちょっとこれてこずりそうですね。 ナリタタイシンなんですが、按下に汗をかいた白いあとが股間の辺りまでびっしりとあります。 パドックではちょっとおとなしいという感じがしたんですが、ここに来ていつもの気合が戻ってきた ように私には見えました。 岡部騎手なんですが、按上で笑顔が浮かんでおりました。ビワハヤヒデ、泰然自若といった感じ。 マイシンザンがうるさいところを見せています。 柴田政人騎手なんですが、頬の所がちょっと強張っているかなという感じがありますね。 マイシンザンこれからゲートに入るんですが、ちょっとどうでしょう。あ、すんなり入りました」 堺「さあ大川さん。展開なんですが、やはりアンバーライオンがペースを作りますかね?」 大川「ええ、アンバーライオンかドージマムテキでしょうねえ」 堺「さあ青島さん、あと何頭くらいでしょうか?」 青島「ドージマムテキが入りまして、あと4、5頭ですね。ドージマムテキの小島貞博騎手、表情穏やか でしたね。え〜サクラチトセオーが入りまして、マルチマックスと、あと、さあ大外、サンエイキッドを 残すのみとなりました」 堺「さあ大外18番枠サンエイキッド、安田隆行がゆっくりとゲートに誘導されまして、さあこれで18頭 枠入り完了であります!」
堺「大川さん、直線はやはりあの〜、上位人気3頭の、これは素晴らしいレースになりましたねえ」 大川「そうでしたねえ、結局皆さんの言われた3強の勝負と、いう格好になったんですが、 4コーナーの所でですね、実にうまくね、内を狙って来ましたね。そっから一気に出てきたんですがね。 で、ビワハヤヒデとはちょっと交錯するかっこになりましたけどね、まあ問題ないんですが、 実にいいところでハナに立った」 堺「そうですねえ」 大川「これがなんと言ってもウイニングチケットの勝因でしょうね」 堺「本当に欲しかったこのダービーのタイトル。この柴田の右ムチにウイニングチケットも応えて がんばりましたねえ」 (画面に、最後の直線での柴田政人の姿が写る) 大川「すごい顔ですねえ。これはもう、政人騎手の技術を尽くしたあの顔」 堺「え〜、今、中央のターフビジョンにそのウイニングチケット柴田政人騎手が大写しにされまして、 場内のファンから大歓声が上がったところです。 まあ、それにしましても、上位人気3頭、ゴール前100mはこれはもう凄い見ごたえのあった 今年のダービーでした」 大川「ええ、それにマイシンザンも加わってね。この4頭が本当にあの、一時横に並ぶというような感じ があったんですが、ナリタタイシンの場合は道中がちょっと後ろ過ぎましたからねえ」 堺「そうでしたねえ」 大川「おそらく上がりはこの馬が一番速いと思いますよ」 堺「柴田政人騎手が悲願のダービー制覇を遂げました。そして、2着が7番のビワハヤヒデ、 3着1番ナリタタイシンと、3着まで馬番があがっております。4着、5着が写真判定です。 結局単勝の上位3頭が、そのままゴール前素晴らしいデッドヒートを展開しまして、 柴田政人のウイニングチケットが見事ダービーを制覇しました。 区切りのダービーは、柴田政人。 ま、柴田政人騎手は、大川さん、過去18回。ま、1回取り消しがありましたけれども、 18回でまだ勝ったたことが無い。なにしろこのダービーのタイトルを獲れたらジョッキーを 辞めてもいいなんていう発言もね、言ってたこともありましたしねえ」 大川「まあ前にね、そんな話もしてましたけどね、やっぱりまあ、これはとても辞められないでしょう」 堺「そうでしょうねえ」 大川「あのー、レースの前にね、勝ったこと無いから気持ちはわからないけど、と言ってましたけどね」 堺「恐らくこの後、勝利ジョッキーインタビューを皆様にお届け出来る筈ですが、 柴田政人騎手からどういった言葉が出てくるか、私も非常に楽しみなんですがねえ」 大川「そうですねえ。これは嬉しいでしょうねえ」 堺「本当ですねえ。さあ、場内はウイニングランで引き上げてくる、政人コールであります。 大川さん、柴田政人騎手はこれ〜、ゆっくりとこの、戻ってくる間に、自分の中でこの、感触をこう 確かめているような、そんな感じがしないでもないんですがねえ」 大川「ええそうですねえ。もうゴール前の歯を食いしばってねえ、政人くんならではのあの追う姿勢。 あの顔つきね、なんとも言えなかったですね」 堺「大歓声に迎えられまして、ゼッケン10番、ウイニングチケット柴田政人が引き上げてまいりました。 大川さん、今年の春のクラシックはこれ、トニービン産駒が全て制しましたねえ」 大川「そうですねえ、今年の4歳から全部トニービンですねえ」 堺「さあ柴田政人騎手、ああちょっと白い歯も見えますが。うん! 左手を上げました! 今、意気揚揚と戻ってまいりました。 これから馬道に消えまして、地下の検量室に向かうところであります。 ああ、ガッツポーズが見られます、柴田政人騎手。本っ当に嬉しいでしょう。 第60回日本ダービーを制しましたのは、1番人気に推されましたウイニングチケットです」 |
勝利騎手インタビュー |
アナ「放送席、では柴田政人騎手です。おめでとうございます」 柴田「ども、ありがとうございます」 アナ「ダービージョッキーとなった今、まず第一声を聞かせてください」 柴田「そうですねえ、なんか、安堵感を覚えたというかね、なんとなくこうスッとした気持ちになりましたね」 アナ「それにしても、絶妙の仕掛け、タイミングでしたねえ」 柴田「そうですねえ、今日はうまく内側に潜り込めてね、レースの流れ、調度進められたんでね、 それでいい感じで進められたんじゃないかなと。 まあまあ、途中は、凄くこうリラックスして走ってたから、最後は伸びてくれること信じたんだけどね」 アナ「ハロン棒が200、100、そしてゴール版と変わっていく瞬間、気持ちとしてはどうだったんですか?」 柴田「そうですねえ、ゴール版が、速く手前にこないかなあという感じだったんですけどね」 アナ「そしてゴール板過ぎた時、涙と笑顔とどっちが先に出ましたか?」 柴田「んー、やっぱり、やったっていう笑顔が先だったんじゃないかと思います」 アナ「この喜び、まずはどなたに報告されたいでしょうか?」 柴田「そうですね、世界のホースマンに、やっぱり、60回のダービーを獲った柴田ですと伝えたいと思います」 アナ「本当に今日はおめでとうございます」 柴田「ども、ありがとうございます」 |