1994/04/24 4回 阪神 2日目 曇(稍) |
10R サラ系5歳以上 天皇賞・春(G1) 牡・牝(定量) 芝3200 |
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再現実況 |
実況 ;杉本清 解説 :大坪元雄 ゲスト:田原成貴 |
杉本「昨夜来の雨に洗われまして、緑いっそう鮮やかな阪神競馬場。第109回の天皇賞であります。 14年ぶりの阪神競馬場での天皇賞となります。圧倒的な人気を集めているビワハヤヒデが、 3200m、第1コーナーと第2コーナーの中間地点に設けられましたスタート地点に戻ってまいりました。 果たしてこの真っ赤な頭巾をいつ取るのか。 さあ、今日の特別ゲスト田原成貴騎手に、ちょっとこの天皇賞の見所を伺ってみたいと思います」 田原「そうですね、ま、騎手の立場から言わせて貰えば、やっぱりビワハヤヒデの岡部さんを巡る戦いだと思うんですね。 有力馬の藤田君や豊君が、あの〜どこで仕掛けるかですね。 ま、あの、ビワハヤヒデが有力馬の中では一番前に位置すると思うんですね。え〜、で、豊君が一番後ろに なると思うんですね。昨年の皐月賞や有馬記念の時のようにね、ウイニングチケットが早めにビワハヤヒデに 競って行くような展開を、ナリタタイシンの豊君なんかは望んでいると思うんですね。 で、その中間に位置するムッシュシェクルの藤田君や、あの、ステージチャンプの南井さんが、どういうところで 仕掛けて、ビワハヤヒデに競っていくかですね。ただ、競ってきた時でも、岡部さんはかかって来いというような 強気な姿勢で馬の力を信じて乗ると思うんですよね。 ただ、あまりにもレースが延々と流れた時はですね、やっぱり後ろのナリタタイシンの豊君なんかは、ちょっと、 あの、イライラするんじゃないですかね。果たしてその時に自分で出て行くか、それとも我慢するかですよね。 ま、あんまり出て行くと持ち味が消えてしまうんで、非常に豊君も難しいと思いますね」 杉本「はい、さあ、まもなくスターターが台に行くんではないかと思いますが、田原騎手としてはそうなると注目の騎手 ですね。騎手と騎手との戦いという風になりますけども、誰に注目しますか?」 田原「勝負どころで藤田君がビワハヤヒデにどの位置で接近していくか。 また、その時に岡部さんがどういう風な対処をするかですね。 で、誰もビワハヤヒデに自分から競って行かなかった場合、豊君が果たして自分から動いていくのか。 それとも最後まで我慢するかでしょうね。それがこのレースの大きなポイントだと思いますけどね」 杉本「ああそうですか。その中で特に注目してる騎手といえば?」 田原「もう、あの、藤田君ですね。藤田君が鍵を握ると思うんですけどね。 昨年の皐月賞、また有馬記念ですね、岡部さん本位ではないにせよ、やっぱりウイニングチケットが早めに来た ことによって、押し出される感じになってナリタタイシンや僕のトウカイテイオーに差されてますからね」 杉本「わかりました。さあスターターがスタート台に上がりました。 阪神競馬場にGTのファンファーレが鳴り響きます。第109回天皇賞です」 杉本「石巻さん」 石巻「はい、ビワハヤヒデ立派なものですね。 レースが近づいてきてグーッと気合がのってきました。急に気合がのってきましたね。 今ビワハヤヒデを入れようとしてますが、ちょっと嫌ってますね」 杉本「そうですか、石巻アナウンサーの声も興奮気味でありますが、ビワハヤヒデ、ゲートインを嫌っています。 大坪さん珍しいんじゃないですかこれ」 大坪「そうですね」 杉本「ようやく入りましたね。大坪さん、2番手注目はどの馬にしてますか?」 大坪「はい、私は一応対抗格にナリタタイシン、それからムッシュシェクル。この辺は差はないんじゃないかと思いますね」 杉本「さあ、あと1頭ですね。10番のアンダーキングが入りますと11頭ゲートインが完了します。 石巻さん、異常はないですね?」 石巻「はい、これで態勢完了です」
杉本「ビワハヤヒデが人気に応えました。阪神競馬場に詰め掛けた7万の大観衆も満足。 そして、テレビをご覧の皆さんも満足されたんではないでしょうか。 ビワハヤヒデ、珍しく、珍しく闘志を内に秘めて、岡部騎手の右手の握りこぶしが軽く握られたところであります。 ビワハヤヒデが引き上げてまいります。 ナリタタイシンも一旦は交わすような勢いだったんでしょうが2着。 勝ち時計は3分22秒6、上がりの3ハロンが36秒7。 ビワハヤヒデと岡部騎手です。 一瞬はハッとさせられたビワハヤヒデだったんですが、 最後の力を振り絞って、最後の力を振り絞ってナリタタイシンを抑えました。 もう一度直線を見てみましょう。 田原さん、この直線の攻防なんですがねえ、ナリタタイシンもいい足で来ましたよねえ」 田原「ええ、いい足で来ましたよねえ。もう本当に、この馬場状態で豊君、ほんとに力を十二分に発揮したと 思いますよ。スタート前に言ったようにね、今日はやっぱり、あの、藤田君はあんまり行かなかったですねえ。 その分やっぱり岡部さん楽になりましたねえ。 ポイントはあの三分三厘の勝負どころで、もう少しどれかが早めに行ってれば。 豊君も歯がゆかったと思いますけどねえ。まあ、それをさせなかった岡部さんも立派ですけどねえ」 杉本「しかし、いい感じでナリタタイシンも外を通って上がってきましたネエ」 田原「そうですねえ、だからもう豊君としては、誰かにもう少し早く行ってくれという思いでいたと思いますねえ」 杉本「大坪さん、なかなかこの辺り、乗ってるほうとしては微妙な心理ですよねえ」 大坪「ええ、今田原さんも言ってたようにね、自分で動かないと勝ちを取れないというね、辛い流れになりましたね」 それに対して、勝ったビワハヤヒデは、まあ完勝と言っていいでしょう」 杉本「そうですねえ。だから田原さん言ってたみたいに、やっぱり距離は強い馬に乗ってると乗ってる方も楽だという ことを言ってましたけどねえ。レースのまぎれも無いしということだったんですが。 しかし、最後の最後の力を振り絞ってナリタタイシンを振り切ったって感じだったですね」 田原「そうですね、強いですね。やっぱりもう、昨年よりもさらにやっぱり馬自身も、関係者の努力もあるんでしょうけど、 やっぱり成長してますね」 杉本「二ヵ月半ぶりのレースだったんですがね、やっぱり関係者の努力というのは大変なんでしょうねえ」 田原「そうですね、やっぱりこれだけの馬ですからね」 |
勝利騎手インタビュー |
アナ「天皇賞を制しました岡部幸雄騎手です。おめでとうございました」 岡部「ども、ありがとうございます」 アナ「多くのファンの皆さんの支持を受けての出走となりました。今どんなお気持ちですか?」 岡部「え〜、とにかく終わってほっとしています。はい」 アナ「表情も安堵の表情ですね」 岡部「ええ、結果勝てたんでね、よかったです」 アナ「さあ、大レース。どんなことを気をつけながらレースに臨みましたか?」 岡部「え〜、もうとにかく人のことより自分のことというか、結構あの〜引っかかるとこあるからね、 その辺をうまくなだめていけたらいいなあというか、その事だけを考えてました」 アナ「馬はレース前、落ち着いてましたか?」 岡部「あの〜雰囲気はね、いつもと変わらず、あの、彼なりのことをやってました」 アナ「ちょっとゲートに入るのを嫌がりましたね?」 岡部「時々やるんですけどね。でもまあ別に、そんな気にする程じゃないです」 (関東ではここでカット・・・) |