+++ 東京公演・帝国劇場(2004年12月26日・昼の部) +++

2度目の観劇からまだ間もないだけあって、今日は3回観た中で一番冷静に観ることが出来ました。冷静と言ってもたかが知れていますが。今日のお席も3列目でした。ただし初回とは丁度反対側の角度だったので、また違った景色が見えることを期待。…ところが、前の列の人が身を乗り出して観るものだから、せっかくの良席なのに、舞台の中央部分がすっぽり影に!こら〜っ(怒)!とは言えなかった自分が腹立たしい〜。2幕は背にもたれて観てくれたので、怒り爆発せずに何とか済みましたが。

今日のシローの歌声には鳥肌が立つような凄みがありました。特に「さらば神よ!」の部分。歌の端々から滲む激しい怒り。シロー以外の何者にも見えなかった。
そして四郎。神懸かっていくシローに対して、どんどん人間の地平に近づいてゆく四郎。この絶妙な対比、呼応してより美しく響き合う和音のような2人の熱演は、計算して出来る物とは思えないだけに、素晴らしかった。中川くん、泣いていたんじゃないかな。この日の上川さんは号泣でした。寿庵の上にポロポロ涙を降り注いでいました。

十兵衛登場のシーンではアドリブが増殖。「騎士団じゃないよ」と言いながら登場したのがこの日だったと。「有明海でワカメが云々…」と話し出したところ、上川さんに「有明海でダメになったのは海苔だろう!」とツッコミを入れられていました。さらに四郎様をワカメちゃん呼ばわり。この「サザエさん」ネタはこれを始めとしてその後進化し、花沢さん(お蜜)、中島くん(津屋崎主水)とどんどん登場人物が増えていきます(苦笑)。話を戻して、すべて殺陣の最中の会話ですから、信じられないというか、よくぞここまでやるというか感心してしまいました。立ち会いの後で十兵衛を残して立ち去るシーンでは「新感線らしくなってきたな」のセリフ。これは梅コマまでしばらく続くパターンとなりました。何しろウケるので。

それと、牢獄で甚兵衛さんとお福が立ち去ろうとするシーンでの日替わりアドリブ、この日は「日生劇場に参りましょう」だったかと(かなりうろ覚え)。
他にもマツの日替わりアドリブもあったのですが、残念なことに記憶に残っていません。小左衛門もさんじゅあんの館のシーンで、ちょこちょことアドリブ言っています。ネタが小粒だしその場で忘れてしまうので後で思い出せないのが難です。「行きましょう、助さん、格さん」と言ったのはこの日だったかなあ。

カーテンコールは最初から総立ちでした。つまり、最初に2人のSHIROHが出てくるところから。見慣れている観客がかなり多いなという印象で、事実リピーターが多かったのでしょう。アンコール曲の「光を我らに」の後、何度めかのカーテンコールで、上川さんが珍しく挨拶してくれました。セリフ以外の肉声を聞くのは初めて。「年の瀬も近くなって参りました。皆様、良いお年をお迎え下さい。また大阪でお会いしましょう!」。そこまで言うならわかりました四郎様、では大阪で。こうして私の大阪行きはいとも簡単に決まりました(笑)。

この日のチェックポイント(こだわってるのは私だけという話も)。四郎様の髪型。三つ編み2本に増殖〜!絶対ヘア担当の方に遊ばれていますな、上川さん。縦ロールも微妙に増えているし。衣装に合わせてベルバラ風になってきているような気がします。間違えてオスカル様と呼んでしまいそうです、四郎様。意外でしたが、上川さんってこういうハデハデな衣装も似合いますよね。新発見。

私はこれで帝劇公演が見納めになってしまうので、後ろ髪を引かれる思いで劇場を後にしました。千穐楽に行けないことをこれほど残念に思ったことはありません。『SHIROH』への想いを封印できず、結局大阪まで持ち越してしまった原因の一つは間違いなくこれでしょう。進化する『SHIROH』を見届けたい。まだ終わりにしたくない。こんな気持ちで一杯だった2004年の年の暮れでした。
帰り際に目にした点灯したばかりのミレナリオの綺麗だったこと。