「ほしのこえ」RADIO EDITION
私はオリジナルの「DVD版『ほしのこえ』」に対してある種の思い込みがあるものと思われます。
(DVD版でも、声優版ではなくオリジナル版が私にとってのデフォルトであり以後これを「オリジナル」と表記します)
なので、おそらくは客観的な視点で感想は書けないだろう・・・と、この段階で早くも白旗をあげてみる。
●このドラマCDは買いなのか?
いきなり核心です(苦笑)
・「ラジオで全話聴くことが出来ていれば買わなかっただろう」
・「ジャケ絵がポスターになって購入者特典になっていれば、購入に迷うことはなかった」
・「ゆかなが出演しているから買っただけだが、何か?」
などと、色々と言い方はあると思いますが・・・。
このCDを、嗜好品のひとつとして割り切れるかどうかだと思います。
正直に言えばどこに損益分岐点を設定されているのか、不思議でしょうがない。
どう贔屓目に見ても元が取れるとは思えない。
それともドラマCDという分野はよっぽど原価率の低い商品分野なのだろうか?
たとえばコラボレートというか、ドラマCDだけでなくこの作品よって関連の商品で利益が出せるとでも言うのであれば・・・。
ま、私はマーケティングの偉い人でもないし、パイオニアの社員でもないので売上による利益なんてどうでもいいといえば、
どうでもいいんですけど。
私が購入に踏み切った一番の理由が、
『私は買わずに後悔するより、買って血涙流す人だから』
というのは、人としてどうかとは思うけどね(「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」とも言う)
このCDのおかげで、雑想のネタがひとつ出来たし・・・。
きちんと金を出して購入した上で、あれこれ文句を言う(誉めることもあります)
これは最低限のエチケットだと思っている。・・・けど、
『気に入った作品の関連商品は、全部集めないと気がすまないヲタだからじゃねーの・・・』
というのが一番正解に近いかも。
誰がなんと言っても「最後は自己責任で判断してください」というありきたりな落ちになります。
あ、ちなみに私このCD3回聴いて既にお倉入りです。
●ボーナストラックのこと
ラジオドラマ用に7本分のシナリオ書いたけど放送途中で全4話になってしまったので3話分だけ、けずりましたが
ドラマCD発売に合わせて没原稿3話分が復活しました・・・。
とゆう印象が拭いきれない・・・。
最初からラジオドラマは4話の予定だったというのは分かっているけど、どーしてもそんな気がして・・・。
まあ、企業の営業戦略からいけば、当然最初に「ドラマCD」の発売が念頭にあって、スケジュール的に4話分なら
ラジオ放送が出来るからプロモーションもかね7話分から4話分をよりぬいて放送した、と考える方が自然なのだろうけど・・・。
だったら少なくとも「新エピソード3話」という表記はどうだろうと思う。
あと、テレビで流れたCMもね。申し訳ないけど、あのCMやジャケットの絵だけを見ただけではドラマCDの中身は
これっぽっちも想像できません。
あまりに不親切だと思う。
ビニールに閉じられた新刊本を表紙買いしたのはいいけれど、期待はずれな内容で涙を流した事を思い出してしまう。
と、ずいぶん乱暴な事を書いてしまったけれど、世の中には実際もっと出来の悪いドラマCDって溢れているし、
僕も色々苦い思い出がある。
私が考えるドラマCDの理想。
「それ単体で作品としての鑑賞に堪えられる作品でありながら、原作の良さを引き出している」
ということ。
和歌で言えば本歌取りのようなものだろうか?
ま、理想でしかないし、それをドラマCDに求めること自体間違っているのかもしれない・・・。
話を戻します。
おそらくは、このドラマCDから「ほしのこえ」の世界に触れるという人は皆無だと思う。
というか、製作者側が最初からそれを前提にして製作しているのだろうしね。
逆に言えば、DVDの「ほしのこえ」を視聴せずにこのドラマCDを聴いてもわからない事だらけだろう。
つまり、このドラマCDは「オリジナル」と切り離して聴くことが出来ない。
オリジナルがそれ単独で視聴に耐えられる作品であるのに対し、ドラマCDの世界観の補完は常にオリジナルに求められる。
「互いに」ではなく、ドラマCDが「一方的に」オリジナルに依存しているという図式が見て取れる。
CDの冊子に収録された新海氏のコメントに、
『オリジナルを踏まえたセリフが出てくるたびに全身にトリハダが広がってしまって辛くて(笑)』という言葉がとても印象的だ。
もちろん私は原作者ではありませんが、ドラマCDを聴いていて全身に鳥肌が立つ思いになったのは確かです。
その鳥肌は新海氏のそれとは異なるものではあるけどね(逆にそうであって欲しいけど)
『オリジナルを踏まえたセリフ・・・』という言葉。
オリジナルを踏まえるということは、そのセリフはけして「オリジナル」ではないということなんだと思う。
「模倣」と「本歌取り」は似て非なるもの。
登場人物たちのそのセリフにリアリティを感じることが出来ないのです。
彼らの言葉はボクには「オリジナル」の模倣でしかなかった。
物語としてきちんと納得させられたのであればそのセリフが既出であったとしても、彼らの彼女らのオリジナルの言葉として
聴く者の胸に響いてくるものだと思う。
その昔、就職試験でだされた三大噺のテストを思い出してしまった。「オリジナル」の世界観と、セリフを使って二次創作の
お話を作りなさい・・・。 そんな問題の回答がこのドラマCDだとしたら?
「ほしのこえ」のドラマCDなのだから当たり前といえば当たり前なのだろうが、オリジナルの影響を多大に受けすぎているのである。
そのセリフは、ミカコやノボルの言葉であってけしてカオリやノゾミやシンヤ、カズシの言葉とはいえないという印象が先に
たってしまう。
それとも、オリジナルでの台詞回しが耳になじんでしまっているわたしには、どんなにすばらしいドラマCDだったとしても、
物足りないと感じてしまっているだけなのかしら?
求めるものがあの、藍の自然な色合いであるなら、藍から抽出した青色がどんなに鮮やかな青であっても、それは私が求める藍色ではない。
わがままなやっちゃ(苦笑)
ドラマCDに関してはこの文章を書いた後も、一度も聴きなおしていなかったりします。
ということもあり、ドラマCDに関する感想は当事と変っておりません・・・(2005.6.14)
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