ワンチャイ2で印象的なのが犬鍋のシーン。

 犬を食べてしまったことに気付いた十三姨は嘔吐するが、黄飛鴻と梁寛は平然として食べ続ける。
 冒頭で西洋料理を食するシーンがあるだけに、十三姨が中国人でありながら「西洋」を象徴する存在であることがより明瞭に示されるエピソードなのだが、現代の日本人の目から見ると、犬を食べる黄飛鴻と梁寛のほうに違和感を覚えてしまうことも事実。
 しかし、実は犬を食することは東アジア一帯に広く見られる食習慣であり、日本でも少なくとも「生類憐みの令」以前はごく普通に犬を食していた。
 また、生類憐みの令以降も、江戸回りはともかくも、犬を食べる習慣は残り、文献上でも薩摩藩や松前藩で犬を食用としていたことが残されている。
 農耕民族である日本人は、農耕に欠かせない存在の牛馬を食べることは忌避したものの、それ以外の肉は食べており、特に犬は滋養食と考えられていたらしい。
 「日本史」の著者であるフロイスは「ヨーロッパ人は犬を食べず牛を食べるが、日本人は牛を食べず犬を薬として食べる」と述べている。
 中国の本草書によれば、犬は「田犬(猟犬・細犬)=狩猟犬」、「吠犬(家犬・畜犬・守犬)=番犬」、そして「食犬=食用の犬」の3種類に分類され、その肉は「五労七傷を治し気を益し腎を安んじ胃の気を補うもの」とまさに薬そのもの。効用は毛色によって差があり、黄犬、黒犬、白犬の順に高いのだそうな。
 「犬を食べる」と聞いてすぐに思い出すのは李連杰が丸焼きにして食べていた「少林寺」。おっと、李小龍も「怒りの鉄拳」で食べていた・・・。