(その3)

 白蓮教〜義和団を扱った映画を2つご紹介。
 まずは香港映画「白蓮邪神」(1993年)。


 ストーリーは少々破綻気味?
 白蓮教第16代伝人(教主)、無極無量真人の清朝打倒の野望を阻止しようとした兄弟子が倒されて、その娘と友人の若者が教主に戦いを挑む・・・という話なのだが・・・。

 脚本が悪いのか、見ている方の中国語理解力に問題があるのか、登場人物が多い割りにまとまりが悪く、いったい誰が主人公なの?という印象を受ける。
 しかしまぁストーリーなど二の次、この映画の見所は白蓮教団の描き方。

 同じ史実を元にしているのだから、似て当然かもしれないが、教主に扮する計春華熊欣欣に見えてしまう!・・・ただし、さすがに「机積み上げ祭壇」は出てこない。

計春華、手ぇ燃えてるぞ!

 ワンチャイ2のパクリ映画というわけではなく、典型的な香港アクションが連続、なかなか見せてくれる映画。チョイ役ではあるが于海も出演している。

 「ワンチャイ天地仰天」とか言って日本語版が出ることをひそかに期待しているのだが、まぁないだろうなぁ。


 


 さてもう一本は、義和団を扱った映画と言えば外せない「北京の55日」(1963年)。


 チャールトン・ヘストンエヴァ・ガードナーデビッド・ニブン主演の堂々たるハリウッド超大作映画。主人公は米国軍人と英国外交官、中国人は背景として描かれる。民族闘争をスペクタクルの題材にしてしまったことには賛否あるようだが、描き方はまずまず中立的。日本軍大佐役で伊丹十三(当時は伊丹一三)が出演。

 しかし西太后、栄禄将軍など中国側の主要人物がすべて英国人によって演じられ、台詞も英語というのは少々違和感が。

 




 ストーリー的には他愛のないハリウッドスペクタクルだが驚くべきは舞台となる北京城のセット。


 スペインはマドリッド郊外の大牧場に組まれた大セット、高さ12メートルの城壁は、その上を馬車4台が走れる広さ。


 小道具は本物を多数使用、なんと運河まで掘ってしまったというからさすがに当時のハリウッド大作映画はスケールが違う。


 中国民衆はちゃんと辮髪を結っているし、下手な香港映画より時代考証がきちんとされているように思えるが、中国の人が見るとまた違うのだろうか?