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腫瘍とは、ある種の細胞が無秩序に増加してしまう病気です。
腫瘍には全身状態に影響を及ぼす悪性腫瘍と、そうではない良性腫瘍があります。ここでは、犬猫に比較的よく見られる腫瘍をいくつか紹介します。
肥満細胞腫は、炎症やアレルギー反応に関連する肥満細胞という細胞の腫瘍です。犬では皮膚に発生することが多く、猫では皮膚、内臓に発生します。皮膚の肥満細胞腫の外見は様々で、硬い病変、柔らかい病変、単発性、多発性などあらゆる形態をとりえます。腫瘍が縮小したり拡大したりするのも特徴です。症状は皮膚症状が一般的ですが、肥満細胞の中に含まれる顆粒が放出されることで、腫瘍の周囲が赤くなったり、嘔吐、食欲不振、血圧低下などの全身症状がでることもあります。
肥満細胞腫には、病期(腫瘍の浸潤の程度や転移の有無など)によるステージ分類や組織学的なグレード分類があり、それらにより進行や予後が異なります。犬の肥満細胞腫は悪性度の低いものから高いものまで様々です。一方、猫の肥満細胞腫は犬に比べ悪性度が低いことが多いですが、猫の消化器に発生した肥満細胞腫は予後がよくありません。
肥満細胞腫の治療は、外科手術と放射線治療による局所治療が第一選択となります。外科手術や放射線治療ができない場合や、それらでコントロールできない場合は化学療法を行うこともあります。外科手術では、外見上腫瘍が取り切れているように見えても腫瘍細胞が浸潤していることもあるため、正常に見える皮膚も含めて切除します。腫瘍に加え切除する部分をマージンといいます。当院では、マージンを十分にとり腫瘍を切除する手術を行っています。また、分子標的薬という新しい抗がん剤も取り入れ、必要に応じて使用しています。
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登録 平成25年5月15日
有効期間 平成30年5月14日
動物取扱責任者 江藤朋子