ミカエル音楽雑記帳







ここは私の音楽鑑賞記です。
別に点数をつけたりとかはしないで、いかに楽しんだかに焦点をあてます。
参考までにジャケット写真と私が入手した(番号/国)をのせておきますが、
入手困難のものもあるかもしれません。また、文字化け防止のため原文とは違う表記の場合もあります、ご了承を。
御意見等は こちらまで

ジャケット写真アーティスト/タイトル コメント
Peter Gabriel

OVO THE MILLENNIUM SHOW
(RWPG01/UK)
あっ通天閣だ!
待ちに待ったP.Gの最新盤。最初に見た時の第一印象は、ずばり「通天閣」が何故?いきおい「ブラック・レイン」を思い出したのだが、内容は最高。おまけの絵本に出てくるOVOもかわいいが、ピカチュウのパチもんと言う説も有り。これを聞いて思い浮かべたのはGenesis時代のBroadwayなのですが、表面的な音楽性はだいぶ違います。もうなんでもいいんだ、P.Gは最高です。今回はストーリー性のある大作です。じっくり聴きましょう!
XTC

WASP STAR
(TVT 3260-2/UK)
「のどちんこ」
XTCのApple Vinus vol.2となるこのアルバムでは、前作の内省的アコースティックサウンドから一変して、XTCの原点と言うべき「電気ポップ」の世界が展開されています。心地よいドライブ感と英国的なひねくれ感が、魚料理とビール(エール)によく合います。パブロック的な音楽性からそう思ったのですが、すべて聴き終えたあとの感触はBeatlesに通じる統一感を持っています。新しいのか古いのかわからないような、典型的でありながらも、他に類を見つけにくい音楽性です。
Matia Bazar

BRIVIDO CALDO
(col 497796 2/Itary)
新しいマティア・バザール
いつの間にかメンバーチェンジをしてしまった。L・ヴァレンテとA・ステリータの脱退なんて考えられなかったが、ここまで長く活動をしてれば、もう誰がやってもいっしょなのか?まるで違うバンドがカバーをしているみたいだが、曲の良さが全てを帳消しにする。今までトマトソースだったのが、コンソメに変わったような味わい。今のところ、新しいボーカリストがどんな人なのかわかりません。
Vashti Bunyan

JUST ANOTHER DIAMOND DAY
(MD-071 Hystic Diva Records/Canada)
まったりとあそんでいます
季節で言えば初春か初冬、開け放した窓から楽げな声が聞こえ、ほどよい陽の光が雲の間から注している。やることないし、しょうがないから音楽でも聴こう。なんて時にぴったりのアルバム。この人がどんな人か知らないけど、声はいつか聴いたような感じ。普通のひとが普通に歌ってる良さがあります。絶唱系に飽きた人におすすめ。
Sun Ra

SUNDTRCK TO SPACE IS THE PLACE
(ECD 22070-2/USA)
ピアニスト宇宙に帰る
残念ながら宇宙に帰ってしまったサン・ラの自伝的映画のサウンドトラック。映画の方は邪悪な酒場経営者とサン・ラの因縁を軸に、どこまで本気かわからないサン・ラの地球での半生を描いていますが、映画との協調により音は非常にシャープで広がりをもっています。タイトル曲は仕事中に頭に回って困るような名曲。
Françoise Hardy

CLAIR-OBSCUR
(7243 8 42032/France)
心の拠り所または女神
「もう森へなんかいかない」以来、私にとって心の拠り所である。一度引退宣言をしたのだが、いつの間にか復帰していて、ここでまた以前の「おとぎばなし」的な世界を展開するなんて憎い。前作はどうも好きになれなかったが、このアルバムはもう10回以上聴いている。イギー・ポップもいい味を出している(なんとなく顔が似ている、兄弟か?)。
Richard Bona

SCENES FROM MY LIFE
(SRCS 2115/Japon)
アフリカの貴公子
カメルーン出身の凄腕ベーシストですが、牧歌的な歌声がとても印象的。J・ザビヌルのバンドでは超絶テクで圧倒するタイプでしたが、ここでのベースは歌声の延長線上で、2声で歌っている様でさえあります。彼曰く「人間は一週間食事を抜けば死んでしまうが一週間音楽がなくても僕らは生きている。でも音楽も人間の営みである」なんて哲学的。ベースの音色の良さはもちろんですが、とてもバランス感覚のいい人だと思います。
Ray Barretto

ACID
(CDF 346/France)
ガチョーン
仲本工事と谷啓を足して二で割った感じの風貌で、正当派ラテンマニアの間では何故か低く評価されるレイ・バレットの際物アルバム。でもこの明るいいかがわしさがラテンではないだろうか?サイケブームに便乗して、何故かソウルとの融合なんてのもいい感じ。いい加減に踊っても許される。ベネズエラ版無責任男。
Bo Kaspers Orkester

AMERIKA
(COL 485119-2/Sweden)
美しいお姉さんは好きですか?
ジャケットの「足」に惹かれて購入した人もいるんじゃないでしょうか?Lars HalapiのJoe Passを思わせるギターソロが印象的な1曲目から、内省的でいながらもしっかりとしたグルーブで曲は進んでゆく。木漏れ日が窓から入って来るような音。クールな詩的感覚で、季節を選ばない名盤。
Fishmans

ORANGE
(MRCA-10019/Japon)
人生はうたかたの夢
なんにもやる気が起きなくて、ただぼんやりと過ごしたい時に、ふと流れてくる音楽に心を奪われることがあったなら、真っ白な心の余白がある証拠ではないでしょうか?夢から醒めてぼんやりしているような音感。惜しい人を亡くしました。現代日本の感性を表現できる人でした、ほんとに悔やまれます。
Devin & Statton

CARDIFFIANS'
(VICP-74/Japon)
まるで可憐な花のような
Alison Stattonの声は野原に咲く小さな花のよう。Ian Devineという有能な相方によって、ひと際いい感じになっています。レコード店で曲に合わせて調子っぱずれな歌をうたっていた店員だったそうですが、常連の双児のミュージシャンに誘われYoung Marble Giantsに加入し、その後Weekendなどで活躍した後の作品ですが、ここに来て地味なシンデレラになって声を聞かせてくれたという感じです。
Faudel

BAÏDA
(Sankara-546 253-2/France)
新しいフランスの感性
多人種国家フランスには、幾多の移民芸術家がいます。それぞれのアイデンティティーを持ち表現し、それを市民が称賛することで、芸術的な発展をしたのではないでしょうか。アニエス・Bも絶賛した若きイスラム系のシンガーは、ラジカルでありながらも素朴な感じ。リズム、乗り、ともにひと皮むけてます。
Pat Metheny Group

IMAGINARY DAY
(WPCR-1856/Japon)
ギタリスト神秘主義系
パット・メセニーは本当にいろいろな音楽を聴いてるんだろうなぁ。ジャズにルーツを持ちながらも、いろんな要素を盛り込んで、終いには自分のギターをカットしたリミックス盤を絶賛するような柔軟性。アメリカ人離れした奥深さ。1時間あまりの精神世界旅行が楽しめます。
Black Uhuru

ANTHEM
(CCD 9823/USA)
人はみかけによらない
こわそうなお兄さん(おっさん)らのユニットですが、以前TVで見た彼等はとても穏やかで優しい感じでした。スライ&ロビーのリズムセクションの上に、話し掛けるようなボーカルが乗る。レゲエというジャンルに収まらない多彩な表情をもっています。
石川セリ

翼・武満徹ポップソングス
(CCDY-78624/Japon)
叙情派系主婦
この組み合わせ、最初は冗談かと思いました。しかし「水」と「濡れた砂」の融合は、淡白な叙情味あふれるものになりました。言葉と音の組み合わせのツボをおさえているのはさすがです。武満氏の「ご主人(井上陽水)にも気に入ってもらえると思います」とのほのぼのとしたコメントもあり。「みんなのうた」で流れそうな感じでもありますが、決定的に違うのは、ある種の毒のようなものが含まれていて、ちょっと痺れるような感じはたまりません。
Strawberry Switchblade

STRAWBERRY SWITCHBLADE
(18P2-2856/Japon)
人はみかけによらない2
春先になると毎年必ず一度は聴くアルバム。この2人組のユニットのルックスはパフィーにアン・ルイスの物まねをさせたような感じですが、音の方は日本の春に意外に合います。とっても繊細で儚気だったり、うきうきするようだったり。バックにはプログレ系の大物も参加。舌足らずな歌声も素朴でフォーク的な味わいもあります。
The Bothy Band

AFTER HOURS
(GLCD 3016/USA)
愛と哀しみの異端児
アイルランドを代表するバンドのパリでのライブ。ロック乗りのジグからなごみ系の歌まで多彩な選曲で、どちらかといえば寒い季節に似合いそう。トラッド界からは異端児扱いを受けたようですが、こういう人達こそ評価されるべきでしょう。Voのチリーナのくしゃみも聞けますが、若きドーナル・ラニーの歌声も好い感じ。多分あまり広い会場ではないと思います。まるですぐ目の前で演奏しているような感じさえします。
Barney Kessel

BARNEY KESSEL VOLUME1
EASY LIKE
(OJCCD-153-2/USA)
黄ばんだ星空
まるで古い映画を見ているような音。フォークライクなフィーリングがじわじわと広がる。クールかといえば確かにそうだし、当時は洗練された感覚として受け止められたでしょうが、フレーズが細やかでもあり大雑把でもあり、今聴くと非常に素朴な歌心を感じます。また、チャーリー・クリスチャンからビートルズまでの世代の掛け橋をした貴重な存在。ジャズを聴きはじめた人にもおすすめです。
Flora Purim

THE FLIGHT
(BW 048/UK)
おかしな飛行機旅行
風に乗った羽毛のような声は健在。不思議なことに、彼女が歌った曲はどんな上手いシンガーが歌っても、彼女の方がいいなと思う。音程の不安定さ、リズム、声量の無さ。しかしすべてのマイナス要素を自分のスタイルにして、「私が一番」になってしまう。ほんとに不思議な人です。夫のA・モレイラも熱演。
Can

FUTURE DAYS
(spoon CD 009/Swiss)
架空のSF映画サウンドトラック
とはいっても情緒的。日常生活の風景を拡大していくような音楽で、ある意味トリップ的な世界が展開されています。旧式(70's頃)のSF映画ってこんな感じだったのかなぁ。聴き込むにつれさまざまな風景がだぶってくる音楽でもあり、人ごとに違う印象を持つでしょう。
Narciso Yepes,Takasi&Silvia Ochi
Monique Frasca-Colombier

Antonio Vivaldi
Concerti für Lute(Gitarre)
Concerti für mandolin
(429-582-2/Germany)
楽聖の素朴で枯れた味わい
ポストルネッサンスの旗手A・ヴィヴァルディのリュートとマンドリン、ビオラダモーレの協奏曲集。全体的にポップな色彩に彩られた曲調で、野趣あふれる枯れた味わいが楽しめます。各演奏者の手腕も手伝って、バラエティ豊かな作品になっています。夏の夕涼みに、冬の団欒に、なごめます。
João Gilberto

João Gilberto
(POCJ-2557/Japon)
ボサノヴァの基本
ジョアン・ジルベルトの隠れた名盤。ギターとハイハットのみのシンプルな編成で、ひたすら歌いそしてなごむ。アメリカへ輸出され忙しくなってしまったボサノヴァの、本来のなまけもの的な姿。強豪チーム相手にループシュートを決めたような爽快感が味わえます。
Hatfield and the North

THE ROTTER'S CLUB
(CDV2030/UK)
脱力系プログレ
音楽の地方都市カンタベリーは数々のよいバンドを輩出しました。カンタベリー系のミュージシャンは所謂プログレに分類されることが多いのですが、このバンドはジャズ寄りで、様式美系のプログレとは全く異なる方向性を持っていました。軽いタッチで青い空が石畳に映える様を想像させるような、もうひとつの英国の古典的ロックサウンド。水彩画みたいなアニメーションを見ているようです。
Slapp Happy

ACNALBASAC NOOM
(RER SHCD/USA)
いんちきポップス玉手箱
これはいつであるかとか、何であるかなど問題ではないでしょう。3人の奇才とドイツの際物バンドが会して、多分すごく一生懸命作ったんだけど、いい加減に作ったように聞こえる稀な音楽。後に正規版がヴァージンレーベルから出て、リチャード・ブラントンという実業家の礎の一部になりました。とにかく諧謔に満ちて楽しくて、懐かしいけど新しい。タイトル曲は加藤登紀子さんもカバーしています。
Monique Haas

Claude Debussy
L'OEUVRE POUR PIANO
(WPCC-5045/Japon)
詩情あふれるピアノの情景
フランスの女流ピアニストのドビュッシー作品集。ここでは静かな心の琴線をかき鳴らす、抑制の効いたピアノを聴くことができます。ちょうど私が彼女の演奏に出会った年に亡くなられましたが、若い頃の写真を見たらとても可愛らしい人でした。もっと聴きたい人にはインテグラルも出ています。

その貳へいく

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