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このページは、文章系個人サイト『ニーモニック・スピンSR』の旧記事アーカイブの一部です。もしよかったら、以下の本体サイトもご覧いただけると嬉しいです。






12.19.2000 (Tue):『ムーバブル・フレーム』

■つーか2週間ぶりのお久しぶり。spinnです。お元気でした?

■前回から今日まで何やってたかっていうと、南青山の素敵なカフェを借り切って、会社関係のみんなでパーティを企画・準備及びレコード係していた訳なのです。港湾地区のデッドエンドシティにある会社から遠く離れて、やや身分不相応気味だ。いや〜イベントを一から仕切ったの初めてだったし、お世辞にも100点ではなかったと思うけど、「やってみる」ことで見えてくることとかあって、個人的には満足。何より、集まったみんなも楽しめてた?みたいだったのが良かったし、VJやってみたいって先輩(超多忙)にも無事参加及びデビューしてもらえたしね。次はもっとうまくやるよ〜。

■そしてもう1つ、*open storageにも書いたけど、『ホンモノの文章力 −自分を売り込む技術』(樋口裕一・集英社新書)って本を読みました。予備校の先生らしく、「まず型を覚えてからアレンジしろ」とかって実践的な内容が非常に心地よく、理にかなってる。型はいいね。それがあってこそ、全ては始まるよ。

■例えば、僕はギターが弾けないんだ。コードも知らないし、指遣いもよくわからない。教わったカタチに左手の指をグニニニと力入れて変形させて、不協和音ボジャラーン→だめだー、なんてね。どうにもギターを操る型を知らない。そんな僕に対して、例えば「感じたまま弾いてみなさい」とか言ったって露骨に無理なわけだ。ていうか気持ちよくない。どうやったってボジャラーンだしジャボラーンだ。そんなの嬉しくないよ。僕はチャラーンとかテケテケとかやりたいのに!

■でも、これと同じことを小学校の作文とか図工とかでやってたりするじゃない? 少なくとも僕が小学校のときは、「感じたまま文章書いてみよう」とか教えたりしてた。中学校のときの美術教師なんて、写生大会の前に「僕は青空にも赤色を見るね」とかありがちな印象派テロ行為に及んでて、わけわかんなくて悲しくなったよ。印象派自体は悪くないし、何百年も破れなかった「輪郭線」っていう呪縛をぶち破ったセザンヌはかなりラジカルで格好よかったと思うけど、それは型や前後関係、わだかまりや疑問や気持ちや発見があってこそのことだよね。それを説明なしにいきなり子供に教えちゃうのは、ちと無責任じゃないのとか。

■さて、久々に更新についても書いていきましょう。おなじみ*ridersにnogucci姐さんがエントリー。ジャパニーズテクノ(しかもかなり底辺から)を90年ディケイド通しで見守るテクノ吉祥天女ぶりが、あんた眩しすぎるよ(スレッガー・宇宙世紀0080年)。そして同じ浦和の血をひく者として例え地の果てでも分かり合える、そんな気にもさせてくれます。ダダンダ・ダンダン浦和レッズのディープなページもあるしね‥‥‥つーか何やってもディープになっちゃうんですね〜。頼もしい。これからも公私共々よろしくです。

■「感じたまま」は、ある程度の型があってから楽しくなるし、型を覚えたら人は飽きるって能力で勝手に進んでいくんじゃないかなと思った。文章もそうだし、そうだな、イベント企画もそうなのかも知れないなーとかそんなことを思いつつ、それではまたね。


12.30.2000 (Sat):『リアライズ』

▲これがそのペーパーのカバー部分。折り畳まれた紙を拡げると、A1サイズになります。

■そして前回報告した楽しいパーティ終了と同時に、今度はおなじみのコミケに向けて、没入感あふれる作業をしていたspinnです。またまたお久しぶり。

■今回はスタッフ仕事だけでなく、自分で何か作ってサークル参加してみよう! という気持ちと共に、6年ぶりくらいにA1サイズの巨大なペーパーを作ってみました。題して「mnemonic solution real」。実体を伴う新しい形のニーモニックスピン、ここにロールアウトです。

■6年前に同じようなペーパーを作ったときは、A1サイズのケント紙の上に、Macからプリントアウトした文字や絵をスプレー糊で貼り込んで実寸原稿を作り、それを工事の図面とかで使う「青焼き(青一色プリント)」で印刷していました。だけど時は流れ、印刷屋つーか出力屋の環境もMacの環境も大きくかわって、今回は完全にIllusutratorってソフト上で原稿を完成させ、そのままMOで入稿→フィルム製版なくダイレクトで4色出力しています。すごいね。フォントも夜中にネット通販→ダウンロードしてそのまま使えるし。

■直球で20世紀を振り返るべく作ったこのペーパー、細かい内容については見てのお楽しみという感じにしたいところ。明日30日、お台場・東京ビッグサイトの、西2ホール・た-19b「mnemonic spinn」にて販売します。実体売りも久々で緊張します。

■もし会場で会えたらいろいろ話とかしましょう。よろしくです。それでは、またね。


12.31.2000 (Sun):『リプライズ』

■‥‥‥ということで、コミケに参加してきたspinnです。6年ぶりのペーパー作り、久々の実体売りでやや緊張し、また「売れ残ったら数万の赤字だな‥‥‥」とか具体的な危機感を抱きつつの参加だったけど、持ち込んだ100部はほぼ完売できました。「完売」とはいえ、原価割れで値段つけてたから赤字は赤字なんだけどね。

■で、だ。会社やプライベートの友達がきてくれたり(後生だから会社に持ってくるのは勘弁な)、ピクスピeraから見てくれてた方がいらしたり、テクノな感じの方が食い入るようにペーパー見つめてくれたり、終了間際に可愛らしい女の子が買ってくれて→直後にやっぱり可愛らしい友達つれてきて→その友達が買うなんて美しい回路が開けたり等など、具象世界ならではの様々な出来事にやっぱりいいよなと思った。買ってくれたみなさんありがとう。中身はどうでした?

■そして、ペーパーをきっかけにここニモスピに来てくださったみなさんには初めまして。日頃のニモスピはこんな感じです。よろしく。

■ところで、話を僕自身方向に置き換えてみると、何が良かったって「限定された期間に全速で駆け抜ける機会をえたこと」だったかも。3日という製作期間の中で、ぼんやりとあたためていたアイデアを実際に図面に起こし、ソフトを起動し、足りない物を手に入れ、うまくいかないネタや仕様はボツにして再検討し、体調を管理しつつ締め切りまでのスプリントレース。短期間でアイデアを現実化する過程を全部やってみることで、なんつーか自分の容量とか性能、そして「何かを作りたい気持ち」をチェックできたみたいなんだ。

■日頃やってる仕事は1〜2年の長期スパン・そして集団で行う耐久レースだし、要求される能力とか仕様はもちろん違う。だけど、個人としての自分の気持ちエンジンがどれくらいの物なのか? ってことは、限界まで攻めてみることで分かった気がした。これはワナビーくん向け雑誌でも感じることだけどさ、限界状況じゃないときは、「オレは世界一ビッグになるぜ」とか何だって言えちゃうわけだし。

■‥‥‥それでチェックの結果はどうだったか? については、僕個人の問題だしひみつにしておきます。というより、今こうして文章打ってる僕は限界領域ではないので、何だって言えちゃうから言いたくない、っつーところ。

■自分としては相当いいタイミングに「見直し」ができたし、そういった意味でたまに行う課外活動はいいなと思った今年最後の更新でした。Modaji(モダージ)のメロウ過ぎる官能的なアルバムに身を任せながら、現在午後3時、ちょっと遅くなっちゃったけど今年最後の休日出勤してきます。人がいない会社って、スピーカーから音を出して仕事できるから最高なんだよねー。それではまた。よいお年を。そして来年もよろしく。


01.07.2001 (Sun):『マイ・ファースト・コンサンプション』

■こんにちは。01年最初の更新となりました。今年もよろしくという気持ちを花束にして、僕だよ、spinnです。「なーんだ20世紀と変わらないじゃん」とか言って盛り下がってる子はいないかな? どうした、らしくないじゃん。20世紀と変えるのは・未来を今にするのは、これからの話じゃないかじゃん。ガンガンいこうぜ。とりゃー。

■なんて吹かし過ぎのバーニアで向かったのは、住宅都市・中目黒と欲望都市・渋谷。2ヶ月ぶりに髪を切り、1ヶ月ぶりに思う存分レコ買い三昧大満喫。実際に買った量はそんなに多くないけど、いつもは聴かないジャンルまで試聴しまくったり、いい曲が爆音でかかってる店では長居したりの大量消費時代。楽しかった〜。そして現在、買ってきたレコードを順番に聴いています。楽しい〜。今回の狩りは大成功だな。山男だ。惚れるなよ。

■それと言うのも、たまたま見つけた素敵ページ・「People Make The World Go 'Round」っていうレビューサイトの影響なんだよね。選ばれてる音楽がとても僕好みだってこと以上に、自分が好きな音楽をちゃんと扱ってる感じ・丁寧なレビュー・丁寧なアーカイブ仕事に、(この音楽が)好きなんだなーっていう気持ちが伝わってきて、ちょっと妬けちゃった。で、妬けた気持ちが今日のレコ買い行為に直列でつながった仕組み。

■そして、ここニモスピも、こんな風に誰かの行動を後押しできたらいいなって思った。批判を加えて何かをやめさせたりとか、何かを強要したりとかじゃなくて、そっと後押しして励起するような位置関係がいいなって思ったりしたよ。

■上記素敵サイトへは、ニモスピのリンクページ・*linkageからもリンクを張りました。今後ともさらなる充実に期待していきたいです。頼みます。

■さて、このまま更新話でいきましょう。みんなの広場こと*ridersの#54に、渡辺浩崇さんがエントリー。えっと、たぶん初めましての方?ですよね。日本偽現実工学会会報というページを運営されているようですが、内容を見るに同じゲーム業の方なのかな。今出てる週間プレイボーイ誌上で堀井・宮本両氏に相当余裕ぶっこかれてるので、気合い入れて参りましょう。

■続いて#55には、まいこさんがエントリー。こちらは、友人たくみがやってるMA. Factoryの掲示板でお知り合いになりつつ、未だ直接会ったことはなくて。でも彼女のページを見る限り、絵を描き・音楽を聴き・ギャルゲーをやり・しかも職業プログラマーと多彩なのに、トータルの印象がニュートラルつーか凄くバランスとれてて、いい感じですね。これからもよろしくね。

■あとは、ここ*days flowのカスケード・オブ・カラー略してだんだん消えていく背景色のカーブをちょっと変更したりとか、マイナーな修正を何点か。今回の更新で完全に消えちゃった11月4日の「心的回転」話は、わりと好評だったので独立コラム化しようと思っています。ご期待ください。

■以上、今回は近況報告と更新に終始でした。それでは、またね。


01.15.2001 (Mon):『ステイのチューン』

■こんにちは。2001年も1/24を経過して、夜空を越えるspinnの軌跡。ていうか引越しだ! そうなんだ、社内規則により来月末までに社宅を出なくちゃいけないってことで、外に向かってはお部屋探し、内に向かってはフロアトップの再構築。粗大ゴミは市に連絡の上で順法投棄、雑金属は木曜日、これって要るの?要らないの?を心に問いかけながら、部屋の整理をしている仕組み。

■持ち物を取捨選択していると、自分がどこへ行こうとしているのか?何をしたいのか?って判断を気持ちに突き立てられる気がしちゃう。困った。「どんな時でもクリアー」を目指していきたい僕としては、こんな時さらっと判断できちゃうのが理想なわけだけど、いやーそうはうまくいかないよ。やっぱり迷うし、悩んでしまうし、「要らないんだけど捨てない」って第3の判断を何度も何度もしてしまう。

■ちょっとがっかりで残念だけど、しょうがないんだよね。こうなったら、むしろ第三の選択肢「保留」を判断の中に積極的に取り込んで、保留は保留として受け入れて、その保留とうまくつきあう仕組みを考えたほうがいいかも?って思うんだけど、どうか?

■ここで思い出したのが、会社の同期が使ってたMacのこと。数年前のことだけど、何かの機会に彼女のMacのデスクトップを見たら、ゴミ箱フォルダの隣に「捨てられない」って名前のフォルダが置いてあったんだ。「だって捨てられないファイルってあるじゃない(談)」ってことで、彼女が自分で作った「保留のファイル」を入れるフォルダを見たとき、あーうまいことコンピューターと付き合ってるなーと、その柔軟なやり方に驚いたものです。あの時はまいったね。

■判断がクリティカルかつ難しいものであればある程、またはいくつもの判断を並行しなくちゃいけない時ほど、判断を一旦保留にしたい気持ちが発生します。その場合、諸般の都合や強迫で潰すことなく、むしろうまく保留できるようなインターフェイスやシステムを考えていくと、より素敵な未来が待っているかも知れないなとか、今日はそんな話でした。いわば保留のマネージメント、なんてね。とかって具体案は無いんだ。勘だ。すまん。

■さて、そんな混迷を極める情勢の中でも、変わらず野に咲く花のように今日の更新行ってみます。お馴染み*ridersの#56に、おおくぼんさんがエントリー。会社の先輩であり、nanosoundsというチームでプライベートでの音楽製作もしている方。今後とも、公私共々いい音楽を頼みます。懸案のレコ買いツアーは、近いうちにみんなでやりましょう。よろしくです。

■聞いたところだと、北緯35度の昼の長さって、昨日ちょうど10時間だったみたい。つまり夜の長さが14時間。夏至に向けて短くなっていく夜を惜しむように、spinnの軌跡は夜明けに向かって飛んでいきます。格好いいけど、中身のないビジョン。やや困ったところで、それでは、またね。


01.28.2001 (Sun):『メゾン・ド・エートル』

■というわけで、2週間ぶりのspinnです。久しぶり。前回からさらに24分の1年が過ぎて、部屋探しもようやく収束方向です。で、ほっと一息to the更新ってわけ。

■いやー、ほんと面倒だったしプレッシャーだったよ。実は生まれて初めての自分探し部屋探しだったしね。かかる金額も影響も半端じゃないから当然って気もするけど、例によってぼんやりしてたら退寮期限が迫ってて、やっぱり例によってスプリントレースになったのが辛かった。しかも部屋探ししてる競争相手の多いこの時期に、探す地域も凄い人気の東横線エリア。はい、次回は気をつけます。

■で、この2週間、のべ16件の不動産屋をまわり、似たような図面を死ぬほど見たり・実際に部屋を見にいったりしていて面白かったのは、自分が過ごしたい「未来生活イメージ」が、部屋探しを通じてどんどん洗練されてくことでした。

■経験ある人も多いことなんだろうけど、希望スペックを満たした「ひょっとして100点満点?」みたいな部屋を見に行くと、それまで気にしてなかった意外な難点に驚かされたりするんだよね。例えばスペースシャトルみたいに非情な狭さのユニットバスを見ることで、あー僕はゆったりお風呂をこんなにも愛していたかと気がついたり。逆に、実はどっちでも良かった希望条件が消えたりもしたな。

■そんな発見を何度も重ねていくことで、あまりに日常的で意識してなかった「自分の生活」がどんどん可視化されていく。そして、不満に思ってることや、希望する未来の具体っぷりが上がっていくんだよね。

■やがて時はながれ、今の僕には自分専用の未来生活イメージが残ったのです。朝起きて会社行って帰ってきて寝るまでの自分/平日の自分と週末の自分/春夏秋冬と自分/調子いい自分とヘコんでる自分/忙しい自分とヒマな自分/一人の自分・誰かと一緒の自分。これからも手続きとか引越叙事詩は続いていくのでやや気が重いけど、気持ちに残ったこのイメージは意外なプレゼントであり嬉しげです。まあ、新しい部屋に住んだら住んだで、別な未来イメージを描きはじめたりするかもだけどさー。

■さて久々の更新は、ニモスピのリンクページこと*linkageにて、はげしく素敵なデザインユニット・love the lifeへのリンクを張りました。彼らお二人のお仕事は店舗などの内装デザインが中心なんだけど、限られた予算と環境の中、クライアントにぴったりの未来イメージを描き実現していく過程が詰まったjob diary(←topicsのworksコーナーに入ってます)がドキドキです。そして頼もしい。ようっし僕も自分の未来イメージを実現していくぜと誓い新たにしたりした。いいです。

■部屋探しでもう1つ面白かったのは、月〜金まで朝普通に起きたのがえ?8年ぶり?予備校以来?とかだったってことでした。仕事の前に物件見にいったりしたからね。混んだ電車に乗ったりすることで、いつもの自分がスタンダードな生活からいかに離れてるのかを思い知らされたよ。そして、広くみんなに向けたプロダクトを作るのが仕事なのに、あまり浮き世離れした生活もよくないな〜と思った次第。それじゃ、またね。


02.05.2001 (Mon):『エクステリア』

■こんにちは。僕はspinn。部屋探しは契約完了→鍵をゲットしたので、いよいよ荷造り/手続きフェイズがやってきました。なんか冷蔵庫とか照明とかも揃えなくちゃだし、部屋のレイアウトも考えなくちゃメジャーで測らなくちゃつーか引越の手配しなきゃとか、オレ達そんな世代です。

■とはいえ人はパンのみに生きるにあらずとか何とか、土曜日にはlove the life主催のイベント・「voices」@渋谷・道玄坂KRANZに行ってきました。会場となったカフェをはじめ多数の素敵インテリアデザインを手がけるltlの2人が、現代美術作家・中村ケンゴ氏をゲストに呼んでのトークショウ。

■で、内容はというと、クライアントとのやりとりで自分たちの狙った面白さや格好良さが出し切れなかったり・そもそも発注を受けてから仕事がはじまるそんなltlの2人が、作品作りに関する芸術家の純粋さに対して憧れを表明するシーンからスタート。やや迷走しながら美術教育のこととか逆に多岐にわたるオモロキーワードが飛び出す2時間となりました。中村ケンゴさんって話が本当に上手で、作品ともどもすごく風通しの良さを感じたよ。いいね。

■そしてその中で、僕は「マーケティングが敵だ」っていう話が気になった。これってあらゆるクリエイティブな人たちの話で本当によく聞く頻出問題で、3人のトークの中でこのフレーズが一瞬出たときも「やっぱりそうなんだ」って思ったんだけど‥‥‥うーん、本当に、マーケティングって敵なのかな?

■たぶん、クリエイティブな人が不快になっちゃう「マーケティング」って、深みが無くて既視感10割でいかにも感じにデコレートされてて・なのに儲かってる及びみんな喜んでやがるヤツ、なんだと思う。しかも一方には濃厚なアイデアが惜しみなく注ぎ込まれたプロダクトが、全然売れずに消えていこうとしてたりするから怒りも倍増だ。つまんないのに受けちゃう→受けるように騙してるヤツがいる→そいつの名はマーケティング→騙すのは悪いことだ→ワル。大雑把だけどだいたいそんな感じじゃないかと思うし、これに「マーケティングの名の下に自分のアイデアが歪められた」って個人体験が重なったものが、クリエイティブな人のマーケティング嫌いを形成してるんじゃないかなと想像します。

■確かに、いい加減で根拠に欠ける占いみたいに見えるもので、折角のアイデアがムゲに壊されるのは悲しいことだと思う。なんだけど、マーケティングって多分もともとは、折角作ったプロダクトを受け手側がより食べやすくするため・楽しみやすくするためにあるテクニックなんじゃないかなと思うんだよね。そしてそれって、人をもてなすことにつながる重要なテクニックじゃないかなって。

■例えばケーキを作るとき、相手が生クリームが苦手だと知ってたらチーズケーキを焼いたりするでしょう? 少なくとも、それと同じ気持ちでマーケティングをすることは可能なんじゃないかと思うし、だから先生はマーケティングってテク自体は嫌いじゃないんだ。憎い袈裟は確かに存在するけど、だからって坊主=悪と決まったわけじゃないし、むしろ割と使える坊主だと思うんだけど、どうか?

■なんだか長い話になっちゃいました。やや欠けてる感じかもですが、今回はこれで一旦おしまい。うん、それじゃまたね。


02.17.2001 (Sat):『インタープレイ』

■こんにちは。9日後に控えた引越準備にヒートアップする僕に、左下奥歯の親シラズも負けじとバーニン〜ってそれはやめとけ〜痛たたた〜! やや重心の下がった顔に人工的な微笑み浮かべ、人生って名のワインディングロードを走るオレはspinn。そうさspinn。元気だった? それにしても、知らない間に電気ガス電話の移転手続きがWWWで出来るようになってて驚いたよ。便利そしてアイティー最高。親シラズもさほど酷くなく、今はもう抗生物質ケフラールにより原状復帰で安心です。そうこれもまた、人類の英知。

■そうこうしてるうちに、冬のともだちオリオン座も真夜中過ぎには西の空低くかかるようになり、寒いだけじゃなく暖かいなって気持ちになることが増えてきました。で、そこで思い出したのが「不感温度」。それは温度を感じない温度であり、36度〜37度くらいの、手で触れても温かいとも冷たいとも思わない温度のこと。

■僕がこの温度をはじめて体験したのは、確か中学のときの理科の実験で、ガスバーナーに石綿金網を組み合わせ、ビーカーに入れた水を温めていたときだった。温度をみようと指を突っ込んだら、驚いたよ、温度に関する感覚がまったくなくて・純粋に水の抵抗だけを指先に感じたんだ。

■その水が、つーかそのお湯が、つーかそのどっちでもない液体の温度が、不感温度だったってことなんだろうね。バーナーは燃え続けていたから液体はすぐにお湯としての感覚を取り戻しちゃったんだけど、温度感覚を失ったときに感じた無重力っぽさは、初めてのキスの味のように今でも指に残っているというのは言い過ぎですがそのくらいの覚悟であります。

■で、熱いvs冷たいとかっていう2つの状態の中間地点って、1+1=2を越えた全然違う場所にジャンプする場合があって好きさ。水とお湯の間には指先の無重力地帯が横たわっていたし、僕が小学校3年の春、友達の黄色い傘と・僕の青い傘を重ねたら緑色になったことも忘れられない中間地点の1ページです。コージーコーナーのチーズケーキパフェ(生クリームの上に切り分けたチーズケーキが直接立ててある)、そしてウルトラセブンに出てくる恐竜戦車には、単純な足し算を越えた迫力があるぜ。

■そしてもう1つ、ご紹介したい中間地点が2枚のレコードを重ねている間なんだ。2つの曲のテンポを完全にシンクロさせながら同時に鳴らすと、A・B2つの曲として聴こえつつ/同時にA・Bどちらの曲とも違う、新鮮な気持ちになれるんだよね。

■それって、僕のテンポあわせ技術の不安定さで、僕自身にスリリングな緊張感をもたらしてくれてるのかもしれないけど、やや飽きてたはずの曲が突然輝いて聴こえるあの瞬間に、レコードを混ぜる遊びのメインディッシュがある気がしてならないぜ。

■違う感覚にとべる中間地点。僕は経験ないんだけど、バンドで演奏してる全員のリズムがあったときの気持ち良さってのもあるんでしょ? 楽しそうだ。羨ましい。不感温度、傘の色、チーズケーキパフェ、恐竜戦車、DJ、バンド。そんな気持ちいい中間地点をこれからも集めていきたいと思ったし、不感温度や失敗DJにはダメな中間地点を見分けるヒントがあるかもとか思いながら、また長くなった今回もおしまい。そうだ、来訪者リストこと*ridersにも登録よろしくと久々に言いながら、いつものように、それじゃまたね。


02.24.2001 (Sat):『幕張チルアウト』

■こんにちは。5年住んだ元住吉から最後の更新と思えば、何だか切ないspinnです。キュン(←切な音)。

■とにかく荷造りしなきゃって状況ではあるんだけど、金曜日は幕張メッセで行われたAOUのショウに行ってきました。AOUっていうのは、ゲーセン向けゲーム機器関連メーカーの業界団体で‥‥‥ってリンクした公式ページみて思ったけど、このAOUのイメージキャラは凄いな。なんつーか空間的な意味で隔世の感があるし、こいつゲームしかしないんだろうな〜とかって気がするよ。

■ま、それはともかく幕張は大好きなので、横浜から片道1時間半の移動も楽しくてしかたないし、ゲーム関係ショウのあとにはちょっとした楽しみがあるので楽しみだし楽しいよ。その楽しみの名は幕張チルアウト。今日は先生、特別にやり方を説明しちゃおうかな。

■まずはね、AOUショウに入ります。受付を通り・ゲートを入ったとたん、ゲームマシンのサウンドとコンパニオンの説明、そして営業のトークとマニアの批評が轟音となってキミを包みこむぜ。そうさ幾重にも幾重にも包むぜ。最新のゲーム映像に立ち止まる人々が・複雑にレイアウトされた狭い通路の中をひしめき、見上げればタバコの煙?が白い雲になって天井を満たす。ふりさけ見れば人、そしてマシン。マシンからは熱、人からも熱。窓もなく明るい照明によって時間感覚もスポイルされた、うるさくて臭くて暑くて狭いパーフェクトストーム。眠っちゃだめだ。つーか休んじゃだめだ。ここは修行ライクに歩きまわって、5時の閉会時間を迎えよう。

■迎えた?身体の芯からぐったりした? OK、それなら準備は整った。会場を出て、幕張新都心の広い空と冷たい空気に身体を浸しに行こう‥‥‥ああ‥‥‥この時間がたまらないんだよね‥‥‥。疲れてぼんやりした気持ちと考えを、世界がやさしく受けとめてる気がする。電車(これが結構混んでるんだよね)にすぐ乗っちゃうなんてもったいないから、ぼんやりしながら逆方向、千葉マリンスタジアムを目指して歩いていきます。

■日没から夜になるまでの、世界が間接照明になる短い時間。オフシーズンの野球場にはもちろん人気もなく、大通りの車の音がだんだんフェードアウトしていく。冷たい風、見渡す新都心のビル郡。なんかひょっとしてオレ死んじゃってる?なんて気にもなったりしてね。

■このストレスとリリースのコントラストはちょっと他で類を見ないと思うんだけど、どうか? ぎゅっと潰されてふわっと解放される差分の大きさが見事だし、その結果として僕はと言えば最高チルアウトであり意識も遠のくってもんだ。そんなショウ後の幕張の醍醐味、これはおすすめですよ奥さん。

■さて、今回はゲストリスト・*ridersの#57に、丹凡仙仁さんがエントリー。こちら販売部の先輩であり、音楽マニアとして自作CDをタワレコ他各店でリリースするパパさんだ。これからもよろしくお願いします。そしてみんなも登録よろしくね。

■あと50時間後には引越作業がはじまります。準備しなくちゃ。それじゃ、またね。


02.26.2001 (Mon):『タキシング』

■こんにちは。前回で元住吉の更新は最後のはずだったけど、引越業者到着6時間前にして1ネタ更新しにきたのがspinnです。そう、この男です。でもさ、思いついちゃったんだからしょうがないよ。

■まあ、おかげさまで準備のほうは完了したしOKだぜ〜と段ボールの森でモロゾフのチーズケーキを頬張る、そんなふんわり余裕ではあるけれど、午前3時も近くなりさすがに寝たほうがいい気がしてきたので、手短にいきますね。

■更新したのは久々のネタもので、*solutions内のお役立ち小物枠・ユーティリティー第2回として、『時空スキャナー』を作ってみました。仕組みは非常に楽ちんかつ簡単で、googleに検索語入れてサーチかけた結果へのリンク集なんだけど、検索の仕方で魅せる・楽しませる、そんな『フィギュア・サーチ』(←俺語)って遊びが可能ではないでしょうか?というお試し計画でもあります。だからお試しあれ。例によって、時空を一気に俯瞰する内容でお送りしたつもりだぜ。

■そしてフライトナンバー0627こと僕の元住吉時代は、いよいよおしまいです。段ボールが積まれ・機材も箱にしまわれた寒々しい部屋は、5年間培ってた親しみが一気になくなって、うーん、やっぱちょっと寂しい感じしちゃうね。僕の強力なセンチメンタルV10エンジンが全開で回るから、なんつーか的確な曲があれば即泣ける気がして恐くて音楽もきけないよ。やーい弱っちーぞこいつ。ていうか早く寝ろよ!

■あー全くその通り。おとなしく3駅先の大倉山に向けて、離陸滑走路に機体をまわしていきます。それじゃ、またね。