あらすじ

 お隣さんの上杉家と浅倉家。ある年に3人の子供が産まれた。双児の兄弟・上杉達也と上杉和也、そして浅倉南。3人とも仲良く、やんちゃに育った。

 ただの幼馴染みの関係が、次第に変化をみせる。成績優秀・容姿端麗・性格抜群、と非のうちどころのない南。いつしか和也は南に恋をし、南はその和也の気持ちを知りつつも、達也に恋心を抱く。・・・、達也は?  南の夢はただ2つ。「自分の高校が甲子園に行くこと」と、「ふつうの女の子の夢」。

 自分が南を甲子園に連れて行く、という強い信念を持ち、南を想いつづける双児の弟・和也。彼は中学・高校とエース・ピッチャーとして野球を続け、南の夢を叶えようと努力を重ねる。しかし、南の夢を叶えるはずの日、夏の甲子園大会地区予選決勝の朝に和也は交通事故でこの世を去る。

 ひたむきに努力を重ねる弟と対照的な兄・達也。あきっぽい性格で何1つとしてやり遂げたことのない兄は弟の死によって一大転機を迎える。亡き弟と南の夢、甲子園を目指し日夜練習に励む。弟の手前、抑え込んで来た南への想いが日に日に募ってくるのを感じながら。

 かたや南はふとしたことから新体操を始める。天性の才能か、一躍新体操のスターにのぼりつめる。そんな南をみつめる達也の心は・・・「あんまり遠くに行くなよ」。

 お互いの気持ちを痛いくらいにわかりあいながらも、それゆえに縮まらない2人の距離。達也は頑に、「南を甲子園に連れて行くのは和也だ」と。そして「南の夢を叶えるのも和也なんだ」と。

 迎えた高校3年生の夏、甲子園への最後のチャンス。決勝戦は2年前と同じ、須見工業高校。天才スラッガー・新田明男との対決を迎えてもあくまで和也の代わりとして振る舞う達也。しかし、鬼監督・柏葉英二郎のひとことで達也は新たな決意をする。和也の思いと、達也自身の南への強い想いを込めた直球(ストレート)を気力で投げ込む。・・・・・・・新田のバットが空を切る。

 南の夢を和也に代わって、和也からバトン・タッチして叶えた達也。しかし達也でなければ叶えられない南の夢がもう1つあった。「好きな人のお嫁さんになること」だ。南は不安を抱く。達也は「欲しいものは欲しい」、と言えるようになるのか??と。

 迎えた甲子園本大会の開会式、入場行進する明青野球部の面々。そこに達也の姿は無かった。

 その時、達也は南のもとを訪れていた。そして2人を新しいスタートラインに立たせる為の一言を。


 「上杉達也は浅倉南を・・・」



−登場人物−


 上杉 達也
    上杉家の双児の兄。努力という言葉とは無縁に暮らしてきた。努力型の弟とは対照的な天才?型。何をするにものみこみは弟よりも早かった。上達しないのはあきっぽい性格による。自分が南を好きだと知りつつも弟の気持ちを思って抑え込み、優しい兄を演じる。男に人気がある。女からはぱっとしないのは弟がモテすぎだからであろう。高校入学時に野球を始めようとするが、南がマネージャーになったのを知って断念する。そして何故かボクシング部に入部。和也の死後、高橋瑠美子のサイン色紙1枚で野球部にトレードされてしまう。しかたなく?野球を始めて、和也と南、そして達也自身の甲子園への夢を追う。高校3年生の夏、とうとう須見工を倒して甲子園行きを決める。そして甲子園優勝投手に。


 上杉 和也
  天才ピッチャーと呼ぶのは彼を知らない人だ。誰よりも努力をする。ライバルはいつでも兄・達也。野球でも、そして恋でも。達也の事を人一倍大切に思う、兄思いの弟。成績優秀・運動神経抜群とモテる要素をすべて持ち合わせている。明青学園高等部の野球部のエースとなるが、高校1年生の夏、予選大会決勝戦当日の7月30日、トラックにはねられて16才の短い一生を終える。達也の新田との最後の勝負のときに力を貸す?


 浅倉 南
  母親を幼くして亡くしたからか、父親がイマイチぱっとしないからか、気立てが良く、スタイル抜群、成績優秀と非の打ちどころのない女の子。幼いときから達也に想いを寄せ、和也の自分への想いも知り、選びたくても選べない、辛い気持ちを抱き続ける。新体操の期待の星。高校3年生の夏のインターハイでは個人総合優勝を飾る。達也と結ばれる??


 新田 明男
  須見工業高校の4番。天才スラッガー。彼も和也と同じく天才と言われるが、陰では手の皮がめくれるくらいバットを振りつづける努力家。昔は不良グループにいたが、中学時代に和也と対戦し、3打席3三振を喫したことで本格的に野球を始める。高校1年生の予選大会決勝で和也と再戦するはずだったが和也の事故死により叶わず。その対決を達也に託す。「上杉和也を超えてくれ。」南に想いを抱くが、南の達也への想いを知って身を退く。2枚目。「やっぱり男は顔だよ(達也談)。」


 上杉 信悟・晴子
  上杉兄弟の両親。子供が高校生になったというのに、まだまだ新婚気分が抜けない、仲睦まじい夫婦。和也、達也の活躍を喜ぶ。誰も知らない明青学園の校歌を歌えるということは明青学園のOBであろう。なかなかお茶目は夫婦。子供の試合に日には風邪をひいて会社を休む。隣の浅倉家とは仲が良くて良く騒ぎに行く。カラオケ好き。


 浅倉 俊夫
  南の父親。早くに妻と死別し、やもめ。隣の上杉夫妻の仲の良さをうらやましく思っている。喫茶・南風のマスター。彼も明青OBか。店を達也に任せて近所の知り合いと将棋に行ったりする。何よりも第一に南の幸せを考える優しい父親。南の達也への気持ちをずっと前から気付いていた。たまに新製品を作って達也に試食させている。よく店を勝手に閉めることがある。採算はとれているのだろうか。


 松平 孝太郎
  明青学園野球部主将。4番でキャッチャー。「下書きなしで描ける不細工な顔。キャッチャーマスクがかわいそう」とは達也の談。好物はお好み焼きと肉まん。好きなタイプは浅倉南。和也の恋女房だったので、当初、達也の野球部入りを頑なに拒む。高橋瑠美子のサイン色紙でトレードされた達也に、あだち充のサイン色紙を渡して再トレードをしようとするが失敗する。しかし達也のもつ人間的な魅力にやられたか、いつの間にか「達也」と呼ぶようになる。風邪をひいても肉まんを食べれば治る?予選大会決勝では、追い上げに貴重なホームランを打つ。しかし塁に出たら単なる鈍足ランナー。延長戦では彼の打席の時に達也がホームスチールを決めて勝ち越し点となる。


 原田 正平
  達也の悪友。さして仲が良いわけではないが、何故か達也に寄って来る。昔、不良グループにいた。そこで新田と知り合いになる。彼には盲腸はいくつある??達也をボクシング部に入部させた張本人。別にボクシングに思い入れがあるわけではなく、スカッとできるからやるのだそうだ。殴られる奴は非常に可哀想だ。彼も南に想いを寄せるが、その程度は不明である。


 西尾 茂則
  明青学園野球部監督。迷監督?彼の勘違いで監督代行が柏葉英二郎になってしまう。過労で倒れたにしては異常に元気な老人である。自分の高校時代から、須見工業高校の野球部監督とはライバルで、ライトのポジションを争った仲。監督となってからでもライバルだが、その分の悪さを思い、そして明青学園の勝利を願って柏葉に監督を続けさせる、なかなかの人物。好々爺と言ったところか。


 西尾 佐知子
  上に述べた、西尾監督の娘。明青学園野球部のマネージャー。同級生の黒木の恋人。達也が野球を始める前から達也の野球の才能を見抜いた?


 黒木 武
  明青学園野球部サード。ピッチャーをやっていたが、和也の球を見てからサードに転向。和也と共に甲子園を目指す。もみあげが長い。達也の入部に際しては、ボクシング部のキャプテンに、高橋瑠美子のサイン色紙を渡してトレードに成功する。知能派?


 西村 勇
  勢南高校のエース。大きく鋭く曲がるカーブを得意とする頭脳派ピッチャー。須見工の新田をライバル視している。能力的には全国レベルだが、新田を敬遠できない為に甲子園には行けない。高3最後の夏には変化球の投げ過ぎで肘を壊して予選準々決勝で姿を消す。浅倉南の大ファンで南につきまとう。しかし、彼には幼馴染みの勢南のマネージャーがつきまとう。


 柏葉 英二郎
  元明青学園野球部。途中退部させられる。3年上に兄貴がいる。彼も兄貴思いの弟で、兄が起こしたバイク事故をかばった為に野球部を追い出される。そしてその野球部に恨みを晴らす為に、西尾監督が病床に倒れた際に兄と間違われたことを幸いと、監督代行になる。自分と似た境遇の達也に特にきびしく当たるが、次第に、昔甲子園を目指していたころの自分を取り戻し、明青学園の甲子園初出場に大きく貢献する。眼が悪く、失明寸前までいきかかったが、手術でキレイな眼に戻る。




タッチのページへ