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虜屋視聴記 (aka 鳥小屋視聴記 ) - ヘッドフォン - 半開放型


半開放型


Fostex/T50RP
※50Ω・98dB/mW・半開放型・標準プラグ
装着性:★★☆☆☆ 【←2003/05/26:1=>2】
遮音性:★★★☆☆ 【←2003/05/19:2=>3】
音楽性:★★★☆☆ 【←2003/05/19:2=>3】
推奨度:★★★☆☆ …一芸に秀でている。コストパフォーマンス優先で評価すれば★4つでも妥当。

 ヘッドパッドは浅く、装着しづらい。そして蒸れやすい。MDR-7506と似た感じ。
 ただしヘッドフォンが全体的に重く、長時間装着するにはバンド部へのあて布などを必要とするかもしれない。
【←2004/03/14追記】
 但しパッド自体は固定されておらず(最外面にかぶっているのみ)手で回すことができ る為、たとえば90度ほど回すとパッドがちょうど まんまるに近い形になったりもする(現在は30度ほど回して使用中)。…それでも装着感はかなり悪いが。
パッドに関するプアな改造(?)案(2003/05/19)
 T50RPに装着されているヘッドパッドは、薄い緩衝材を使っている割には生地に余裕があります。そこ で、ちょっといたずらしてみました。

 用意するものはT50RPと、「ボックスティッシュペーパー(縦197x横229x2枚組)」が4組。
 この4組のティッシュペーパーを、それぞれ4つ折りにしてから長手方向に丸め、ヘッドパッドの隙間奥深くに詰めていくだけ です。
 【2003/05/20追記:上下2分割に詰めるよりも、左右(装着時には前後)2分割になる様詰める方が楽に詰められ るはず。】
 1組でほぼ片チャネル半周弱分が詰まるので、4組で両チャネル分全周に詰めればおしまい。
 発音体と耳との間にクリアランスを取る為の手法としてはかなり間抜けですが、耳がユニットに当たって痛くなる…ような事はほぼ避けられます。(まだパッ ドにアタリがあるので完璧とは言えませんが…)



(2004/07/11:写真追加しました)


 音質的には若干低音域が削がれますが、全体的なバランスが破綻するような事は無いでしょう。
 なぜ初めからこういうパッドになっていないのか?…色々あるんでしょうね、コストとか純粋論とか。
 【2003/05/20追記:パッド全周に詰めるのではなく、装着時 に後方となる側のみに2組分ひとまとめで詰めた方がよりいい感じになるッっぽい。ちょうど発音体が若干前方に傾くので、もろに左右で鳴っているとゆー感じ を若干押さえる事ができる。ついでに耳との干渉もほとんど結構無くなる。】
 【2003/07/13追記:眼鏡併用の場合、「詰め物は2組半ずつ全周詰める」か「納得できる側圧になるまでヘッドバンドを逆方向に曲げる」のどちら かを行った方が良いです。ただしパッドの内径が狭く耳に干渉するという点だけは改善しようがないため、ミシンで縫い直すか Sennheiser/HD590パッドの貼り付けテストなどをしてみる予定】


 バンド位置は調整幅が大きいが、初期購入時のままでは「片手ではどうやっても修正できない(両手でも修正しづらい)固 さ」であり、数回~数十回ほどスライドさせてなじませないと、片手での修正は無理。また、ヘッドバンドを極端に短くしようとするとシェルと干渉してシェル 角度がかなり制限される(そこまで短くする必要はない気もするが)。もっとも、これを行ったとしてもジャストな位置に一発で合わせるのは困難…

 ヘッドシェル側にもヘッドフォンジャックがあり(つまりケーブル交換が可能)、簡易的なメカニカルロック付き。従って Sennheiser社製品などとは異なりヘッドシェル側コネクタの接点部分に負担が掛かりがたく、ある程度ラフに扱っても接点不良などが起こりにくい。 また、純正ケーブルはハウジング側面から下向きに出る構造の為、インパクトが加わりにくい点も良い。なお、ヘッドフォン側コネクタはミニサイズなので、接 点不良時には綿棒清掃が可能であり、断線時などには市販のミニケーブルで緊急避難的な断線対応が可能である。

 入力電圧に対する音量はかなり低く、Sennheiser/HD590やSONY/MDR-7506と 比較しても音量は小さく感じられる(注:対HD590については、1kHz前後に限って言えばほぼ変わらず)。機器側ボリウムをそれなりに上げねばならな い為、携帯機器で使用するには向いていないかもしれない。
 #メーカーは当然この点を承知しているらしく、本機付属ケーブルは標準プラグ仕様(ミニ→標準変換などではなく)となっている。ミニ プラグ機器へ接続する場合は、市販の標準→ミニプラグ(500円弱)を別途用意する必要がある。


 音質的傾向は…語弊を恐れずに言えば
  「妥協しまくって1万円にまで押さえ込んだ静電駆動型ヘッドフォンシステム」
 あるいは、
  「STAXがBasicシステムの1/4のコストで作ったらこんな音になるはず」
という感じ。
 振動板を全面駆動しているという動作構造はそれなりに威力を発揮しており、一般的な点音源(or円音源)的発音ではなく、きちんと面 音源的に駆動されている様子を聞き取ることができる。
 #それ以外に特徴的な「良い点」はなく、ぱっと聴いた感じでは価格なりの音質である。
 同社の過去機種で見られたらしき暴れ感はさほど感じ取れず、とりあえず解像度の低さの みが目立つ格好となっている(こういう音づくりである可能性も否定できなくはないが…)。

 駆動方式が純粋なダイナミック方式とは異なる為、決して「ヘッドフォンやイヤフォンをターゲットとしたソースの最終加工 には使用できない」というやっかいな問題があることには注意すべき(静電式ともダイナミック式とも鳴り方が異なるので、基準機器としては使えない)。また 音源中に潜む「痛そうな音」をシュリンクしてしまう傾向があり、これを検知する用途にもあまり向かない。したがって、一般的な「モニターヘッドフォン」ら しさを要求される場面では全く使い物にならない。
 逆にスピーカでの再生を目的としたソース編集に使用する場合は、使い方によっては他のツールでは得られない特徴を持っている本機はお勧めなのかもしれな い。


 純粋な聴取目的としては…2台目以降の購入に考えているなら検討の価値あり。
 ダイナミック方式での面的音源を実現している機器は本機以外にはほぼ無く、その手の音場感を「外部アンプを必要とせずに」利用できる 本機の存在意義は大きい。

 ただし、始めての購入がこれだと、後々(別のヘッドフォンを購入したときに)様々なジレンマに駆られて 苦労しそう。
 ちなみに、初期エージング時間は機械的エージング1時間と耳のエージングが1時間程度必要と思われる。ダイナミック型と思って聴くと とても聴けたものではなく、まずは聴いてみて本機の「いい点と悪い点をあらかじめ聴いて整理してから使う」必要がある。
 
圧縮音源変な板、コンプリミッタが過激 にかけられたポップスなどのソースを再生するにはそれなりに確実に向いている。

 この価格帯で「長時間聴いていても聴き疲れしない音色」を実現している事自体がある意味驚異。
 いわゆる「ピュアオーディオ」方面で通用するかどうかは不明だが、それを追う気がさほど無い人にとっては、おそらく本機だけでも十分満足できるはず。


 想定されるユーザー:
 -ダイナミック方式にありがちな点的(円的)音源感に嫌悪感を抱いている人。
 -SONY/MDR-7506に音楽性を求めてしまって失望済みの人。
 -「プアマンズSTAX/BASIC」を探し求めて彷徨っている人。
 …とりあえずパッドは改善希望、ついでにシェル内部と背面の改善もなんとなく希望。


 (2004/02/01追記)装着感の悪さに凹み続けていたため、とりあえず(もう使う予定がなさそうな)audio-technica ATH-AD300のパッドを無理矢理(かな り不安定ですが)付けてみました。ティッシュペーパー式のパッドと違って耳全体に圧力が掛かる点はあまり好きじゃないのですが、これはこれで良いような気 がします。
 但し低音の量感があからさまに減るので、さらにバランスは悪くなりますが…もし
Sennheiser HD590のパッドが付けられるならば試してみたいで す。

→価格:11,300円(サウンドハウス・税別)

date:2003/05/17 +2003/05/19 +2003/05/20 +2003/06/01
- Fostex T50RP -


AKG/K501
※120Ω・94dB/mW・開放型・ミニプラグ+ミニ→標準変換
装着性:★★☆☆☆
遮音性:★☆☆☆☆
音楽性:★★★☆☆
推奨度:★★☆☆☆ …ゴム紐のテンションを自由に調整できれば★3つ。


 ノンアジャストを謳うヘッドバンドだが、正体は単にゴム紐で懸架しているだけという代物。従ってだんだんと上にずれてきて、眼鏡使用者にとっては悪夢と しか言いようのない状態。ちょくちょく上から押し下げるなどする必要がある為、この点で装着感は悪いと評価する人が多いと思われる。
 パッド厚みは十分にあり、本来的に耳に干渉しない。
 従って、問題点を解決する為に行う事はただ一つ…ゴム紐を切る。但 しこの場合には側圧のみでヘッドパッドを支えられるかどうかが不明な為、一度左右バンドを固定しているねじを外して、ゴム紐をフリーにした状態で試聴する 事をお勧めする(この状態からの現状復帰は問題なく可能、切ってしまってからでは遅いので…)。
 ゴム紐を切らなくても、ヘッドバンド頂点部をアーチ頂点部とともにひもなどで結わえてしまう事で上への吊り上がりを防 止できます。簡易的には、ヘッドフォンケーブルを結わえていたワイヤタイを使えばOK。後はしばらく使っていれば自然とゴム紐がゆるくなるので、気長にそ れを待つという手も。

 発音体と耳との間の空間を上手く利用して点音源感を若干だが解消する方向に作用させているらしく、聴いた感じの違和感を覚えにくい。
 低音域の力感が足りない印象を受けるが、開放型としてはこの方が素直な特性なのかもしれない。むしろ、全帯域にわたって音をひねり出すかの様な印象を受 ける事が無い点は美点といえるだろう(あっさりとしているが、きちんと芯のある低音域を聴かせてくれる)。説得力のある音を求める人には向かないが、肩の 力を抜いて聴く為に選択するなら、一番のお勧めとも言える。

 圧縮音源変な板を再生してもほとんど嫌 みな音にならず、通常のCDとあまり変わらない感じで聴ける。
 通常この傾向に傾くヘッドフォンは解像度が甘いものが多いが、K501はある程度の解像度を保ちながら圧縮音源との親和性を確保している。


 問題となる点は…やはり能率が悪い点か。
 力感がない事も手伝って、通常音量を再現する為に必要となる電圧振幅が大きい。携帯機器でドライブするには力不足な場合があり、機器選定には若干の注意 を要する。


 想定されるユーザー:
 -軽やかな調子の音色を好む人。
 -予算2万円で音質的に満足なものを求める人。
 …ドンシャリな音に慣れた人には受け入れられない可能性が大きい。


→価格:18,000円税別(サウンドハウス)
…正規代理店経由のSennheiser/HD580が売れ残っている限りは、7000円追加してでもそっちを買う事を推奨。それが無くなってしまった ら、素直にK501を推す所なんですが…

date:2003/05/25 +2003/05/31 +2003/06/01
- AKG K501 -


AKG/K66
※32Ω・96dB/mW・半開放型・ミニプラグ+ミニ→標準変換
装着性:★★☆☆☆
遮音性:★☆☆☆☆
音楽性:★★☆☆☆ …価格をふまえて評価しても構わないのであれば★3つが適当。
推奨度:★★☆☆☆ …価格をふまえて評価しても構わないのであれば★3つが適当。

 良くも悪くも、全体的にAKG/K501を大きくダウングレードさせた感じで、主な音質傾向はK501に似通っています。
 K501と比べて気になる事としては
  「ヘッドバンドの作りが雑」
  「イヤパッドが小さく薄いので耳周りが窮屈」
  「開放感が足りず低音域を中心にこもり気味」
  「
(ONKYO/SE-U55Xとの組み合わせで特に顕著に)歪 みを含む高音の表現が極端に雑になる時がある」
といった点が出てきています。
 #【要注意】:私がK501のレビューを行った時期は半年以上前です…曖昧な記憶を頼りにしていますの で、K501との類似性については確かな事を書ける状態ではないのかもしれません。

 ただし、これらの問題は価格を無視した場合の差異であって、本機の実売価格を考慮しても構わないならば、「K501と比べて1/4の価格で良くここまで 頑張ったよな…」と言いたくなる位に良くできていると感じました。
 また、能率面ではK66の方が高く、携帯機器向けとしての扱いやすさはこちらの方が若干ながら有利です。

 本機を使ってみて音質や装着感などの傾向が自身の好みに合う人ならば、ほぼ確実にK501へのアップグレード時に十二分な満足感を得られるはずです。
 あるいは、「海外製欧州系のヘッドフォンを他人に紹介する」為のモノとしては、本機が一番適任かもしれません。

 ちなみに、本機もK501などと同様にAKG特有のオートアジャストバンドのため、徐々に全体がずり上がってしまったりする現象は相変わらず発生します (眼鏡併用時は特に酷い)。
 この現象については見た目を気にしなければK501の時と同様に 「ヘッドバンド頂点部をアーチ頂点部とともにひもなどで結わえてしまう」「オートアジャストバンド根本 部のねじをゆるめて根本部をスライドさせる」ことで自由に調整可能です
 #ただしこの方法ではユニット間アーチ部に醜い擦り傷が付いてしまいます(バンド根本部の内面側に突起があり、これをユ ニット間アーチに食い込ませて位置ズレを防止する構造のため)。擦り傷を最小限に抑えたい場合は、ねじを一度取り除いてから根本部のツメをマイナスドライ バなどでごく軽く開いて、ユニット間アーチを挟み込んでいる根本部を一旦2つに分割してください。その後に根本部位置をうち決めしてから取付直すことで、 元あった位置に3カ所の凹みが残るのみで移動を完了できます。
 #【注意】本調整は保証規定2-eの「改造」に当たるため、本調整の痕跡があるものは無保証かつ返品不可となります。


 想定されるユーザー:
 -軽やかな調子の音色を好む人。
 -予算5千円前後で音質的に満足なものを求める人。
 …ドンシャリな音に慣れた人には受け入れられない可能性が大きい。


→価格:4,960円税別(ヨドバシカメラ仙台店)、3,800円(サウンドハウス)

date:2004/01/01
- AKG K66 -


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