UTF-8
虜屋視聴記 (aka 鳥小屋視聴記 ) - シアターシステムレビュー

シアターシステムレビュー /update:2004/08/14
*あるいはお茶の間シアターレビューかもしれないもの*


シアターシステム


このページの目的。

 …もともとヘッドフォンに浸りっぱなしの私がスピーカ絡みに再び手を出したきっかけは、テレビでの映画放映を見ているときに当家母上が言い放った「真 剣に見入っているとテレビ画面の小ささは気にならないけど、家では音の迫力がまるで足りないから寂しいね」とゆーコメントでした。

 部屋が狭いので25インチブラウン管でも画面サイズは事足りますが、確かに音はどうしようもなく…とあきらめて忘れかけていたときに、ちょうどMJ(無線と実験)誌NIRO TWO6.1族の短期借用モニタに関する記事を見つけ、発作的に応募したらなにげに当たった…ということがきっかけで、このページを作ることにし ました。
 #MRCハイエンドオーディオサイトは出来た当初を含めて数度チェックしました が、あちらはそもそも私にとっては手が届きません…

 この手の機械については自宅レビューが出来る機会などそうそうない(今すぐ買う気があります!って人には貸してくれそうですけ ど)ので、あまりレビュー数は増えない気もします…
 #微妙に高い確率で、単発レビューに終わる可能性があります(苦笑)。

date:2003/08/10~随時更新


私的選定傾向。

 基本的には「金魚鉢構造」の8畳茶の間での試聴です。
 この部屋は、壁面割合が「1/3が障子付きガラス戸(外)、1/3が解放空間(台所続き)、1/3が太鼓構造(仏壇、および外側・内側ともにガラス戸の 小物置き)」で、床が畳、部屋隅には雑多なものが溢れている上に、茶の間らしく「本来ならばベストポジションとなるべき部屋中央には1畳大の座卓が居座っ ている」とゆー有様で、音響的な条件はほぼ最悪に近いです。
 #というか、多チャンネル環境を楽しむべき部屋としては既に失格。

 ものが溢れているので部屋隅はデッドに近く、ガラス戸内側には障子があるので独特の反射特性があり、またモノが多いためにスピーカをまともにおく 場所が大変確保しづらい状態です。

 従って、(アンプはプレーヤ近くに、ウーファーはテレビ下に配置するとして)スピーカ選定時にはまず「フロア型は当然ダメ、ブックシェルフ型でも ダメ、トールボーイ型でも多分ダメ」とゆースピーカー設置スタイルに関する厳しい制約がある状態です。
 おそらく設置可能なものは
  ・5本配置仕様ならばパソコン用アクティブスピーカ並の大きさ(いわゆるサテライトスピーカ)が限界
  ・2本配置仕様ならばビデオデッキ並みの大きさが限界
になると思われます。
 (この条件に適合するとなると、選択肢は前者ならばBoseR LS-35タイプ が、後者ならばNIRO TWO6.1Bose/R 3・2・1(321)のようなタイプが限界になります)

 NIRO TWO6.1などの三位一体型スピーカ2組を用いる場合の設置方法については、「フロントセンターをテレビ上に滑り止めシリコンゴムシートなどを 置いて設置(注:他サイトを参考に画面下へ配置する可能性あり)」し、「リアセンターはテレビ対面側の小物 置きに設置(試聴時のみ内側ガラス戸を開放)」、そして「ウーファーはテレビ直下に設置」というスタイルで運用する予定です。
 一方でBoseR LS-35スタイルの場合は、ほとんど間違いなくすべてのスピーカを「ちょい置き」スタイルで部 屋にある雑多なものの上に適当に(おそらくはIECITUスタイル近似で)設置する予定です。
 どちらにせよ、「和式居間を(音響的な対策を行わず)そのまま使った状態」でのレビューになりますので、より好条件での導入が可能な方にとっては、私の レビューはまったく参考にならない可能性があります。

 なお、部屋ばかりではなく機器側も貧弱なものをレビュー用基準機器としているため、音質評価については眉唾物と思って頂く必要が ある事をご承知おきください。

 再生機器:
  モニタ: Sharp/25C-GS1(単機能テレビ)
  DVDプレーヤ: Pioneer/DV-353(最低価格帯)

 なお、各店販売および性能評価、販売価格などに関しては、更新を怠っている部分や記述ミスなどの誤謬もあるかもしれません。

date:2003/08/10~随時更新


メカニカルリサーチ NIRO TWO6.1-C
※デコーダ付きレシーバアンプ、フロント2way3chスピーカ、リアフルレンジ3chスピーカ、 サブウーファーのセット。
設置性:★★★☆☆ 【←2003/05/19:4=>3;4ピース構成で比較的設置しやす い。】
操作性:★★★☆☆ 【一度慣れてさえしまえば、とても良い感じ。】
音場感:★★★★☆ 【簡易的再現ではあるが、誰にでも容易に再現可能】
音質感:★★★☆☆ 【フツーによい。ただし超至近距離での聴取には不向き】
推奨度:★★★★☆ ←2003/05/19:4=>3;2003/08/06:3=>4;…設置の容易さと前後のサラ ウンドイメージを両立させたいなら本気でオススメ。

 MJ(無線と実験)誌上で募集広 告紹介されていたNIRO TWO6.1族の短期借用モニタに当選し、借用の機会を得ました。まずは使用機会をくださったメカニカルリサーチ社に多謝!
 #でも、これで今年の運は使い果たしてしまったかもしれず…(汗)
 #ついでに言うと、本来目的は「モニター」であって「レビュー」ではありません…赤紙(公開禁止)を食らったりした場合は、素直にこのページだけクロー ズします…。


 到着時点での梱包箱は3箱。シアターシステムとしてはかなり小さな構成なので、現物を見ていてもやっぱり驚いてしまいます。

 もっとも扁平な1箱目はレシーバアンプで、TWO6.1族共通。
 幅は一般的な家電系コンポーネントと同じですが、奥行きが380mm(突起物含む、配線領域除く)であり、ビデオデッキ比+100mm/オーディオアン プ比+50mm程度と大きめで、天板も上部に物をのせられる構造ではありません(天地および両側面すべてが放熱用スリット)。
 従って、本体設置時にはあらかじめ設置位置について考慮しておく必要があります。
 映像入出力はコンポジットかS端子のみで、コンポーネントやD端子は非装備です(モニタ直結とするか、別途セレクタを用意するこ と)。
 音声入力はAUXがアナログのみ、DVD/CDとVCR(DVR)が同軸デジタルのみ、SETが同軸・光デジタルおよびアナログ、前面端子が光デジタル およびアナログです。
 音声出力はVCR(DVR)がアナログのみ、PCMが同軸デジタルとなっています。

 2箱目はフロントセンタ/リアセンタの2本の3chスピーカ。
 いずれも一般的なセンタースピーカと同様の手法で設置します。
 TWO6.1-C付属の物は両方ともコスト低減の為に箱形に近い形となっており、リアセンタ側についてはトゥイータが3ヶとも省略されています。
 背面端子はバネ式4端子ターミナルで共通マイナス仕様です。
 前後合わせて都合8線を接続するだけであり、接続ミスなどによる極性反転などのトラブルが発生する可能性はほぼ皆無となっています。
 同梱のスピーカケーブルはより線5組の平線ですが、うち黒2本が両端結線のため、機能的には4線です。
 メインユニット側はPC-AT互換機の電源供給用コネクタです。
 作りはかなり良くスムーズにはまりますが、互換機ではこれを無理矢理逆刺しした強者がいた事を考えれば、逆刺し対策は完全とはいえないかもしれません (もちろん、常識的には問題なし)。
 また高頻度挿抜には向いていませんが、この点は使用上問題とはならないと思われます。
 スピーカ側は1cm強被服が剥かれて半田メッキされた状態です。
 ケーブル長さは7.5mと15mが各1本あり、不足することはあまり無いでしょう。

 もっとも立方体に近い3箱目はアクティブウーファー。
 こちらはメインユニットからの出力線とともに、アクティブアンプ用の電源も配線する必要がある為、あまりレシーバアンプから離して置くことは想定されて いません。
 非防磁型で、重量はずっしりと重く、スパイクおよびスパイク受け皿が付属します。

 レシーバアンプ付属のリモコンはメインユニット操作用リモコンであると同時に、ソース選択キーで選択したソース側機器を簡易的に 操作可能なモーダルリモコンとしても使用できます。
 リモコンコード対応メーカーが多い為、登録用コードは3桁となっていますが、登録方法に関しては一般的な機器とほとんど変わりありま せん。
 また、ソース選択キーは内部にLEDが仕込まれており、ソース選択キーを押したときと、モーダル操作キー(再生/停止などのソース側機器操作用キー)を 押したときに、該当するソース選択キー自体が赤く点灯します。
 ただし残念ながら、ボタンを押さない限りリモコンを見ただけではソースモードは解らない仕様です。
 #慣れてしまえば便利なだけに、説明書上での「考えずとも理解できるような記述」を期待したいところ。

[2003/09/13:スピーカケーブルの記述をスピーカ封入箱に関する行へ移動。]

 スピーカをどこに置くか…迷いどころですね。
 とりあえずうちの場合は、モニタが25インチのブラウン管だった為、フロントセンタは上面に据え置き設置しました(マジッククロステープ付属のため、こ れで固定)。スペースさえ確保できれば、モニタ直下に上向き設置する方が好ましいかもしれません。
 リアセンタは背面側の小物置きにそのまま放置してみました。
 #[2003/09/10]きちんと設置する場合、メーカーオプションのスタンドもしくは壁面取り付け キットを使用してください。というか、そちらの方が本来の使い方です。
 ウーファーは本来ならばモニタ直下に置きたかったのですが、当家環境では多量のビデオテープがここを占拠していた為、 仕方なく向かって左側に設置しました。
 ちなみに、設置に要した時間は梱包開梱から使用開始までで、おおよそ3時間程度でした(仕事明けで作業した為、休憩 しつつの作業でしたが…)。
 #マニュアル記述によれば、フロントスピーカはモニタ上に設置、リアスピーカは背面高め位置(もしく は後部に上向きで放置)に設置する様推奨されています。配置関係は、高さ方向が両スピーカとも視聴位置より高めで視聴位置に向けて設置することとなってい て、平面的には「モニタ・フロントスピーカ・リスニングポジション中央・リアスピーカ」が一直線上に並ぶ様設置する事となっています。多くのテレビではス ピーカが画面左右または下部に設置されている点を考慮すれば、フロントスピーカはモニタ下部に設置しても問題ないはずです(特にプロジェクタやプラズマモ ニタなどを使用する場合は、上方設置が難しい為下方設置が好ましいと思われます)。

 有り難みはあるか?
 …メインユニット/フロントセンタ/リアセンタ/ウーファーの4ピース構成で、梱包箱はわずか3つしかありません。
 サラウンドとなればまず乱立するであろう四方のスピーカもないですし、見た目のデザインもそう派手ではないだけに、物理的な意味での「所有する有り難 み」はほんとに少ないですね。
 むしろ、外見だけで判断すると「えっ?これ4つで20万もするの?」というのが正直なところ。なんとなく「個数が少ない」というのは、 慣れないと寂しいです。

 コスト配分は…
 本来6.1chを実現する為に必要なシステムのうち、エンクロージュアが2つだけですむので、エンクロージュア4つ分にかかる諸々のコストがまるまる浮 く計算になります。
 TWO6.1ではこれをウーファーのエンクロージャに投入している様な感じで、ウーファーが鳴っているときに(安ものっぽく感じる原因となる)プラス チック鳴りを起こしません。
 この「プラ臭さのなさ」は、(細かいことかもしれませんが)実際に聴いてみると非常に重要な、しかも絶対に必要なことだと言うことが実感できます…一度 これを聴いてしまうと、間違ってもプラ臭い音を吐くウーファーなんて使おうという気が起きないことは確実かと。
 コスト配分に関してはとても緻密に計算されているようです。
 [2003/09/04]20万円掛けて真っ当なコスト配分で単品コンポーネントを買い揃えたら、普通の人はまずこうい う真っ当なウーファーには手を出せずに安っぽい代物を手にするはずですよね…そして安っぽい低音に萎えてしまう、というのが大方の失望の原因な気が。

 定位感や音源感は…
 そもそも居間でそれを語ると言うこと自体が間違っている気もしますが、当家で聴いている限りはシャープに音像定位する位置は存在しませんでした。
 この傾向は特に2チャンネルCDソースで顕著に表れ、(実際に独立でスピーカを立てた時と比べれば)左右チャネルの分離はさほど良くありませんので、ど うしても左右の分離が良くないとダメ、という人には耐えられないでしょう。
 ただし、多チャンネルソース聴取時にはかなり状況は異なり、IECITU方式の様に「スイートスポットが極端に狭い 範囲に存在する」という状態であれば視聴時に緊張しがちになってしまうのと比べて、TWO6.1の場合は「ベストポジションはないがベターポジションが広 い」ため、かなりリラックスした状態で、多人数で楽しむことが出来るという点は魅力だと感じました。
 具体的なベターポジションは「両スピーカの正面から45°の範囲内」で「壁とスピーカに近づきすぎない」場所となります。
 極端な話、若干ベターポジションからのズレが許容されるならば「部屋中央にテーブルを置き、それを取り囲む様に座っていても全員で楽しめる」わけで、8 畳居間での視聴においても、比較的自然に多チャンネル映画ソースを楽しめます。
 [2003/08/31]スピーカがエンクロージュアの左右にも付いているという構造上、左右方向が狭くなる様にモニタ が設置されている場合、これに本システムを追加すると反射音が気になるかもしれません(当家の場合は左右とも音漏れが激しい構造だったのが幸いしている模 様)。モニタ位置を変更するのは大変(≒モニタに近づきすぎると今度は目を悪くする原因になる…)なので、フロントスピーカ側の左右壁面に多少物を置くな りして、反響を拡散させる方がよい場合が出てくるかもしれません。

 音楽CD/DVD(2チャンネル)を聴くときは、左右の分離が悪い点を覚悟して聴く必要があります。
 特に2チャンネル聴取時に左右スピーカをべらぼうに離して聴いていた人にとっては、ちょっと耐え難い状況かもしれません。
 逆に近接設置や内向き設置などで聴いていた人にとっては、そのまま自然に聴けると思われます(個人的には、「これはこれで好き」という感じ)。
 聴いた感じの印象は、とにかく非常にあっさりとしています。
 仮に店頭デモで音楽CDを掛けていようものなら、まるで魅力無く誰も振り向きそうにもない感じです。
 ただし、音に曇った感じがあまり無く、長時間聴いていてもアラが出ない点はさすが。
 長時間聴いていて「おっ、これいいねぇ。」って解る感じなので、2チャンネルソースを短時間のデモ目的(または他人様への説明etc)で使うのはやめた 方が良いかも。
 #[2003/09/10]もっとも、従来の2chに嫌気がさしていた人にはかえって良好な聴き心地を 得られるかも。というのも、本機の場合は左右チャネルを元にセンターチャネルを作り出すとともに低音域用のチャネルも生成しているため、音楽CDソースを 3.1chや6.1chで聴くことができる。6.1chについてはあまり良い印象はないが、3.1ch(標準でこのモード)の音場感は2chシステムでは 得られない感触を持っていて、この表現感覚の虜になる人は(特に非オーディオマニアには)多いはず。
 この点では多チャンネルソース、特に映画(MATRIX/STARWARSあたり)を無画像状態で再生してみせる方 が、デモンストレーションとしては効果的でしょう。
 [2003/09/04]本セットは「成り行きセッティングで好条件が得られる様に作られている」からこそ出来るわけで あって、一般的な(設置しただけでろくに調整されていない)6.1chバラコンポーネントで映画ソースの無画像再生をすると、結構違和感がさらけ出されて 失笑したくなる時があります…家電量販店に展示されているシアターセットのモニタを消して聴いてみると、この辺がよく見えてきて非常にいやな感じに浸れま すとも、ええ。

 映画DVD、特に5.1ch以上のソースを使うと、部屋隅にスピーカを立てているかの様な、微妙な定位感を伴って鳴ります。
 しかも、実際に部屋隅にスピーカを立てているのとは違い、左右のスピーカ「コーン」部にピンポイントで音像が定位する…などという情けない状況に陥るこ とが原理的にあり得ない為、下手にスピーカを乱立させるよりも遙かに簡単に、かつわざとらしさのない多チャンネル環境が導入できます。
 通常IECITU方式は「部屋の響きを雑音としてとらえる」点と「リスニングポイントは1点」という、現実をかなり 無視した視聴環境を要求することと比べれば、部屋の響きを巧く利用する本機の方が遙かに上手と言っても過言ではないと思われます。

 テレビ放送に関しては、そのまま聴くにはあまり向きません[2003/08/31]ソー スによって状況が大きく変わります。
 特にニュースなどのモノラル狭帯域ソースにおいてはかえって声が聴きづらい点が困ります(サラウンドモードを変更してもまるで変わりませんでした)。
 残念ながら現行アナログソースではこれらの識別が比較的困難ですが、現行のBSアナログ・デジタル放送(音声はどちらもデジタル)には きちんとAモード(22kHz、狭帯域、アナウンス用)というものが存在する為、モノラルのソースが入力された際には、サブウーファー などの出力を自動的に切って、帯域制限してからモノラル出力するような機能があると良いのではないでしょうか。
 (注:該当環境がない為、出力試験が出来ませんでした…)
 [2003/09/05]ステレオ・モノラル判定は正確に行われていることを確認し ました(片チャネル音声ピンの挿抜にて確認)ので、適切ではない部分のコメントを取り消しました。

 今後地上波デジタル放送が普及する事を含めて考えれば、この点の自動切り替え機能は是非欲しいところ。
 [2003/08/31]一方でステレオ放送のソース(音楽番組など)を聴く場合には、標準的なモード・ MUSICモードのいずれでも聴きやすく、センターチャネルも適切に動作しています。通常使用に近い形での動作を望むならば標準モードのママで、後ろのス ピーカを有効に活用したい場合はMUSICモードとするのが良いでしょう。ただし、テレビ放送の場合は「テレビ付属のス ピーカで再生されることを前提に音響補正を行っている場合が多々ある」ため、番組によっては本機での視聴時に、特に高音域過多によるうるささを感じる時が あります。
 常時NIRO6.1-Cを使用してテレビ音声を出力させるのは問題があるかもしれませんが、ニュースなどのソースを使用する場合にのみ本機の使用を避け れば、他に困ることはなく快適な再生が可能です。
 (当家テレビには音声出力がありませんでしたので、ビデオデッキを1台、チューナー代用として使用しました。)
 [2003/09/05]特に低品質なチューナーを使用した場合、後方スピーカからの雑音が(他のソー スユニットと比べて)盛大に出ますので、安価なビデオデッキをチューナー代用として使用することはオススメできません。これはメインユ ニット側が高音域側雑音をご丁寧にも再現してしまうことが原因(つまりメインユニットが悪いわけではない)ですが、なぜ後方スピーカからのみ盛大に雑音が 出るかは不明です。また、真っ当な機器(DVDプレーヤやCDプレーヤ)では、至近距離まで近づいた場合を除いてはこの現象は発現せず問題とはなりませ ん。

 ゲーム機については…未試験(追証予定)。時間的都合で試せませんでした…

 パソコンとの接続について…とりあえず手持ち機器(nForce2-GTとathlon2100+、セカンダリVGAをTVに振り替え、S端子 &同軸デジタルアウト付き)に接続してみましたが、かなり良い感じに使えています。
 Windowsによるデジタル出力はBS衛星放送Bモードとおなじ44kHz仕様の為何ら問題なく接続でき、DVDビデオソースやMP3/OGGなどの 圧縮音源ソースについても問題なく再生できました。
 また、圧縮音源再生時のノイズ感が一般的なステレオコンポーネントと比べて若干ながら気になりづらい様で、DVDビデオのオーディオトラック向けに チューニングされている点が良い方向に作用しているものと思われます。
 家電環境だけでなく、PC向けシステム(特にテレビデオ代替機能付きパソコン)用としても快適に利用できるはずで、またいわゆるHTPC等への利用にも 向いているでしょう。
 #使い方としてはかなり勿体ない気がしなくもないのですが、一般的なコンポーネントやヘッドフォンでの聴取時にひどく気 になりがちな圧縮音源の癖を巧く隠してくれるという点は魅力的です。
 //メモ//nF2GTにおいてTV接続後にWindowsのGUI表示が不可能となった場合、 (15kHzモードから脱出する為に)起動時にF8キーを連打しセーフモードで起動してから、コントロールパネル→(XPのみ:パフォーマンスとメンテナ ンス→)ハードウエア→デバイスマネージャ→ディスプレイアダプタで、[NVIDIA GF4MX IGPU]を削除してください。次回起動時に同デバイスの初期設定で再認識され、SVGAモードへ復帰できます。

 [2003/09/07]ヘッドフォン端子については、あくまでもオマケ的な装備でしかないようで す。
 家庭で使われるであろう安物ヘッドフォン(インピーダンス32~64Ω)の場合、ボリウム位置にかかわらず「高周波ノイズがフォールダウンしたかの様な 高音域側のノイズ」が結構盛大に発生していて、とてもCDなどの音楽ソースを静かに鑑賞するには向かない状況でした(イン ピーダンス35ΩのPioneer/SE-MONITOR10R、同50ΩのFostex/T-50RPで確認済み)
 #ホワイトノイズがほとんど発生していない為、当家接続環境が原因で発生している可能性も否定できません…
 民生用一般機器としては十分許容できるノイズレベルですが、ノイズレスに近いヘッドフォンアンプを使ったヘッドフォン聴取環境に慣れてし まった人は、そもそも本機ヘッドフォン出力をアテにするべきではないと思います。
 音が出ている間はさほど気になりませんが、無音時やそれに近い場合ではかなり気になるので、あまり使っていて良い気はしません。
 どうしても静寂性が必要ならば別途ヘッドフォンアンプを用意し本機側ラインアウトに接続すべきです。
 #まぁ、製品コンセプト的には「ヘッドフォン出力は簡易モニタリング用に用意しているんですよ」といったノリなのかもし れません…ヘッドフォンアンプ「として」本機を使う人はそもそもいないはずですから。

 不備な点としては、とにかくマニュアルの微妙な不出来が目立ちます。
 添付マニュアル表紙は未だに6.1(-Cモデル非対応)のまま、内容に重複や難解な点などが残っている、-Cモデルにはクイックセットアップマニュアル がなぜか同梱されていないなど、マニュアル絡みの「?」が残る点はちょっと残念です。
 多少苦労して慣れさえすれば良いだけの話ですが、やはり理想としては「考える必要なく、ただマニュアルを見るだけで解る」状態をのぞみたいですね…高望 みですけど。
 製品部分に関しては、スピーカに極端に接近するとホワイトノイズが聞こえる点は気になります(注:ええと…もちろん実用上は問題なし)。

 今後に期待…
 a)マニュアルのバージョンアップ(-C対応)、矛盾点解消
 b)非音楽ソース用の狭帯域モード追加(…不要かもね)
 c)さらに1ピース減らして3ピース構成に…は無茶無意味か。
  (ウーファーの上に角度調整スタンド付きのフロントSPを乗せて即席3ピース…ってのは無理があるし…無意味かも)

  6.1ch環境をバラで揃えるならば、四方はトールボーイ(\12k近傍)、フロントセンターとリアセンターを据え置き(\4k近傍)、アンプが 6.1ch対応(\50k)、サブウーファー(\40k)、スピーカーケーブル(\100/m)とすると、安いメーカーの物で揃えればある程度真っ当な 6.1ch環境が5万円ほど安く購入可能です…ただしこの場合は各機種のマニュアルを見ながら部屋中に配線を引き回しつつ7つのコンポーネントをセッティ ングして、気に入らないときには各スピーカの位置や向きを微調整して…とやる事になるので、よほどいじるのが好きな人でも大変だと思います。ケチって苦労 するとしても、場合によっては割に合わないこともあるかと。
 セッティングに自信がない(or面倒はイヤな)場合は、こういう「成り行きセッティングが出来るセット」を入手した方が、簡単に幸せになれて良さ気だと いう感じがします。


 想定されるユーザー:
 -物理的有り難みよりも聴き心地の有り難みを望む人。
 -コミコミ20万円でシンプルなシアターシステムを欲する人。
 -とにかくスピーカの乱立や
スパゲッティ配線が嫌いな人。
 -厳密な定位感を必要としない人。
 -調整の面倒な
IECITUスタイル設置法 そのものが嫌いな人。
 -「
お茶の間シアター」の構築をもくろんでいる人。
 …
特にオーディオ「セッティング」マニアな 人以外にはオススメ。

→価格:198,000円(希望小売価格)

 …半ば冗談っぽくレビュー借用しましたが、ほんとに簡単に「お茶の間シアター」が実現してしまってかなり驚いてま す。スピーカの位置や向きに関してあまり細かくこだわる必要がない(=セッティングが短時間で出来、後の微調整が不要)というのは非常に便利だと感じまし た(いじり廻すこと自体が好きな人には、間違ってもオススメできませんが…)。やはり「映像」以上に「音」の存在は重要なようです。借用 期間が9/9頃までなので、その近辺までに更新すべきネタがあれば書き足します。
 [2003/09/11]返却完了に伴い、微欠陥修繕を除きこのレビューの変更を中止します。


2003/10/08追記;2003/10/09文面整理
 遅まきながら本日気づきました…Google 検索: NIRO 1.1 Pro/Std。

 リアスピーカを廃しDVDプレーヤを追加して、みごと3ピース構成でのDVDシアターサ ウンドシステムができあがるとゆー徹底ぶり。Pro/Stdの2モデルが存在。

 両者ともプレーヤ付きレシーバアンプはほぼ共通(Pro版のみ2ch分のアンプ追加)、ウーファーは同一(20cmユニット、パッシブ方式、 木製内外装)。
 相違点はフロントセンター(両者とも木製内外装、8cmフルレンジ)で、Pro版は5ユニット内蔵、Std版は3ユニット内蔵。
 価格はPro版(店頭販売あり)が99,800円、Std版(直販のみ)は69,800円。

 音楽CD等の再生に関しては元々(NIRO/6.1Cにおいて)フロント側だけの3.1ch構成で非常に良い 感じだったので、MD/CDコンポを既に所有している(もしくはMDを使用していない)場合、下手なミニコンポシステムを選ぶよりも良さそうな予感。
 もっとも、個人的には「このレビューを書く前(2003/08/26)に、既にこの1.1シリーズは発表されていた」という点が非常に 悔しい(?)わけでして…それはまぁいいか。

 その辺の家電店でも現物を見ることが出来るかもしれませんし(というか、店頭にPDFカタログ(@NIRO.NET)を印刷して持参し、勢い余って展示品を置く様交渉してみるとゆー手も)、もう少 し下のStd版は案外Boseあたりにとっては驚異となるかもしれません。

 ちなみにこれ、現在キャンペーン中らしく「一ヶ 月、Std版をただ同然(往復送料負担分のみ)で貸してくれます」。
 借りた(もしくは勢いで買った)人のレビューがweb上に載るのを楽しみに待ってます→
Google 検索: niro 1.1 レビュー
 #2003/11/16:返却時送料については結局説明がないままのようで…おそらく発払い負担(業者によって算定基準が異なる) だと思う…


 「店頭で冴えるシステム
(大音量じゃないとまともに鳴らない某社製品とか^^;)は聴き疲れ疲れしやすい」という点を心得た上での決断と思われますので、気になる方は借りてみることをオススメします(…おそらく 1.1stdは店頭などの半解放空間での試聴はまったく想定されていないはずなので、実際に(壁のある)部屋へ押し込んで聴くより他に評価方法が無いは ず)。

 というか、これが実店舗の「視聴可能な状態のシアターセットコーナー」と「DVDプレーヤコーナー」に1セットずつ置かれていたら、結構目移りする人が 多そうな予感。ただし、スピーカの数と大きさを数えに来る人が多い「シアタースピーカコーナー」に置くのは絶対に間違 いだと思います(笑)。…ああ、ミニコンポコーナーに置くのも名案かもしれない。


date:2003/08/27~2003/09/11 +2003/10/08 +2003/10/18 +2003/11/16
- メカニカルリサーチ NIRO TWO6.1-C -


niro1.com NIRO REFERENCE
※小型AVアンプ、フロント5chスピーカ、サブウーファーのセット。
設置性:★★★★☆ 【ミニコンポよりも簡単に接続・設置できる。】
操作性:★★★☆☆ 【一度慣れてさえしまえば、とても良い感じ。】
音場感:★★★★☆ 【簡易的再現ではあるが、誰にでも容易に再現可能】
音質感:★★★★☆ 【安価な機器との接続時にも嫌みな音を吐きにくい】
推奨度:★★★★☆ 過剰な期待は禁物ながら、設置関連で悩みたくない人には素直 にお勧め。

 注意:発売日前に予約までして購入した ようなヤツの書く事ですので、良く書いている事については十分割り引いてお読みになる事をお勧めします。】

 まずは…上の(NIRO/TWO6.1-C)レビューに倣って梱包ネタから。
 SPA箱/SSU箱/WSU箱/空箱(!)の都合4箱が、幅730x奥行き396x高さ470(mm)の箱に纏まって入っています。このままでは 20kg弱と重く、また大きく扱いづらいので、面倒になって玄関で外箱を開梱してから持ち込みました(4つある各箱の投影面積は全て同じで、高さのみが異 なっています)。


 各箱の内容物は…まず外箱を開けると内箱の上にマニュアル・保証書・かんたん接続ガイド。

 SPA箱の中身(↑)はプロセスアンプ自身(電源ケーブル直付け)とリモコン・リモコン用電池。プロセスアンプ自身の大きさは
、厚みが薄 手のDVDプレーヤ同等・幅がVHSテープより15mm程度広い・奥行きは一般的なビデオデッキより15mm程度広いです。

 SSU箱の中身(↑)はサテライトスピーカ自身(端子付きスピーカケーブル直付け)とベルクロテープ(マジックテープ)。
サテライトス ピーカ自身の大きさは、専有面積がVHSテープ3本分で、高さはCDケースの短辺側と同じです。

 WSU箱の中身(↑)はウーファースピーカ*自身(端子付きスピーカケーブル直付け)とスパイク・スパイク用カップ。ウーファー 自身の
専有面積は幅・奥行き共に一般的なビデオデッキ**より 30mm程度広いです。
 
もしウーファーが大きすぎると感じる場合は、より薄いウーファーを採用した機器…NIRO600(110mm)かNIRO400(140mm)を選択すると良いでしょ う。
 (*: WSU = "WooferSuperUnit" ≠ "WooferSpeakerUnit")
 (**:2005/05/22:追記し忘れていました。ビデオデッキの「奥行き」を基準にしています。)

 コンポーネントを構成する点数がきわめて少なく、配線類も直付けのため、修理や返品を行う場合の再梱包がしやすい というのは良いかと(それだけ自信を持って作っているという事の表れでしょうか)。
 また再梱包性だけでなく、設置性も良好。何しろプロセスアンプに接続するのはパッシブのスピーカが二つ(サテライトスピーカ1つとウーファー1つのみ、 どちらもワンアクション接続が可能なコネクタを採用)で、二つのスピーカの間に相対位置の依存関係は当然ながら無いため、ステレオミニコンポよりも簡単に 接続が可能です
(たとえば一見簡単そうに見えるドルビーバーチャルスピーカ採用の製品であっても、間隔と向 きの調整は必要…しかもディスクリートマルチチャンネル機器の常識が通用しない…といった製品と比べれば、本機の設置性の良さは群を抜いていると言えま す。あえて調整する必要があるとすれば、サテライトスピーカの向きと高さくらいでしょうか…この辺は後述)
 ちなみに今回は(前回の反省を元に)さっさと取り付けを行った所、30分程度で音出しまで出来ました。…とは言っても、そのうち20分は光デジタルケー ブル探しで、5分はDVDプレーヤのモードをDTSスルーに変更する方法を忘れていた事によるものですので、おかしな事がなければ5分程度で使えるでしょ う。


 ただし、コストダウンのために「他の機器とを繋ぐための接続ケーブルは一切梱包されていない」点 には注意。必要なケーブル(同軸デジタルケーブル・光デジタルケーブル・もしくはアナログ音声ケーブル)については、必要なものを別途準備する必要があり ます。
 この点ははっきり言って不親切だと思います。が、妙な長さのケーブルや不要なケーブルが付いてこないだけに備品管理はしやすく、結局 は「必要な接続ケーブルは別途用意する事」と注意喚起がなされていれば、特に問題はないような気もします(返品を許可している以上は、このようにしないと 紛失や錯誤などで大変な目に遭いそうですし、この方が却って親切なのかもしれません…)。


 プロセスアンプ側のスピーカコネクタは、サテライトスピーカ・ウーファー・MovieMouse(別売り)の全て が全く異なるコネクタとなっていて、すべて逆差しが出来ない作りのものです。これらは挿したときにはロックがかかり、抜くときには左右をつまんでロックを 解除すれば容易に抜く事が出来…と、適切なコネクタが採用されています。

 リモコンはNIRO TWO6.1族に付属のものと同じ外見・使い心地です。一部1.1族用に機能が割り当て直されており、印刷表示は日本語化されています。このリモ コン自身にリモコンコードを正しく設定すれば、最大で6台のソース機器(AUX1に接続するテレビ自身を 含む、という制限はあるが)をこのリモコンのみで簡易的に操作できます(操作したときにソースキーが点灯するので、どの 機器に対する操作が行われているのかも一目で解ります)。この価格帯の製品に付属するリモコンとしては、破格の代物かもし れません。
 #当家ではとりあえず[DVD]にDVDプレーヤを、[AUX1/TV]にはテレビのリモコンコードのみを設定(テレビ 側にはライン出力がない/前面イヤホン出力を引き回すのも納得いかないので、背面入力端子は解放まま)、前面の[AUX2]に はビデオデッキを接続しています。テレビ音声をラインに回せない構成のため、テレビリモコンの音量操作キーのみは必要となってしまう点は困りものですが、 それ以外の操作については一通りNIRO REFERENCE付 属のリモコンのみで操作できています。
 リモコンコードの設定方法はマニュアルに書かれており、この記述内容は(NIRO TWO6.1族に当時付属していたマニュアルでの記述とは異なり)解りやすく書かれており、設定にとまどう事はないでしょう。
 (リモコンコードの件に限らず、マニュアルの品質は(大手家電メーカー並とまでは行かないものの)かなり向上していま す。)

 サテライトスピーカはとても凝った塗装がなされていて、NIRO TWO6.1族よりもさらに力作といった感じです。SPA/SSU/WSU とリモコンを並べて「これで9万5千円、1ヶ月返品保証付き」となれば、見た目と機能の問題のみで見れば、コストなりのものが確実に提供されていると思い ます。【2004/08/03:こう書いてしまうとレビューの本質を見失ってしまいそう なので、とりあえず取消線を引いておきます。】

 以前の1.1PRO/STDでは常時フルスピードで回っていたらしき冷却ファンの音については、NIRO REFERENCEではかなり低速な回転に変わっていて、風切り音はほぼ気になりませんでした。当 方環境ではおそらく最大音量に近い状態で用いる事はないはずなので、永遠に低速回転のままかもしれません。ただし排熱性を犠牲にしての静音化らしく、本体 外装は長時間触っていられるぎりぎりの温度(≒ノートパソコンの裏面と同じくらい)まで熱くなるため、密閉空間へ設置しないように注意するべきでしょう。

 安物のビデオデッキ(Panasonic/NV-SV100)をチューナーとして用いてのテレビ視 聴については、TWO6.1-CよりもREFERENCEの方が明らかに雑 音の乗りが聴感上の雑音が少なく、低品質なアナログソース(多くの家庭向け機 器)のアナログ接続に関しては、おそら くは本機の方がより向いているように思います(ただし、テープ再生時にはノイズが目立って 聴きづらい場合もあるので要注意…気になる場合はトーン調整で回避可能)
 これは、
「テレビの音声(FM音声)やゲーム機の音声をよりよく聴きたいがために、チューナーとしてビデオデッキを使用 し、セレクタで音声を切り替えて、出力側にミニコンポを…という構成で使用していたが、DVDを聴くには物足りないと感じたので機器を更新したい」といっ たライトリスナーにとってはちょうど良い機能と規模を持っていると思います(こ ういう使い方をする人がどれほどいるかは不明ですが、少なくとも私の知人に一人この方法を使っている人がいますので)
 音質についても、
アナログ入力側についてはFM音声にきちんとフォーカスして調整している感じがして、聴き心地に不安な点は見あたらりま せんでした(気のせいかもしれませんが…)
 「デジタル接続できるものはデジタルで繋ぎ、アナログ接続しかできないものはアナログで繋ぐ」のが、本機を巧く使うコツなのかもしれません。
 #TWO6.1族がもっとも苦手としていた(と私は勝手に思いこんでいる)ニュースソースやナレーションなどとの相性 は、(少なくともアナログ接続に限っては)かなり派手な表現ながらも明瞭度が高く、聞き取りやすく良いと感じました。このような仕上げ具合であれば、テ レビ放送を含む全てのソースを常時NIRO REFERENCEで聞く事も可能であり、NIRO TWO6.1族 とは異なる方向性を備えた「常時使えるシステム」としての使用に耐える音質だと感じました。

 音楽CDについては、TWO6.1-Cと比べても(正面位置で聴いたときの)左右の分離感が多少良くなっていて、なおかつBGMクオリティでの サービスエリアは狭くなっていないようです。ただ単に高音を強調させているのかとも思ったものの、どうもそういう単純な仕掛けではない様子です。確 か左右はそのままで、センターにのみ微少信号を出しているだけのはずなので、この点については気のせいか、もしくはサテライトスピーカ のエンクロージャが変わった事による効果なのかもしれません。
 【2004/08/09:NIRO 400 - [DTM・デジタルレコーディング]All About Japanにて異なる記述を見つけたため、念のために取消線を引きました】

 音響イメージは仮想5.1chなりです。また部屋の反射に頼ってはいない様です(今思えば TWO6.1-Cもそうだったのかもしれず)。
 メーカーサイトの宣伝文句(
あなたの周りを360度、サウンドが途切れることなく 帯状に包み込み~とかいうアレ)についてはとりあえず無視して、素直に「自然な音の広がりを得られるシステム」としてとら える方が、本機の素性を理解しやすくなるはず。
 本機の目指したものは、おそらくはスピーカが5本立っている状態そのもの(=過程)を再現することではなく、スピー カを5本立ててまで再現しようとしている理論上の音場(=結果)を再現することを目標にしているはずです。そういう意味では「
サウンドが途 切れることなく帯状に包み込み~」の文言は正しいと感じます。ただし、後方で鳴るべき音が前方に混じってしまう点は否めま せん。
 従って、「とにかくスピーカが多数立っていないとダメ」だという人が買うべき代物ではないと思います。
 特に本機は
NIRO TWO6.1族とは異なり、後方にはリアルなスピーカユニットが存在しませんので、後方で定位するべき音に対 する再現性には限界がある、という事をあらかじめ承知しておく必要があります。

 スピーカの左右どちらかに遮蔽物があって、なおかつそれを排除できなかった場合は、とりあえずスピーカの向きを大きく変えてみると状況が改善され ます。
 元々サービスエリアが広い事と、左右遮蔽物による影響が著しく大きい事とが絡んでいるので、見た目を気にせず向きを変えてみると良いかと。
 当家環境においては正面から見て左手側に振っていますが、特にサラウンドイメージが崩れる事はなく、また遮蔽物の影響も巧く避ける事ができています。
 
 モニタの表示面とスピーカのセンタを同じ向きにして設置した場合。
 この状態では、右端ユニットが棚の側面に近接正対しています。
 このまま音声を出すと、右スピーカのイメージが棚の側面に反射してしまい、まともなサラウンドイメージを得る事が出来ません。
 
 このような場合、サテライトスピーカを少しだけ斜めに設置して、右スピーカの正面1.5m*(メー カー推奨値)に遮蔽物が無い状態を作るとおおよそ問題は解決します。
 このとき、反対側の左スピーカ側についてもスピーカの正面1.5m*に遮蔽物が無 いことを確認する必要があります。
 (*: とは言いながら、実はこの状態では左側は1.3mしか空いていません…この辺については泣く泣く妥協しました。ただし、障害物となっている障子と窓を開放 しても、聴き心地に大して変化はありませんでしたので、このくらいは許容範囲内なのかもしれません。これが自室ならば素直に配置換えする所なのですが、こ のシリーズ(特にNIRO600あたり)が導入されるであろう環境の事を考えると、そこまで メーカーの言うままに理想環境を整えてレビューするのはここの趣旨である「お茶の間シアターレビュー」に反するような気もしましたので、あえて不完全なま まで音質評価を行っていく事にしました(注:所詮は言い訳ですが)。結局、いつも通りの「製品性能そのままのレビュー ではない」状態に陥ってしまっています…。-2004/08/01)
 
 斜め設置状態を正面から見た所です。
 見た目には問題があるものの、厳密なサラウンドイメージを得る必要さえなければ、これで問題なく視聴可能となります。
 ちなみに、メーカー推奨視聴環境は「スピーカは耳の高さに合わせて、2~6m離れて聴く」事となっています。必要に応じて、スピーカの向きが上向きもし くは下向きとなるようにスペーサをかませると、よりよい結果が得られるはずです。
 (これがTWO6.1になると、もう一方のスピーカと必ず正対しなければならないというやっかいな問題があるため、後ろ のスピーカ位置を同時に変えるか、前のスピーカを前後に移動するしかありません(家でのTWO6.1視聴中には、前スピーカをテレビごと(!)前に移動し ていました…)。仮にこれがディスクリート5.1chシステムならば…ベストセッティングと思っていたものが机上の空論でしかない事に気づかされて凹むか もしれません。)

 マルチチャンネルソースにおける聴取可能位置は、相変わらずルーズかつ広いです。一人で楽しむシ ステムとして使うのみであれば不満があるかもしれません(正しくセッティングされたディスクリートマルチチャンネルなシステムとは根本 的に考え方が違う)が、二人以上で聴くor聴取位置を厳密には定めたくないという場合は、本機の方がサービスエリアが広い分確実に有利で す。

 ヘッドフォン出力はホワイトノイズが混じっています(NIRO TWO6.1で気になったフォールダウンノイズは無い模様)。ヘッドフォン出力専用機として使うにはやはり向き ません。もっとも、メーカーサイドとしてはヘッドフォンでのバーチャルサラウンドで満足のいくサラウンドイメージを得られないと感じたか らこそ、このシリーズ全てにMovieMouseを接続可能としているの でしょうけど…
 ところでMovieMouseの価格は \19,800 (税込)ですが、この価格であれば、ヘッドフォンであればAKG/K501が買えてしまいますから…ああ、蒸れずに聴けるという意味では良いかもしれず。 しかもヘッドフォンでのバーチャルサラウンドに関しては何回も痛い目を見てるからなぁ>私。

 PLII Music/Cinema はどちらも(特に Music モードは)期待はずれ…というか、音楽ソースを聴くならそのまま( PLII は off か auto )にする方が良いと思います( NIRO1.1 ノーマルの素性の良さを、これらのモードが壊してしまっている気がします)。両者とも前時代的な残響音が付加されてし まってラジカセ臭い音になりかねなません…(この辺は人によって好みがあると思うのですが、それにしてもこれでは…。フロント5スピーカ方式と PLII の相性はかなり悪い気さえしてきます。ここは TWO6.1 とはかなり違います)。
 #2004/08/14追記:いわゆる「Dolby Digital 2.0ch Surround」ソース(NIRO1.1においては、Dolby Digital 2.0ch / PLII Cinema として処理される)と、「Dolby Digital 5.1ch」が同ビットレート収録されているソース「ラーゼフォン 劇場版 多元変奏曲(メ ディアファクトリー)」での比較を行いましたが、両方収録されている場合については素直に 「Dolby Digital 5.1ch」を選択する方がよいと思います( PLII Cinema の音が嫌いなだけですが)。また、「 Dolby Digital 2.0ch / PLII Off 」とした場合についてはセンターチャネルからほぼ(全く?)音が出る事は無いのですが、私個人としてはこの方がまだ素直に聴けるような気がします。ここま で来ると「単なるPLII嫌い」ですね、私は…。

 DVDなどのデジタルソース(ドルビーデジタル限定かもしれない)を小音量で聴く場合は、積極的にリア・センターのバランスを弄るか、ナイトモー ド(ウーファー音量も下がるが…)にする必要があります。何とかそのままでもバランスを保てるのは 20/60あたりまで。サラウンドイメージを保ちつつ15/60かそれ未満で再生する場合は、リア・センターを持ち上げる必要が出てくきます…それほど小 音量での再生をする場合にはMovieMouseの方が有利なのかもしれません。
 #アナログ入力については小音量時であっても十分な明瞭度があるため、テレビ(=FM音声)視聴などダイナミックレンジ の狭いソースを聞く場合については特に補正を必要とせず、MovieMouseの必要性 も特に感じませんでした。

 DTS音声が入っているソースならば、出来る限りDTS音声を選びましょう…例えば「英雄-H E R O-(ワーナー・ブ ラザース映画)」の場合、DTS3/2.1のビットレートが1509kbps(中国語のみ)に対し、ドルビーデジタル3/2.1のビットレートは 448kbps(日本語/中国語ともに)しかなく、高音域特性を含めて全般的に音質が悪くなっています。特に本機の場合は、音質の差が はっきりと解る…というか、ドルビーデジタルではそもそも「はっきりとしたサラウンドイメージを得難い」ような気がします( NIRO REFERENCE のサラウンドイメージは、高音域の音質にかなり依存しているのかもしれません)。
 #国内作品の場合は…「踊る大捜査線 bayside Shakedown 2 ( THE MOVIE 2 ではなく)」あたりが聞き比べやすいかと。

 それと肝心のサラウンドイメージについてですが…そもそもスピーカが5つとも前にあるので、全ての音が前方に定位してしまうのは仕方がない様で す。
 なぜ宣伝文句の通りにいかないのか…音量を上げれば良いのか、あるいは私の耳がおかしいのか、それともそもそもこういうものなのかは不明ですが、少なく とも NIRO TWO6.1 族では難なく得る事が出来たはずの、あの「奇妙で心地良い包囲感」を得る事は出来ませんでした。
 #これは「8畳間に NIRO REFERENCE を押し込む事自体が間違い」という可能性が非常に高そうですが。
 音量をある程度大きく(出来れば24/60以上)すれば、エンクロージャに付いたそれぞれのユニットの存在感を巧く隠蔽できるらしく、各ユニット感の 「音の切れ目」は綺麗になくなります。背後に聞こえるべき音が正しく背後から聞こえるかどうかという点については、「その人のとらえ方次第」だと思いま す。…私の場合、NIRO1.1にはそこまで求めない(TWO6.1が向いている)ので、これはこれでよいと思うのです。
 また、このユニットの存在を隠蔽するという操作については、そもそもユニットやエンクロージャが小さい NIRO600NIRO400 の方が(より小さい音で隠蔽できるはずなので)有利なはずです(小さいものほど音質的には不利ながら、小音量かでの音場再現性は良くなるはず)

 もし1.1族のどれを試すべきかで悩んでいる人は、次の基準を元に選ぶと良いかもしれません(NIROサイトの記述+私の偏見に よるものなので過信しないでください)。
 NIRO REFERENCE は「とりあえずシリーズ中最上位の機種が欲しい」という人向き。平均リスニング距離が4(±2)mであると良いらしいです(マニュアル記述中から)。
 NIRO 1.1 PRO II は「他のサテライトスピーカは見た目がイヤ」という人向き。1.1 PRO (I) 登場時点での広告記事によれば「だいたい20畳以上の広さの部屋が望ましい」らしいですが…
 NIRO600 は「居間やリビング、もしくはそれに近い環境に導入したい」という人向き。平均リスニング距離が1.0~1.2m程度以上ならばこちらが良いかと。
 NIRO400 は「自室(自称鳥小屋とか)で使う」、あるいは「それなりに近接視聴する」という人向き。平均リスニング距離が1.0~1.2m程度未満ならばこちらが良いかと。
 MovieMouse(追加購入品)は、「周りに大きな音を漏らさずに近接視聴する」という人向き。

 このシステムを「誰にでも確かな全方位のサラウンド感を得られるもの」として捉えようとすると、正直言って面 食らうはず。
 このシステムの利点はむしろ、「一つしかないサテライトスピーカの左右に適切な空間を空ける」という単純な条件のみで、必ずメーカーの意図する音響状態 を再現できる事にあるはずです。

 結局 NIRO TWO6.1 族と比べれば貧相なサラウンド感には失望し掛かってしまいましたが、
  「音質に限っては(NIRO TWO6.1 族と比べても)さほど不満な点がない」
  「付属リモコンは捨てがたい(これでテレビの音量も操作できればさらに良かったか も?)
  「(事情により向きは変えましたが)サテライトスピーカの位置関係に悩む必要がない
  「(すでにNIRO TWO6.1 族で味をしめているので)テレビの横幅以上に間隔を空けてサテライトスピーカを置くようなシステムでは、サテライトスピーカ自身の大きさに関 係なく邪魔に感じる
といった状況のため、言い換えれば
  「他のシステムへと変更しても、後悔する点が余計に増えるのみで何も良くならない」
という気がしましたので、返品するかどうかについては若干悩んだものの、結局使い続ける事に決めました。
 #当初はページの先頭に書いたBose 3・2・1(321)BoseR FreeStyleR(3・2・1 SPEAKER)も候補に入っていたのですが、公開取説の「スピーカー同士の間隔は最低で 60cm、最高で2m+画面の幅となるようにする。画面とスピーカとの間隔は左右とも同じにする。スピーカの高さは揃える。スピーカの向きは両方とも正面 を向ける。」という条件を当家居間で満たす事は困難なため、結局候補から除外しました。

 もし私が大音量で聴く人であったならば、周りがなんと言おうともスピーカを多数立てて厳密に位置と向きを調整して…とやる所ですが(この場合はそこそこ安価なディスクリートマルチチャンネルのシステムでも良いはず)、私は「特に左 右サテライトスピーカの存在感は隠れていて欲しい、でも音量は可能な限り小さい状態を保ちたい。自由に機器を繋ぎたいし、音質についてもそれなりの質は確 保されていて欲しい。」と思っているようなヤツですので、この用件を満たすとなると、結局はNIROのシアターシステムに行き着いてし まいます…。

 想定されるユーザー:
 -「センターチャンネルスピーカが主役の」疑似サラウンドシステムを欲する人。
 -サテライトスピーカの両側面に1.5mの空間を確保できる環境にある人。
 -サテライトスピーカの相互位置関係を調整する必要があるシステムを望まない人。
 -「お茶の間シアター」の構築をもくろんでいる人。
 …6.1ch環境や、より確かな包囲感を欲するならば、スピーカが一つ増えてしまいますがNIRO TWO6.1族をお勧めします。

→価格:95,000円(税込)

date:2004/07/29 +2004/07/30 +-
- niro1.com NIRO REFERENCE -

Google 検索 SUPERBIT



未購入、またはレビュー未定…

date:200?/??/??


その他雑言。

date:2003/??/??


 このページに関するコメント(歓迎、罵倒、疑問、質問、感想、その他もろもろ)は、メール電子掲示板にお寄せ下さい。

 トップページへ戻る場 合はこちらから。