カランカラーン。
やぁ、みーちゃん。キリキリ働いてるかね?
「・・・・・・・・・・・・・。」
おやおや。トレイを持つ姿も板について。しっかりお稼ぎ。
「・・・・・・・式王子さん・・・、ひとつ聞きたいことが。」
は。何でしょう?
「・・・・どうして私だけいきなりここで働くことになったんですか?」
いやぁ、しょうがないでしょう。前回撃った挑生が俺だけならまだしも、他の人にも当たり、全員ネギだのホヤだの吐いた日にゃあ、ちょっとしたラクーンシティですよ?寄り付かなさといったら台わ
「式王子さんストップ!!」
おっとイケナイ。無駄な不安をあおる所だった。つーわけで、出した被害の分だけ働いてもらおうっつーことじゃないですか。水葉さんだって納得したでしょう?
「式王子さんがかわすから・・・・。」
(・・・・・俺はネギだのホヤだの吐いてもいいんかよ。)
「じゃなくて、何で一緒に働いてくれないんですか?その方が早く済みますよ。」
イヤ、俺職探し大変だし。
「・・・・ここに現実のしがらみまで持ってくるのやめません?」
じゃあ、俺ヒモ生活の方が性にあってるし。
「だから・・・・・はぁ、もういいです。私も不定期とはいえ、1コーナーに固定で出番が出来たのは嬉しいですから。」
・・・・水葉さんもその内輪のしがらみ出すのやめましょうよ。
「お互い様ですっ。」
・・・・・。ところで、仕事はいいんですか?
「はぁ。ご覧のとおり、店が非常に空いてるもので。多分マスターに断れば昼食とっても大丈夫な位です。」
さいですか。そんなら、俺はお邪魔でしょうからコレにて失礼。じゃ。
ガシッ!!
「ストップですっ。」
(なんだ?この台詞とは裏腹に肩を捕らえて離さない握力は。)
「そんないきなり背中を向けることもないじゃないですか。折角来たんですから、一品頼んでください。」
イヤ、俺は・・・・金が・・・・。
「ね?」
めきめきめきー。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー。あのー、水葉さーん?
「なんでしょう?一品頼んでくれるんですか?」
ばーかーぢーかーらー。
ぴきっ。
〜30分後〜
「ありがとうございます。コーヒー一杯でも良かったのに、まさかランチを食べていってくれるなんて・・・。」
・・・いや。「病院通い」と「昼飯」どっちに金払うかってったら・・・・ねぇ。
「なにか?」
いえ。なんでも。ところで・・・・この後ろにかかってる曲なんですが。
「あぁ。この曲ですか。」
なんというか・・・なんとも癒されるというか、軽く目頭熱くなる感じの曲ですね。
「EPOという方の『百年の孤独』という唄だそうですよ。」
そうですか。俺の知らないアーティストですね。外人ですか?
「れっきとした日本人ですよ。なんですか、そのアルファベット=外人って。」
うっさいですー。あぁ、そういえば友人に薦められた「エアリアルシティ」って小説で「テーマソングはコレだ」って作者さんが言ってたのはこの曲ですな。確か。あ、まずい。思い出したら軽く泣けてきた・・・。
「あぁ、そういえばこの方は他にも『薬用ミューズ』のナレーションと『ミツカン白みりん』の唄を歌ってるとか。『う・ふ・ふ・ふ』とかいうやつです。」
・・・・は?
「あと確か『そーけんびちゃ』の唄もそうだって聞きましたよ?」
爽健美茶?最近のではないですよね?はとむぎ玄米月見草?ドクダミハブ茶プーアール、チコリー大麦なんばんきびですか?
「さぁ、流石にそこまで詳しいことは。」
・・・イヤ、十分詳しいと思いますけど。
「マスターの話では『俺たちひょうきん族』EDテーマを歌い、タケちゃんマンの唄の作曲をなさったとか、80年代には小泉今日子や中森明菜、中山美穂、薬師丸ひろ子といったトップ・アイドルたちにも多く曲を提供してきたとか・・・・・・」
わー!!わー!!!
「きゃあッ!!どうしましたか?式王子さんッ!!」
聞きたくなーい!!何か水葉さんが昔の比較的俗っぽいことを普通にしゃべってるなんて何かちがーう!!!!
「・・・・・あの、コレはマスターの受け売りですから・・・・。」
マスター!?あぁもうッ!「恐山育ちの陰陽師」なんて訳の分からない設定持ってる水葉さんに何吹き込んでるんですかマスター!!マースーター!!
かぽーんッ!!
「・・・・・うるさいですっ。」
・・・・・持ってたんですか。ピッケル・ザ・御嶽山・・・・。
「はぁ。色々役には立ちますから、こんな時とか。」
お願いですから、お手手が後ろに回るようなことはしないでください・・・・。
「そんな、式王子さんじゃあるまいし。大体なんで良い曲を褒める時まで殴らないといけないんですか?私だって極力したくないんですから、こんなこと。」
・・・・・何か凄いことをいわれたような気がしますけど、もう良いです。頭も痛いし、言ってることは正しいですから、戻しましょう。
「で、大抵この曲を褒める方は『癒し系』や『浮遊感』なんて単語を使いますね。式王子さんもそんな感じがしましたか?」
はぁ・・・・俺は「良いものはいい」って思ったらそれで十分ですから、そんな詳しい褒める理由を聞かれると返答に苦しみますけど。そうだなぁ・・・落ち着く所で軽めの煙草吹かしながら瞑目して聞きたい曲って感じですか。
「・・・・・・。」
聞き終わってからこう、目頭を軽く押さえて「さぁて、頑張るか。」みたいな。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・ナニカ?
「・・・・・・・似合いませんねー・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・。
「そんな、『パソコンだけがお友達』『今日も帰ってイロゲーム』『友人と顔あわせて開口一番「何かエロ貸してくれ」』が名言集に入ってる式王子さんがそんなこと言うもんじゃないですよ?」
ぐあっ・・・・・・・。
「あれ?式王子さん、どうしました?本当のこと言っただけですよ。」
あー・・・・・・・・
「そんな、死にそうな顔しないでくださいよぅ・・・・式王子さん?」
・・・・どうでも良いけど、「百年の孤独」って名前の焼酎あるんだよなー(本当)。
「あの?式王子さん?」
ノムカ。トコトン。ムシロシヌマデ。
「あぁッ!!式王子さんがうつろな目をッ!!!式王子さん!!式王子さーん!!」
ははー。あははー。あはー。
「仕方ないですね・・・・はぁッ!!『ピッケル・ザ・御嶽山』ッ!!」
かっぽーんっ!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・式王子さん?」
・・・・・・はっ!!今俺はナニを?
「・・・お帰りなさい・・・。式王子さ・・・・・・!!!(割れてるッ!割れてますッ!!)」
え?・・・あぁ、ただいま。
「あの・・・・・だいじょうぶですか?その・・・・いろいろ。」
あぁ、だいじょうぶ・・・だと思う。なんか歩くと頭からカパカパ音がするけど。
「・・・・・・・(だって、割れてますもの・・・・さすが『ピッケル・ザ・御嶽山』・・まだ使いこなせてないみたいです・・・・・はぅ)。」
ん・・・なんですか水葉さん?
「・・・・・・いえ・・・・。」
じゃあ、帰りますわ。
「あ、そうですか・・・・。ありがとうございましたー。」
カランカラーン。
「キャー!!あの人頭が!頭が!!」
「カパカパしてるー!!!」
「ママー、あの人の頭、パッ○ンフラワーみたーい。」
「見ちゃいけません!!」
「狩野君、なんか店の外がうるさいみたいですが・・・。」
「そんなマスター、気のせいですよっ。」
「そうですか・・・・。」
「聞こえない聞こえない聞こえない・・・・・。」
「・・・・??」
・・・次の日新聞で、「店の近辺で頭部に強打を受けたらしき若者が平然と歩いている所を発見され、病院に担ぎ込まれた」ということを知りました。傷の状況は「とても人間に出来る芸当ではない」とのことだそうです。
それはそうでしょう、本人が割れていることに気付かないで往来を闊歩していたほどなのですから。でも、このことを狩野君に話すと、急に目をそらして仕事に戻ってしまうのが不思議でしょうがありません。
後、最近私がお気に入りの「百年の孤独」をかけると、狩野君が軽く震えるのはどうしてなのでしょう・・・・・??(マスター後日談)
「百年の孤独」歌詞はこちらです。
曲そのものは「air」か「Wica」っつーアルバムに入っているとのことです。
(HP等で試聴することは出来ないみたいです)
生まれた時に消されてしまう
記憶はどこの海に 沈んでいるの
Nobody knows it my mysteries
遺跡を見ると胸が騒ぐ
私はどこに 戻ろうとしているの
Nobody knows it my histories
目覚めたたましいの 静かなひとりごと
wow wow いつの日か年をとって
みんなにさようなら 言うときが来て
ほんとうの「ありがとう」を
言える気持ちは どんなだろう?
Nobody knows it (Nobody knows it)
灰になるとき 風に乗って
いろんな国の 空を飛んでいたの
Nobody knows it my mysteries
かわいたたましいの 静かなひとりごと
wow wow いつの日か年をとって
時の走馬灯 見る時が来て
ほんとうの「ごめんなさい」を
いえる気持ちは どんなだろう?
Nobody knows it (Nobody knows it)
目覚めたたましいの 静かなひとりごと
wow wow いつの日か年をとって
みんなにさようなら 言うときが来て
ほんとうの「ありがとう」を
言える気持ちは どんなだろう?
wow wow いつの日か年をとって
時の走馬灯 見るときが来て
ほんとうの「ごめんなさい」を
言える気持ちは どんなだろう?
wow wow いつの日か年をとって
みんなにさようなら 言うときが来て
ほんとうの「ありがとう」を
言える気持ちは どんなだろう?
Nobody knows it (Nobody knows it)
Nobody knows it (Nobody knows it)
Nobody knows it (Nobody knows it)
Nobody knows it (Nobody knows it)
Nobody knows it (Nobody knows it)
Nobody knows it (Nobody knows it)
Nobody knows it (Nobody knows it)・・・・・・
EPO公式サイトはこちら。 |
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