こういう、ブライアン・デ・パルマが好きなんだよ! ウェルカムバック! デ・パルマ!
デ・パルマ監督初期の頃の作風が、とくに終盤に炸裂するサスペンス・スリラー。
お得意のスローモーションや回転撮影はなかったけど、分割画面に始まって、殺人、真犯人の謎、罠?、立場の逆転、らせん階段、殺人、背後にしのびよる影、刑事、夢? たたみかけてくる。
デ・パルマだなあ。
最後は、いろんな解釈の余地がありそうで楽しい。
直近では2002年作品の
「ファム・ファタール」に近いテイストといえるだろうか、デ・パルマには、こういうのを作りつづけてほしい。
今回はちょっと淡白(年のせいか?)なのもあって佳作の部類かなと思うけど、作るうちに、あれ?
これ、傑作じゃね?というのが生まれるかもしれないからさ。
(今回の分割画面ったら、いまいち必然性が…? と思ったけど、ドビュッシーの「牧神の午後」って、セクシュアルなイメージがあるらしく、ふたりの関係に少しはダブるか?)
好きでない人には、なんだ、これ?
好きな人には、にやにや、にこにこできる、大好物なデ・パルマ味。
リュディヴィーヌ・サニエ、クリスティン・スコット・トーマス主演で、アラン・コルノー監督の遺作となった「ラブ・クライム
偽りの愛に溺れて」(2010年、劇場未公開)のリメイクだという。
このオリジナルは見ていないので、今回どの程度アレンジされているのか分からないが、かなり、デ・パルマ監督向きの素材だったのであろうことは想像に難くない。
ノオミ・ラパスさんとレイチェル・マクアダムスさん。
上司に屈辱を味わわされて復讐する女性、という話と知って、ノオミのほうが年上で上司っぽいイメージなので、てっきりレイチェルのほうが復讐するんだと思ってたら、あれ、反対か。
と思ったら、やっぱり、そうか。と思ったら、逆だったか!(笑)
レイチェル、可愛いはずなのに、憎たらしい上司役のせいか、あんまり可愛く見えない。もしや、演技力のせいなのか!? だとすれば、すごいぞ!
ちゃんとヌードになってくれたら、もっとよかったのにな〜。
ふたりが担当している仕事が、スマホの広告。Panasonicの名前が出ていたけど、現実には、ちょうどPanasonicはスマホ事業から撤退したところらしいですね…。
レイチェルが上司、ノオミが部下、ノオミの部下にカロリーネ・ヘルフルト、レイチェルとノオミの間でフラフラしている男(笑)にポール・アンダーソン。
映画に出てくるのは、この4人の関係がほとんどで、分かりやすい。
音楽が、
ピノ・ドナッジオというのも、うれしい! なにしろ、デ・パルマ作品では、「キャリー」(1976年)、「殺しのドレス」(1980年)、「ミッドナイト・クロス」(1981年)、「ボディ・ダブル」(1984年)などを担当していて、デ・パルマとくればドナッジオなんだから!
IMDbでは5.4点、Rotten Tomatoesでは5.6点という低評価だが、かつての、あのときの、あの、デ・パルマ好きなら問題ない!
日曜の夕方、みゆき座の184席、50〜60席ほどは埋まっていたような…。
地下駐車場で、クルマのドアが開かなかったり、バッコンバッコンぶつけてたのって、レイチェルが何か仕掛けたんじゃなくて、単なるノオミのストレスのせい…なんですよね? そう考えたら、なんか苦笑してしまうんですが。
そういうとこも含めて、デ・パルマは、いいんです。
好きだから、そう思えちゃうんだろうね。
もう1回、観ようかなー。連休は行けないけど、次の週末19、20日まで、上映してるかな?