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最近ラジオを聴く習慣が出来ました


静かな生活を送っているからかもしれません


あなたに携帯電話からのメールを久し振りに出した後


朝方のさっきまでラジオを点けたままうとうと起きていました


あなたの言うように私も生きていることを強く感じていました


心が張り詰めた糸のように緊張していて


それはまるでアンテナのように思えました


遠く離れてしまったことをはじめ


知らない人の心の声までも聴こえるような気がしたのです


夜の東京タワーが


真夜中の心の中でぽっかりと浮かぶように輝いていました


もう眠れそうになかったのでとりとめなく手紙を書きました


言いそびれてしまっていたけれど


僕が


もらった


写真の中に


いろんな思い出が少しずつ


君が


言ったいつかの天気雨の夕暮れを


あの広い京都の空とともに思いだす


家の電話機には


新しい番号たち


こんなにせつない気分の夜にも


かるい調子でダイヤルをプッシュする


「おてがみとどきました」


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