みんなのいえ 対談編

(パソコンを手に持ち、フラフープをしながら監督が登場)
M 「なんか、あんまり、ほめてないじゃないですか」

(BJ、おろおろしながら)
BJ 「い、いや、そんなことはないですが」
M 「じーんとする場面がなかった、といいたいんですね」
BJ 「できれば、あったほうがよかったな、と。あの、ワイルダー監督がお好きならば、ジャック・レモンのかもし出す人生の悲哀みたいな、その、」
M 「そんなね、もう、ぜいたく言わないでくれます?」

(大工道具を手に、T中K衛登場)
TK 「ったく、やってらんねーよ、んなこと言われちゃあよお」
BJ 「いや、長一郎さんの頑固一徹な大工さんは、よかったです」
TK 「そうかそうか、わかりゃいーんだよ」

BJ 「監督、この映画の撮り方で面白いなと思ったのは、画面の外から、俳優さんの声が入ってくるんですよ。しゃべっている人物が映っていない。それからカメラが動いて、その人物を映したり、または人物がカメラの範囲に入ってくることもありましたか。ふつうだったら、しゃべる人物にカメラが切り替わりますよね。これは観ていて、へえーと思いました」
(監督、笑顔をほころばせて)
M 「え、気づいてくれた? そう、そうなんだよ。結局、短くカット割りしないで、長回しを多用したから、そういうふうにもなったわけであって」
BJ 「カメラを長く回すと、舞台の感覚に近くなるようにも思えますよね」

(乱暴な運転で、デザイナーのK沢T明登場。外人のガールフレンドといっしょに車を降りる。彼女は隅っこで吐いている)
KT 「なんで、家のドアが外開きなんだ! こいつの内開きだけは譲れないと言ったのに。結局、ぼくは妥協のしっぱなしなんだ!」
BJ 「まあまあ、いまはその話は…。新しいもの好きに見えて、じつは古き良きものも好きなんだ、っていうのは、いいですよね」
(K沢、一転、にこやかに)
KT 「そうかい? けっこう、いい役だったろ?」

(若夫婦、ほのぼのと歩いてくる)
BJ 「あっ! 八木さん! めざましテレビのときからファンです! サインしてください!」
(八木、うれしそうに)
八木 「まあ、ありがとうございます」
BJ 「今回で終わりにしないで、また映画に出てください」
八木 「えー、そんな。ニュース原稿読むのとは違いますから、大変だったんですよー」
(T中N樹、おずおずと)
TN 「あのう、ぼくのことは…?」

(終)

※この文章は、まったくのフィクションであり、たとえ実在する人物と名称が似通っていても、なんら関係はありません。

(01.6.17)

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