みんなのいえ

脚本と監督 三谷幸喜
出演 田中邦衛 唐沢寿明 田中直樹 八木亜希子 野際陽子 吉村実子 伊原剛志
2001年 フジテレビ・東宝作品
日本アカデミー賞…新人俳優(田中直樹、八木亜希子)・話題(田中直樹)賞受賞
評価 ☆☆☆★
全編通して笑える。とぼけた味のユーモアが監督の持ち味ではないかと思う。
そうした笑いが、細かいところまで、さりげなく(じつは仕組まれているのだが)配置されて、観客は間断なく笑わされる。
だが、欲を言えば、もう少し感動を生むシーンが欲しかったようにも思う。
映画館を出ると、あー、面白かったね、ですんでしまうのである。
家を建てるときのデザイナーと大工の考え方の対立がメインの話では、軽いコメディで終わるしかなかったのだろうか。

役名が性格を表している。
飯島直介(田中直樹)は、大工とデザイナーの間で板ばさみになっておろおろする実直な夫。
妻・民子(八木亜希子)は、たみちゃん、とつい呼びたくなる素朴であったかそうな奥さん。
柳沢英寿(唐沢寿明)は、最先端を行くかっこいいデザイナー。(唐沢さん自体、そんなふうに思わせる名前ですね)
岩田長一郎(田中邦衛)は、いかにも昔気質の大工。

デザイナーと大工の意見の相違というのは、三谷監督が実際に体験したことらしい。
ただ、直介は30代半ばで家を建てるのだ。小金持ちである、この優(やさ)男に対して、観ている私は、どこかで反発する。その年で家を建てるなんて、庶民には出来るか?

とはいえ、ココリコという2人組の漫才師?(私は見たことがない)の片割れである田中直樹さんの演技は、よかったと思う。気弱そうで、あたふたすることの多い役柄には、ばっちりはまっていた。
八木さんの存在も、いい。怒っているシーンでも、人柄のせいで、きつくならず、どこかほのぼのとしてしまう。オアシスである。
この2人の起用が新鮮さを生んだ。

ほんのちょい出演役も豊富。中井貴一、布施明、小日向文世、戸田恵子、清水ミチコ、山寺宏一、大塚範一、明石家さんま、真田○○(たぶん)、そして、名前を出さずに、あの「S○○P」のK.S.(ファンなら知っているでしょうから伏せなくてもいいのかな)も出ています。

さぞかし現場は楽しかったのだろうな、と思わせる雰囲気がある映画だ。

マリリン・ファンとして、注目したい話がある。
三谷監督は、直介の母(野際陽子)の登場シーンを、「お熱いのがお好き」でマリリンが初登場するプラットホームのシーンのように撮ってほしいとカメラマンに注文をつけたのだそうだ。さすが、ビリー・ワイルダー好きの監督だけある!
しかし、私は映画を観たあとで、その話を知ったので、映画で野際さんがどう登場したのか覚えていないのであった。

そうそう、上映前に、三谷監督がフラフープをしている某通販のCMが流れて、映画の前から早くも笑かしてもらいました。(パソコンのCMはなかったよ)
とぼけた笑いの持ち味は、見習いたいな。(?)

ネタばれではありませんが、もっと読みたいかたは、対談編へどうぞ。

                  〔2001年6月10日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕
みんなのいえ 対談編 へ行く
トップページへ
映画感想/書くのは私だ に戻る