ジョディ・フォスターの不屈の精神、母の愛を堪能しましょう。
ほとんど、それがメインだから。
旅客機の中、母親ジョディが眠っているうちに、娘が消えてしまう。
いったい、これは犯罪なのか、母親の妄想なのか、というサスペンスが基本になる。
これは、なかなか、うまくいっている。どっちなんだろうと、観客の興味を引っ張る。…けどねえ…。
これは、そこにジョディ・フォスターがいてこそ、の作品。
昔の汽車なら、彼女が1両目の蒸気機関車。ひとりで他の客車を引っ張る、引っ張る。
初めの脚本では、主役は母親ではなく父親になる予定だったという。だとしたら、いかにもタフガイのブルース・ウィリスあたりが候補か?
とにかく、自分の意思を貫く。ワガママだ、自分勝手だと、もしも思われようが、愛する娘のためならば、そんなことはどうでもいい。
だいいち、他人がどう思おうと、かまっていられないでしょ。
正しいと思うことでも、味方がいなければ、自分が頑張るしかない。
ただ、多少、それがアメリカという国とオーバーラップして見えないこともなかった。
自分が思うとおりに、突っ走る。
そこには危険もある。
それが本当に正しいのかどうか、という前提が問題なのだ。
まあ、それは余談。映画では、単純な考え方をしていると思われるので。
ちょっと問題なのは、脚本が粗いこと。
根本的に無理があると思える。
たかが映画、細かいことにこだわるな、というかもしれないが、こういう現実的、論理的といえるようなストーリーの根幹に関わる設定は、ちゃんとしておかなきゃいけないんじゃないか?
疑問点が生じるのは、やはり、いただけないと思わざるをえない。そこは、どうしても減点対象になる。
ヒロインのジョディの態度に共感できない(ネタばれになるので詳しくは書かない)、という人は多いと思うが、あんな状況で、そうそう優しく振る舞えるものか、ってこと。精神的にも肉体的にもクタクタに疲れているのに。
ささくれ立った態度をしていても、それは、かえって人間的じゃないだろうか。
そのへん(だけ)は、やけにリアルなのだった。
監督はドイツ人で、ハリウッド初進出なのかな、かっちりと手堅く仕上げている。監督は、脚本のことは、どうしようもないからね。上映時間が98分でコンパクトなのはいい。
(というか、それ以上の中身がなかったのか。アラブ人の説明とか、もう少しあればねえ。)
ピーター・サースガードが共演。いかにも怪しい目つきの俳優なので、どう見ても怪しい。でも、それを逆手にとっても使える。重宝する役者でございます。
機長がショーン・ビーン。かっこいい役じゃないですか。けっこう合っていた。
それから、オープニングクレジットで、グレタ・スカッキの名前を見つけた。どの映画に出ていたかは、はっきり覚えていないが、スカッキという名前が印象にある女優さんだ。
でも、顔をよく覚えていなかったので、観ていて、どこに彼女が出てきたのか分からなかった。
帰ってきてからネットで調べたら、セラピストの女性の役だったよ。
老婆心ながら、いろんなブログやHPで、この映画の評を読む場合、多少にかかわらずネタばれしていることが多いので、内容を知りたくない方は、注意が必要だと思います。
脚本が粗い、と書いたことについては、下記のリンクから「ネタばれページ」へ飛んでください。
ネタばれしてもいいという方のみ。