ターン

監督 平山秀幸
出演 牧瀬里穂  中村勘太郎  倍賞美津子  北村一輝  柄本明
原作 北村薫
プチョン国際ファンタスティック映画祭…最優秀監督賞受賞
2000年 バンブーピクチャーズ、衛星劇場、テレビ東京、アスミック・エース エンタテインメント作品 100分
毎日映画コンクール…女優主演賞・撮影(藤沢順一)賞受賞
文化庁優秀映画賞受賞
評価☆☆☆★

原作は私のお気に入りである。
どんな映画になったのか、とにかく観てみたかった。
主演が牧瀬里穂さんと聞いたときは、なんとなく違うなあ、と思った。牧瀬さんというと、バタくさい顔というイメージだったからだ。私が原作を読んでいたときには、もっと小柄で、細くて、平凡な顔立ちの女性を勝手に考えていたのだ。

しかし、映画を観て、これはこれでよかった、と思った。
牧瀬さんは主人公の真希の、真っ直ぐな心を、ていねいに、ひとつずつ、表現してくれた。
好感度めちゃくちゃ大である。

真希が踏み込んでしまったのは、前に進まない、時間の狭間のようなものだ。彼女はそこから抜け出すすべを知らない。
そうした特殊な状況のなかで、人の生き方の違いが現れてくる。
真希の潔癖すぎるとも見える生き方は、ぴんと筋が通って、いさぎよい。

北村薫さんの小説の登場人物に特徴的な、清冽な心情を持った若い女性の主人公。
ラストシーンは、原作を読んだときと同じく、涙が流れるのをこらえることはできなかった。

静かな想いにあふれ、生きていくことの大切さを知らせてくれる、とても素晴らしい作品。

真希とは、「摯(しんし=まじめで、ひたむきなさま)に求める望」のことだ。

※ 別ページのネタばれ編は、ストーリーの状況設定など、チラシに書いてある内容を中心に言及したものですが、それを知らないほうが、観るときの新鮮さは大きいと思いますので、ネタばれ扱いとしています。
〔2001年10月14日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋〕



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