ブーリン家の姉妹

THE OTHER BOLEYN GIRL
監督 ジャスティン・チャドウィック
出演 ナタリー・ポートマン  スカーレット・ヨハンソン  エリック・バナ  ジム・スタージェス  アナ・トレント  クリスティン・スコット・トーマス  デヴィッド・モリシー  マーク・ライランス  ベネディクト・カンバーバッチ  オリバー・コールマン  エディ・レッドメイン  ジュノー・テンプル
原作 フィリッパ・グレゴリー
脚本 ピーター・モーガン
撮影 キアラン・マクギガン
編集 ポール・ナイト  キャロル・リトルトン
音楽 ポール・カンテロン
衣装 サンディ・パウエル
2008年 イギリス・アメリカ作品 115分
評価☆☆☆


私の彼女ナタリー・ポートマンと、ほぼ同世代の人気若手女優スカーレット・ヨハンソンの共演というので、楽しみにしていた作品。

それが…。うーむ。
なんとな〜く話が進んでいって、終わったな〜。という気が。飽きはしなかったが、あまり満足もできなかった。
なんというか、豊かさがないのさ、映画に。脚本のせいなのか、監督のせいなのか。
ナタリーPは良かった。役柄としてドラマティックだから得をしている部分もあるが。彼女が見られればいいので、その点の不満はない。

物語は、早い話が、年頃の娘2人をもつ一家の親父とオジさんが、世継ぎができない王様ヘンリー8世が愛人を欲しがっているのを知って、娘を差し出すことで、王家の親戚関係になり立身出世をしようと願ったわけだ。
可哀想なのは娘でござい、と思ったら、姉のアン(ナタリーP)は、やる気満々。そういう性格なんだね。
ところがアンがちょっとした失敗をして、王様が気にいったのは人妻である妹メアリー(スカちゃん)のほうだった。そこから姉妹の確執が始まるのであった。(といっても、姉が一方的に妹を憎むのだが。)

妹が王様の子、しかも男の子を産んだというのに、姉の誘惑にコロリと参ってしまう王様も軽すぎて、うわっつらだけの描写で魅力なし。ただの浮気性のクソ男にしか映らない。(もっとも、この王、王妃や側近を次々にポイ捨てしたり処刑したりしていた男らしい。)
姉妹の引き立て役とはいえ、もっと内面を描写したほうがよかったのではないか。
妹が出産した直後に王様が彼女を捨てるなどと、ドラマティックすぎて、かえってウソっぽい。陳腐なテレビドラマじゃないんだからさあ。

妹のスカ子は単なる、いい子。ナタPは野望に燃える子、でしたね。
弟役で、ジム・スタージェスが出ていたのは嬉しかった。3回観た「アクロス・ザ・ユニバース」でおなじみの俳優だったから。

ある新聞で、本作をけなした批評があったと、ブロガーのMさんの記事で知っていたのだが、…分からないでもない。そう感じる人もいるはず。
良かったのは、ナタP、母親役のクリスティン・スコット・トーマス、元王妃キャサリン役のアナ・トレント(「ミツバチのささやき」〔1973年〕の子役ですよ!)
くらいで、あとは、どうってことないから。(私がそう思うだけの話ですよ。もちろん。)

どうもジャスティン・チャドウィックという監督の名前、聞いたことないので何者かと調べてみたら、40歳くらいの人で、俳優であり、テレビドラマを監督してきて、劇場用映画は初めてのようだ。やっぱり?

最近、けなす批評が多くて、私が冷たい人間に見られていそうで困った。でも、正直なことを書いているだけなので、しかたがない。
それに、けなすといっても、星3つなら「普通」の評価なんだから、悪いわけではなく、ただ、自分としては期待以下だった、ということ。当然のことだが、決して私の評などに惑わされないでください。

「1000日のアン」(1969年)という映画があって、私は民放テレビで、ぶつ切りにカットされたものを見ただけで、しかも、ほとんど覚えていないのだが、ジュヌビエーブ・ビュジョルドがアンを演じていて、アン・ブーリンという人は知っていた。
もしアン・ブーリンに興味を持たれたら、「1000日のアン」を見てみるのも、おもしろいと思う。ヘンリー8世はリチャード・バートンが演じる。

…しかし、この当時の父親って、我が子が首を切られるのを見に行くものなのか。もしかして助かると思ったりしてるのだろうかねえ。




〔2008年10月26日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋〕


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