愛を読むひと

THE READER
監督 スティーヴン・ダルドリー
出演 ケイト・ウィンスレット  デヴィッド・クロス  レイフ・ファインズ  レナ・オリン  ブルーノ・ガンツ  アレクサンドラ・マリア・ララ
原作 ベルンハルト・シュリンク
脚本 デヴィッド・ヘア
撮影 クリス・メンゲス  ロジャー・ディーキンス
編集 クレア・シンプソン
音楽 ニコ・ムーリー
2008年 アメリカ・ドイツ作品 124分
アカデミー賞…主演女優賞(女優賞は以下すべてケイト・ウィンスレット)
ゴールデングローブ賞…助演女優賞
英国アカデミー賞…主演女優賞
ブロードキャスト映画批評家協会賞…助演女優賞
シカゴ映画批評家協会賞…助演女優賞
ラスベガス映画批評家協会賞…女優、新人賞
ロンドン批評家協会賞…女優賞(対象作品は「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」も)
サンディエゴ映画批評家協会賞…女優賞
映画俳優組合賞…助演女優賞
ソフィア国際映画祭…観客賞
バンクーバー映画批評家賞…女優賞((対象作品は「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」も)
評価☆☆☆☆


観たあとに、いろいろと考えさせられる余地を残した映画だったと思う。
観てから1週間が過ぎた今も、あれは、なぜ? あれは、どうしてだろう? と考えることがある。
そして、それは、それでいいのだと思う。はっきりした答えが出なくても。

そもそも人生って、はっきり決めて進んでいったことばかりじゃない。迷っているうちに、そうなったり、いつのまにか、そうなっていたり、偶然そうなったりしていることのほうが多いかもしれない。
詳しいことは書きません。映画を見れば分かることだし。(それじゃ、レビューじゃない?)

この映画は、ふたりの人間が、さまざまな場面で、どう事態に対処していったのかを見て、観客である自分が、ふたりの人生を考えるのが面白いし、そういうふうにすべきもののような気がする。

監督が、私が好きな映画「めぐりあう時間たち」のスティーヴン・ダルドリーで、脚本もそのときのコンビだったデヴィッド・ヘア。
繊細で文学的な香りが共通する。

不思議に思ったのは、ずいぶん前に起きたことでも裁判になるんだなあということ。
「ずいぶん」でもないのかもしれないが。時効より前だったのか。そもそも時効はないのか。

まるっきり内容に触れないのもなんなので、あらすじを。
1958年のドイツ。病気で具合が悪いところをハンナ(ケイト・ウィンスレット)に助けられたマイケル(デヴィッド・クロス)。ふたりは肉体関係をもつように。15歳のマイケルは21歳年上の彼女に夢中になる。マイケルはハンナのリクエストで、いつも彼女に本を読んで聞かせていた。
…8年後、マイケルは思いもかけない場所でハンナを見かける…。

ケイト・ウィンスレットの演技は、役柄から考えると、なんの不足もない、すばらしいものだったのではないか。アカデミー賞がとれてよかったね!
たまには、普通に明るい女性の役とか、コメディーなどの彼女を、見てみたい。そんな映画が今まであったかどうかも思い出さないのだが…。

そうそう、D・H・ロレンスの「チャタレイ夫人の恋人」をハンナがワイセツだ、というところ、私はロレンス文学をやっていたせいもあって、彼女の反応は興味深かったです。




〔2009年7月4日(土) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕


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