観たあとに、
いろいろと考えさせられる余地を残した映画だったと思う。
観てから1週間が過ぎた今も、あれは、なぜ? あれは、どうしてだろう? と考えることがある。
そして、それは、それでいいのだと思う。はっきりした答えが出なくても。
そもそも人生って、はっきり決めて進んでいったことばかりじゃない。迷っているうちに、そうなったり、いつのまにか、そうなっていたり、偶然そうなったりしていることのほうが多いかもしれない。
詳しいことは書きません。映画を見れば分かることだし。(それじゃ、レビューじゃない?)
この映画は、ふたりの人間が、さまざまな場面で、どう事態に対処していったのかを見て、
観客である自分が、ふたりの人生を考えるのが面白いし、そういうふうにすべきもののような気がする。
監督が、私が好きな映画
「めぐりあう時間たち」のスティーヴン・ダルドリーで、脚本もそのときのコンビだったデヴィッド・ヘア。
繊細で文学的な香りが共通する。
不思議に思ったのは、ずいぶん前に起きたことでも裁判になるんだなあということ。
「ずいぶん」でもないのかもしれないが。時効より前だったのか。そもそも時効はないのか。
まるっきり内容に触れないのもなんなので、あらすじを。
1958年のドイツ。病気で具合が悪いところをハンナ(ケイト・ウィンスレット)に助けられたマイケル(デヴィッド・クロス)。ふたりは肉体関係をもつように。15歳のマイケルは21歳年上の彼女に夢中になる。マイケルはハンナのリクエストで、いつも彼女に本を読んで聞かせていた。
…8年後、マイケルは思いもかけない場所でハンナを見かける…。
ケイト・ウィンスレットの演技は、役柄から考えると、なんの不足もない、すばらしいものだったのではないか。アカデミー賞がとれてよかったね!
たまには、普通に明るい女性の役とか、コメディーなどの彼女を、見てみたい。そんな映画が今まであったかどうかも思い出さないのだが…。
そうそう、D・H・ロレンスの「チャタレイ夫人の恋人」をハンナがワイセツだ、というところ、私はロレンス文学をやっていたせいもあって、彼女の反応は興味深かったです。