豪華女優陣が競演するミュージカル。顔ぶれは豪華だが。
フェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」(1963年)をもとにしてミュージカル化した作品。
先に「競演」と書いたが、「共演」ではないのだ。演技合戦は、ほぼ、していない。
各自、個別に1曲歌う出番がある、という感覚。マリオン・コティヤールだけ2曲あったけれど。
公開2日目だというのに、私が行った映画館では観客が10名を切っていた。いや、田舎だからかもしれんが。観に来ない人の判断が正解なのかも? 少なくとも出演者のファンでなければ。
そもそも「8 1/2」は、私には、おもしろくもなかった映画で、スランプの映画監督の幻想みたいな、つかみどころがない話。
そんなダメダメな監督(男)の周囲の女たちが、ミュージカルになって、歌って、うち数人は踊る、というファンタジーになった。
女優の歌のミュージッククリップを、ダメ監督を「つなぎ役」にして、集めて見せているだけの映画である。
それが悪いとは言わない。彼女たちの歌を楽しめばいいのだから。
しかし、映画としては、どうなのか。ストーリーは、あってないようなもの。あってないようなものなので、次の段落にラストを書くが…
スランプ監督が、数年たってから、もういっぺんやってみなさいよ、と言われただけで、じゃあ、やるか、と映画を作り出す。葛藤も何もないもので、できるんなら最初からやれよ、といいたくなる。
だから、
ストーリーなんて、どうでもいいのだ。やっぱり女優の歌を聴いて観る映画なのだった。
となると、私がいちばん好きなのは、どうしても、ニコール・キッドマン。歌う場面では、
大好きな「ムーラン・ルージュ」のサティーンを思い出した。「ムーラン・ルージュ」のなかでも見られたムードなのだ。
私はニコールの歌声が好きなんだなあと再確認。彼女の出番は多くなくて、収録も1日や2日で済むかもしれないくらい?
次に好きだったのは、ファーギーの歌のシーン。
砂とタンバリンを使い、振り付けとしては、いちばん見ごたえがあったと思う。エンディングでも曲が流れた。
次は
ぺネロぺ・クルスの色っぽすぎる振り付け。これには楽しませてもらいました。
その次は、マリオン・コティヤール。2曲目の、客が大勢いる前で歌うところは、彼女がかつて演じた、エディット・ピアフ風にも感じた。
ケイト・ハドソンの歌は映画オリジナルで、予告編にも使われているし、エンディングにも再度流れるしで、メロディーが耳には残る。
ジュディ・デンチの歌は、うまいです。初めて聴いたけど。ダニエル・デイ=ルイスとのシーンは、ジェームズ・ボンドに言い聞かせている上司Mのようでした。(笑)
ソフィア・ローレンは、カラオケで歌う素人さん的な? 彼女は監督の母親役でした。