フランソワーズ・オゾン監督の新作は見逃したくない。
なんだか好きなんだよね、オゾン監督の映画は。
最近は「女性映画の〜」なんていう冠がついて語られて、たしかに、そういう映画は多いとは思うけど、それだけでもないはず。
彼の昔の映画は見ていないものがあるので、なんとも断定はできないが、いろんなタイプの映画を作ろうとしている人のように思う。
今度は、赤ちゃんに羽が生えて…という話。
まず、現実にはありえないから、普通ならファンタジーといえるのだが、オゾン監督は
現実的に物語を進めていく。
以下、ネタばれ気味に。
幼い娘をもつシングルマザーが、男と出会って一緒に暮らすようになり、子どもができる。
母親は羽が生えた赤ちゃんでも当然のごとく愛する。母性愛ですよね。
この羽の生え始め、羽毛が出る前の見かけが、
鶏の手羽そっくりすぎるんですけど。(笑)
羽が生える前に背中が赤くなったとき、母親は男の暴力を疑う。
やっぱりオゾン監督、容赦ないです、女性については、とくに生々しく迫るような感覚。
演じるアレクサンドラ・ラミーという女優さんも、疲れ気味な表情などネガティブな方向も含めて、ずいぶんリアルな女性像を見せてくれていると思う。
ついでに書けば、彼氏役のセルジ・ロペスといえば、あの
「パンズ・ラビリンス」の、おっそろしい男じゃないですか! もちろん本作では、怖くないですが。
最後まで観て、あらためて考えると、
子どもは天使だ(翼が生えてるから、文字通り!)、
母親であること(母性愛)。
なんてことを語っているのではないか。
日本では「子はかすがい」という言葉があるが、そんな感じも?
ラストの彼女の姿を見れば、メッセージのひとつは確実に感じ取れると思う。
90分の小品で、不思議なファンタジー風味にも見せながら、
人が「生きること」を描くあたりが、やっぱり好きだ。