わたしを離さないで

NEVER LET ME GO
監督 マーク・ロマネク
出演 キャリー・マリガン  アンドリュー・ガーフィールド  キーラ・ナイトレイ  イゾベル・ミークル=スモール  チャーリー・ロウ  エラ・パーネル  シャーロット・ランプリング  サリー・ホーキンス
原作 カズオ・イシグロ
脚本 アレックス・ガーランド
撮影 アダム・キンメル
編集 バーニー・ピリング
音楽 レイチェル・ポートマン
2010年 アメリカ・イギリス作品 105分
好き度☆☆☆☆


SF的設定でありながら、文学的な作品。
人間の命の尊さを静かに訴える。

原作者がカズオ・イシグロという、日本人としては耳になじむ名前であることもあり、また、この原作本のことも噂で聞いていて、ずいぶん前から頭のなかにはあった。
機会があれば読もうかとも思いながら、そのまま今まで来て、映画が先になったわけだ。

文学、というイメージがあったので、現状とは違う設定をもってきているのが予想外だった。
しかし、その設定があればこその話で、「もしも、こんな社会だったら?」「もしも、こうした人たちがいたら、彼らの心の中は?」ということから、私たちの感情に鋭く切り込んでくる。

こんな仕組みは、もしかしたら可能になるのかもしれず、それだけに恐ろしい。

キャリー・マリガンの幼い頃を演じたイゾベル・ミークル=スモールという少女が、すごく、かわいい!
しかも、けっこうキャリーと似ているので、違和感もなし。こんな似た感じの子を、うまく探したものだ。
ベッドに座り、男の子にもらったカセットテープの曲(この曲の歌詞が映画のタイトルだ)を聴く場面は、記憶に残る。
主演トリオの幼い頃の話が最初の数十分で終わるのが、ちょっと、もったいなかった。女優さんが、かわいいだけに!

成長してからを演じるキャリー・マリガンも素晴らしい。
俳優は、演技上で何かしてやろうとか、大層なことを考えないほうが、いい印象になることは多いと思う。
といってもキャリーが何も考えていないということではない。その作品に合った、やり方をしているのが、いいのだ。

「サイダーハウス・ルール」が印象にある、私の好きな作曲家レイチェル・ポートマンの音楽も、あいかわらず素敵だ。

映画紹介や、ほかのブログなどでは、舞台設定のことは書いてあるかもしれないが、私は映画のインパクトを大事にしたいので、そこはネタばれしない。
となると、もう書くべきことはないかもしれない。

まっさらな気持ちで見て、感じたほうがいい。

人間の命について考えさせられる、切ない秀作。




〔2011年4月23日(土) TOHOシネマズ シャンテ〕


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