ブラック・スワン

BLACK SWAN
監督 ダーレン・アロノフスキー
出演 ナタリー・ポートマン  ミラ・クニス  バーバラ・ハーシー  ウィノナ・ライダー  ヴァンサン・カッセル
原作 アンドレス・ハインツ
脚本 マーク・へイマン  アンドレス・ハインツ  ジョン・マクラフリン
撮影 マシュー・リバティーク
音楽 クリント・マンセル
編集 アンドリュー・ワイズブラム
2010年 アメリカ作品 108分
好き度☆☆☆☆


これは、すごいものを観た

エンドロールを見ながら、そう思っていた。

本作の監督ダーレン・アロノフスキーの過去作「レクイエム・フォー・ドリーム」に通じる悪夢感が、見る者の心に迫る。

バレリーナが初めての主役を得るが、その大役のプレッシャーに潰される過程。
ひとりの人間の生き様、精神分裂・崩壊を、ミステリアスかつホラー的にも、にくらしいほど見事に描いた傑作だ。

ナタリー・ポートマン嬢の清楚なキャラクターが生きた。つまり、黒鳥を舞うには、色気が足りないよ、という役なのだ。
(ものは言いよう、みたいなもので、色気がない場合に「清楚だ」と言ってほめるようなこと…ではない! 私は、昔っからナタリー好きですよ。)
とにかくも、まさに、ハマり役なのだった。

精神不安定な演技も、監督の演出力とあいまって的確で、これで賞を取らなかったら、どうなのよ? っていうくらい。
とくにアカデミー賞が好みそうな種類の演技内容のような気もするし。…なんとなく。

自己分裂気味なところを、鏡を使ってあらわしたところも、うまい。
鏡には自分が映る。その像が本当に自分なのか…違うものが映っていないか…そういう使い方はよくあるものだけど、本作は、これ以上ないと思えるほどに、うまい。
幻覚か真実か。あやふやなまま、引っ張ってゆく。

ヴァンサン・カッセルがバレエの偉い人(なんていうんだか?)を演じるのに大丈夫かと思ったが、違和感はなかったし。
ウィノナ・ライダーの名前があって、あとから、あ! あの役だったのか! とわかった。(観ているときに気づけよ、って感じですか?)

本作、完璧主義もいいけど、ほどほどにしておかないと、つらい。という結論ですね!?

文句なしに見事だが、「好き度」で評価するならば、たとえば私の場合なら「ブラック・スワン」は「エンジェル ウォーズ」には勝てない。
ロードショー中に5回観た「エンジェル ウォーズ」と違って、「ブラック・スワン」は何回も観たい、というものではないからだ。

しかし、ナタリー・ポートマン嬢には、素直に敬服する
彼女の主観を含め、ほとんどの場面に彼女が出ずっぱり、だったのではないだろうか。(正確には覚えていないけど。)
確実に、彼女の代表作の1本になる。




〔2011年5月22日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋〕


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