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ホバークラフトに乗って、ネオとトリニティは機械の都市、マシンシティに向かう。
2人は、目的地にたどりつく直前、センティネルの大群に遭遇する。
ネオの能力でセンティネルを防ごうとするが、その数が多すぎて船は危険にさらされる。
センティネルを避けて、ホバークラフトは上へ上へと上昇する。
そこでトリニティは青い空を見る。美しいシーンだ。

ネオは戦いで目をやられていて、見ることができない。見たのはトリニティひとりだ。
人間たちが空を覆ってしまって以来、簡単には見ることができなかったであろう青空を見た感動。
だが、次の瞬間、落下してホバークラフトは建物を避けきれずに激突、トリニティは死んでしまう。
うそだろう、トリニティが死ぬなんて!
信じられなかった。
死ぬ前に一瞬見ることができた青空…。
神の、せめてもの、ご褒美なのか。印象的なエピソードだが、悲しい。
だが、2作目の「リローデッド」で一度復活した彼女が、なぜここで死ななければならないのか
考えた。
機械の本拠地に、どうあっても人間が入ることはプログラム上、許されなかったのか。
それとも、ネオとスミスの最終決戦を行なわせるためには、トリニティが邪魔だったから、敵の親玉がトリニティが死ぬように仕向けたのか。

ネオは「リローデッド」で、ザイオンを救うかトリニティを救うかの二者択一を迫られたとき、トリニティを選んだ。そのように、ただ一人への愛に生きる限り、キリストのごとく我が身を捨ててすべての民を救う救世主にはなり得ない。だからトリニティは消えなければならなかったのか。
トリニティがいたら、ネオは命を捨ててスミスと戦う決意をしなかったかもしれない。

ネオとスミスは、ひとつの人格の陰と陽、プラスとマイナスだ。映画のなかでも、そのような説明があった。
ということは、ネオが生きている限り、スミスは死なない
1作目「マトリックス」で、ネオがスミスを破壊したかのように思えたのに、スミスが生きていたことは、それで説明できる。
トリニティのために、自分も生きようと思ったら、スミスは倒せない。
トリニティを失って、自分も死ぬ覚悟のできたネオは、スミスに吸収されたうえで自爆する。
ネオと戦う前に、オラクルがスミスに吸収されたが、彼女は、わざとそうしたのだろう。最後に、スミスの内部からネオに力を貸した。そしてスミスが消えたあとには、オラクルが残って倒れていたのだ。

機械軍のザイオン侵略を止めることを条件に、ネオは自らを犠牲にしてスミスを倒し、スミスによって侵食される危機から機械の世界を救った。
機械軍はザイオンから撤退した。
それが一時的な平和であっても、とにかく、そうやって平和への道を進めていく。そのための一歩をネオは実現した。
「戦争は終わった!」何度も何度も連呼する若者。それは、戦争の火種が尽きない21世紀の現実の世界に対する、監督の願いに聞こえないだろうか。
モーフィアスは言う。待ち望んでいた日が来た、と。
たぶん、彼は感じているのだ。人間が機械の栄養源として栽培されている状況から解放されるだろうことを。そうでなければ、その言葉の意味がない。また、希望がないだろう。

最後に、神である存在の創造主アーキテクトは言う。
マトリックスを出たいと思う人間は、出ていかせる、と。
彼は、今回の救世主ネオの行動に少なからず心を動かされたに違いない。そして、私たちは、そのネオを支えたのがトリニティの愛であることを忘れてはならない。
人間は解放される。
人間を栄養にしなくても、他のレベルで機械が存続する方法はある、とアーキテクトは「リローデッド」で語っていたのだから。

神は何度も人間を試した。そのたびに、救世主もその周りの人間も、神の意志に沿うことはできなかった。
そして、やっと、6番目のネオが救いの光の扉を開いた。
ネオは、ついに神が仕掛けた世界に革新的な影響を及ぼした。
その扉を大きく開いて、世界に愛と平和をもたらすのは、私たちの仕事なのだ。

個人的なレベルで言えば、自分のなかの善の心(映画ではネオ)をもって、自分のなかの悪の心(映画ではスミス)に打ち勝つ。
そして、何よりも大切なのは、愛だ。ネオとトリニティの間にあった、奇跡をも起こすような強い愛を信じること。
人がみんな、愛と善の心をもって生きる。そうすれば、一触即発の微妙なバランスに立つ世界(映画では人間と機械の対立、支配関係)を平和に導くことができる。
その平和を保つのも、壊すのも、人間の努力次第。
預言者オラクルが言ったように、またネオに会うことがあるかもしれないならば、それは救世主が必要な事態ということではないか。そうならないように私たちが努力しなければならない。

あまりにも普通の結論だが、いまは、そう考えている。

(これは私自身の個人的な考えです。この件で、なにかを語りたいかたは、掲示板では「ネタばれ注意」と断ったうえでの書き込みはOKです。)


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