Q指物(さしもの)工房矢澤という工房名をつけていますが、指物と言う言葉は、一般にはあまりなじみがありません。指物って何ですか? |
A.よく、「ゆびもの」とか、「しぶつ」とか、読み間違えますが簡単に言うと、板と板をしっかり組み合わせて丈夫な家具を作る仕事のことです。指物、の指しとは物差し、と言う意味です。物差しで測りながら作る仕事、ということです。
「恋人つなぎ」というのをご存じですか?恋人同士がデイトするときに、指と指を絡ませて手をつなぐ方法ですね。恋人同志がしっかり繋がっていたいという気持ちの表れです。指物も同じで、板と板をしっかりつなぎたいということから生まれました。この恋人つなぎと指物技術は共通性があるんですね。 |
Q.漆仕上げを特徴としているということですが、白いワッカがテーブルに出来たりすることがありますか? |
A. 戦後物資が不足していた頃作られた家具には、外国からは行って来た「シェラック」という耐熱性のない塗料が使われました。この塗料が塗られた上に湯飲みを置くと白い輪ができます。漆はというと、例えば漆塗りのお椀などは熱湯に強いように、熱いものを直接乗せても白い輪が出来る心配は全くありません。
|
Q.では漆塗りの家具はずーっと丈夫で、お手入れの必要がないのですか? |
A.椅子や箪笥や飾り棚などは埃がたまったら乾拭きする程度でいいですね。頑固な汚れの時は水拭きをして下さってもかまいません。メンテナンスが必要な場合というと、窓際に置かれた家具、例えばダイニングテーブルなどでしょうか。漆は熱や薬品には非常に強いのですが、唯一の弱点として、人の肌と同じで紫外線に弱いのです。直射日光に長期間当たると表面が劣化します。その上、食前、食後毎日水拭きされると漆が次第に摩耗していきます。漆が完全に摩耗してしまった場合には、工房で拭き漆をやり直すと新品に戻りますが、そうなる前に、少し艶が無くなったなと思ったら、ご自宅で矢澤特製のオイルを塗っていただけますと、漆の塗膜が保護されて、窓際にあっても良い状態を長く保つことができると思います。
具体的なメンテナンスについては、「矢澤の家具の補修を承ります」をご覧下さい。 |
Q.家具の仕上げの特徴のひとつとして槍鉋仕上げがありますが、ヤリガンナって何ですか? |
A.槍鉋は正倉院に残っていますので、かなり古い道具です。現在使われている普通の鉋は600年くらい前に中国から伝わった物です。それ以前は鉋といえば槍鉋しかなかったのです。最近では宮大工さんも槍鉋を使い始めました。槍鉋は元々表面を平らにすることが目的ですが、いくら平らに削ろうとしてもある程度の凸凹ができます。その微妙な凸凹が面白い表情を醸し出すんですね。手で触ったときも微妙な削り跡が感じられます。
|
Q.では、平らな仕上げと槍鉋の凸凹削りとはどちらがいいのですか? |
A.これは好みの問題ですが、格調とか端正さを求めるなら平ら仕上げ、遊び心を楽しむなら凸凹削り、となるでしょうか・・・・ご自分の直感で選ばれたらよいと思います。 |
Q.矢澤の家具に「一生保証」って大変な保証をしていますがそれはどういうことですか? |
A.一生故障が起きない、と保証をしているのではありません。生きている木のことですから、故障が起きることも考えられますが、無垢材で作った物はどのようにも修理が出来ますので、私が元気な内は故障は無料で直しますとお約束しています。 |