Home > Classical Revival > Ruins of the Palace of the Emperor Diocletian at Splatro in Dalmatia

Adam, Robert
(1728-1792)
Ruins of the Palace of the Emperor Diocletian at Splatro in Dalmatia, London 1764
55 engraved plates, 400x570mm

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<ロバート・アダム/スプラトのディオクレティアヌス皇帝の宮殿遺構> 18世紀のヨーロッパでは、古代遺物の発見と収集そして研究が盛んに行われた時代です。エジプト、ギリシャ、ローマといった時代の遺跡が次々と発見され研究され、同時にジェームス・スチュアートとニコラス・レヴェットによる「アテネの古代遺跡」(Antiquities of Athens,1762)全5巻等、ローマやギリシャ建築について様々な出版物がイギリスを中心に刊行されました。また、有名なピラネージによる幻想的で、力強いローマ建築の版画集もこの時代に生まれたものです。

そういった18世紀に出版された古代の遺構に関する書物は、どれも大判で、すばらしい銅版画による図版を多数収めています。

 ここで、とりあげる「アダム様式(ローマ様式をモチーフとした軽快なデザイン)」で知られるロバート・アダムによる「スプラトのディオクレティアヌス皇帝の宮殿遺構」もそういった時代の流れの中で生まれた書物です。
しかしながら、この本に収められた図版は、上記のスチュアートとレヴェットによる本などにみられる考古学研究的な色合いが弱く、収められた図版も、より魅力的です。

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実際にこれらの原画のほとんどを描いたのは、アダムではなく、フランス人画家クレリソ(Charles-Louis Clerisseau,1721-1820)でした。クレリソは、廃墟風景の画家として成功した人物ですが、アダムの指導者となり、アダムとともにこの本の刊行のため、スプラトの遺跡調査に赴きました。クレリソは、原画を描くのみならず、バルトロッチらの当代一流の彫版家たちによる彫版の監督をも行いました。

クレリソによって描かれたこれらの図版は、古典建築の正確な姿を伝えることよりも、ヴェドゥータ(イタリアを中心に流行した風景画、ピラネージの作品は典型的な例)として景観の美しさを表現することが、主題となっているように感じられます。

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