「風雨来記」紀行

川崎ゆう        

旅の始まり。

 それは一本のゲームソフト「風雨来記」から始まった。このプレイステーション用ソフトは(株)FOGから2001年1月に発売された。
 パッケージの帯に記された『北海道へ行こう』の文字。この言葉に魅かれソフトを手にした者は一人ではないはずだ。
 僕もかつて学生時代にバイクで北海道を旅した。
 けれど、それはもう何年も昔の話。
 サラリーマン生活に流され、今はもう旅する心を失った・・・そう思っていた。
 けれど、このゲームが失ったと思っていた僕の心の奥にあったくすぶりに再び火をつけた。
 かつて目にしたことのある風景が、そしてあの当時は知らなかった北海道の様々なスポットが、テレビ画面に次々と映し出されていった。
 サラリーマン生活の中、睡眠時間を削り夢中になってゲームを続け、そして1週間後の深夜、相馬轍として旅の終わりを迎えた。

 『旅は終わらない』
 エンディングで画面に映ったその言葉が、僕にある決意を促した。

 もう一度、北海道を旅してみよう。
 昔みたいにテントをバイクの荷台に積んで気の向くままに・・・、などという無茶はできないけれど限られた時間の中でもう一度旅をしてみようと。

●旅行計画

 旅へ出ると決めたものの、そこはそれ悲しきサラリーマン。
 金も時間も無限にあるわけじゃあない。
 色々と調整した結果、橘くんを巻き込みレンタカーパックを利用することにした。
 なぜ、彼を巻き込んだのかというと・・・ひとりでは『個人レンタカーパック』が使えないからだったりする(苦笑)
 飛行機で札幌に入り、そこでレンタカーを借りて北海道内をドライブ旅行して、飛行機で内地へ戻る。
 旅行日程は三泊四日だが個人パック旅行の悲しい事情で、三泊目は札幌でのホテル宿泊が確定していた。
 本当は風雨来記と同じ釧路(ゲームでは船だったが)からこの旅をスタートさせたかったが、予約の都合上どうしても札幌IN、
札幌OUTという形になってしまった。
 確定していることを悔やんでも仕方がない。限られた時間を有意義に過ごすために僕らは大きな目標を立てた。
 (それほど大げさな目標ではないけど・・・)

『とりあえず「風雨来記」な旅にしよう!』

 それは『「風雨来記」に出てきて印象に残っている場所に一日一ヶ所は行こう』ということ。
 FOGの掲示板をよく覗いていた人なら覚えているかもしれないが、ちょうどこの時期に摩周湖で満月を見ようと呼びかけをしていた人達がいました。
 スケジュール的に何とかできそうだったので、まずこれに参加しよう、と心に決めそこから他に回れそうな場所をピックアップしていきました。
 同行者、橘くんとも相談し最終的に『満月の摩周湖』『神の子池』『カムイワッカ』『和商市場』を確定ルートとしてあとはいつも通り、でたとこまかせの旅に・・・、
ということになりました。
 ま、もっともこの予定通りにいかなかったことは、後のレポートを見てもらえればわかるのですが・・・。

 とにかく二泊はキャンプと決めていたので、キャンプ道具一式をそろえ『風雨来記サントラCD』と『風雨来記オフィシャルコンプリーとワークス』をディパックに詰め込んで
僕達の旅はスタートしました。





旅行一日目