暖かな冬A




 約束の10分前に来たはずの僕を

 待ち合わせの場所にちょこんと座って

 キミは待っていた

 「いつから待っていたの」

 と問う僕に

 「内緒だよ」

 キミは白い息を吐く

 「食べる?」

 差し出したとっておきのたいやきを

 受け取るキミの掌の冷たさに

 とっさにキミを抱きしめてしまいそうになる

 「あったかいね」

 美味しそうにたいやきをほおばるキミに

 「ああ、あったかいな・・・」

 と、応える。

 「おまえって」


 と、あゆに聞こえない声で呟いた


     「暖かな冬B」
  


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