ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ<外伝>　アイアン・モンキー

少年黄飛鴻之　鉄馬騮　／　Iron　Monkey

ストーリー

清朝末期、浙江では悪徳役人から金品を奪い貧しい人々へ分け与える義賊・鉄馬騮が活躍していたが、その正体は誰も知らなかった。黄飛鴻を伴って浙江を訪れた黄麒英は、武術の名手であることから鉄馬騮の疑いをかけられた挙句、黄飛鴻を人質にとられ鉄馬騮の捕縛に協力させられることとなるが、役人の手先として街の人々から敵対視され食事にも事欠く始末。

そんな黄麒英に救いの手を差し伸べたのは、薬局・百草堂を経営する医者・楊天淳とその伴侶・小蘭だったが、実は彼らこそ鉄馬騮の正体であった。そんな折､少林寺を裏切った悪僧・衍空和尚が監督官として浙江に赴任。鉄馬騮の正体を知った黄麒英は、楊天淳と協力し衍空和尚の必殺技「金剛手」に立ち向かう！

四方山話

＜キャスト＞

ワンチャイ２では敵役だった甄子丹が本作では黄飛鴻の父・黄麒英に扮し、題名にもなっている鉄馬騮に扮する于榮光、そして李連杰に面影が似ている曾思敏、そしてワンチャイ４・５でメイをつとめた王静瑩の４人がほとんど同格の主役という感じ。

公開時の新聞広告では、于榮光・曾思敏・徐克・袁和平の顔写真がフィーチャーされながら甄子丹は名前だけ、というものもあるくらいで、甄子丹の代表作のひとつであることは間違いないが、甄子丹＝主役！という映画ではない。于榮光、王静瑩にとっても代表作か。

脇役も多彩で、強欲・好色だが憎めない役人に黄霑、その部下に武術指導も担当している袁信義。悪役はワンチャイ１でおなじみの任世官、演じる衍空和尚は爆強で、ほとんど怪獣映画のノリ。

＜鉄馬騮＞

案外知られていないようだが、この映画も実は徐克お得意のリメイクと言えないこともない。
　もともと香港電影の世界では黄飛鴻と鉄馬騮は関係が深い。鉄馬騮は清朝末期に実在した義賊だが、広く知られるようになったのは朱愚斉の小説「鉄馬騮別傳」による。
　朱愚斉といえば關�ｺ興版黄飛鴻電影の原著である「黄飛鴻傳」の著者にして脚本家であるが、この「鉄馬騮別傳」をもとに、關�ｺ興版黄飛鴻電影の監督・胡鵬が作ったのが「鉄馬騮別傳」およびその続編である「鉄馬騮別傳續集」。主演は關�ｺ興版黄飛鴻電影で梁寛を演じていた曹達華、さらに石堅まで出演しているのだから、黄飛鴻電影の兄弟のようなものである。徐克が黄飛鴻の次の題材として鉄馬騮を選んだのも当然か。

＜鉄馬騮２＞

甄子丹は後に「街頭殺手」('96)で鉄馬騮を演じている。この映画の英語題は「Iron Monkey ２」というが､義賊・鉄馬騮を扱った話ではあるが、内容的には本作とまったく無関係。