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このページは、文章系個人サイト『ニーモニック・スピンSR』の旧記事アーカイブの一部です。もしよかったら、以下の本体サイトもご覧いただけると嬉しいです。






10.02.2000 (Mon):『千回コメッツ』

■腕時計についてる竜頭をクキっと一段引き出し、日付表示の「31」を飛ばして「1」に進める、そんな操作を久々にしている人にズームイン! 誰かな誰かな〜? そうです正解、spinnですよ。クキっとすすめたまた翌日、10月2日の更新です。

■ところで今の操作って、1ヶ月が30日とか28日しかない小の月終了後にやる恒例操作な訳だけど、2ヶ月に1度なんて頻度だと、竜頭をどっちに回すんだっけ?等ともすれば操作方法を忘れがち。特に今回は、夏の2ヶ月を挟んだ3ヶ月ぶりだしね。

■ここで再確認したことは、世界のあらゆる操作には、それぞれ「どれくらいの頻度で行うか?」って要素があるってことと、それによって必要になる操作説明とか・かかっていい手間の量が変わるんだろうなってことの2点でした。年賀状のプリントゴッコは年に1回使うものだから→丁寧めの説明が必要で、だけどその1回には大量のプリントを行うから→操作自体は高速シンプルで、とかね〜。

■さて、週1回頻度になりつつある今回の更新操作は、*solutionsのユーティリティ・#01、『渋谷レコードショップガイド』の内容をアップデートした次第。DMRがミックスCDを扱うようになった件を追加したり、最近よく行ってるマンハッタンレコード3の内容をちょっと変えたりしました。

■‥‥‥しかし、それにしても今日買った独・COMPOSTレーベルの人気コンピ・『FUTURE SOUNDS OF JAZZ vol.7』、もう最高ツボだわ。spinnにダマされなさい、クラスの強力おすすめ度ですよ。とくにThe Amalgamation of Soundzの未発表曲・「Phuture Soundz」なんて、Mr.フィンガーズ「Can you feel it?」みたいなセクシーかつ艶やかに光るシンセベースがリズムに絡んで、もー辛抱たまらない一品。生音からめた格好良いハウスとかが好きなら、渋谷HMVとかでぜひぜひ試聴してみて吉だし、上でリンクしてるcompostの紹介ページに行けば、何曲かmp3で聴けます。ハウスじゃないのもあるでよ。

■そんな日々の中、8月18日以来まわり続けていたここ*days flowのカウンターが、おかげさまで1000オーバーです。24アクセス/日くらいのペースになるのかな。ほんとに有り難いです。これからも期待に沿えるよう更に精進していくので、みんなよろしくお願いしますね。それと例の*ridersの登録もよろしくー。それでは、またね。


10.09.2000 (Mon):『ゼロサム社会』

■こんにちは、spinnは窓からの秋の空気に包まれながらアンニュイ、またはメランコリック。例の冬の男ことオリオン座(妬まれてサソリに刺され死亡)も、会社を出る夜中0時頃には東の空に上がるようになってきました。このあたりの事情は北半球共通だと思うので、日本のみならずロンドンやロサンゼルスやニューヨークにお住まいの*ridersも東の空見上げてみては、いかがなものか?‥‥‥という気持ち。

■一方地上での僕の日曜は、渋谷で行われているモーショングラフィックス展2000という、直球タイトルの展覧会を見に行ったりしました。モーショングラフィック+カラオケとかってお題だったので、音楽とシンクロした映像を好むオレとしても楽しみにしてたんだけど、展覧会の内容がちょっと割と比較的かなり今一つだったのが残念だった〜。「曲にあわせて」とか言って、10秒くらいでおわっちゃうのは、いかがなものか?‥‥‥という気持ち。

■そんな感じで実り少なげな夕方・ツルベ落としに暗くなる秋の夕方のこと、途中通り過ぎたロックロックしたライブハウス裏で、「缶・弦・電池」って分別のゴミ箱を見たのは良かった。これって、ギターの弦とエフェクターの電池、のことだよね。この状況にあわせたカスタマイズ具合に、「捨てたい」っていう気持ちにちゃんと応えてあげる気の利いたサービスを感じるよ。

■多分、缶と弦と電池って最終的には一緒に分別できないと思うんだけど、このゴミ箱を置いてる人は、誰かの「捨てたい」って気持ちを否定せず、ちゃんと受けとめる場所を用意してるってことだよね。選択肢は、システムの都合を提示するものじゃなくて、ユーザーの気持ちを受けとめる場所なんだ。考えてみれば当たり前のことなんだけど、目を覚まされる思いがしたし、素敵な選択ライフを演出するための必須項目が見つかったことは実りと言えます。秋の実り。梨が好き。

■そんな中、ここニモスピには特に変更もなく、*ridersのほうも落ちついちゃってて、やや寂しい感じ。野中桃さんの『tigerlily』が再起動してたし、僕ももうちょっと強めにバーニア噴かしていければと思いました。うう、がんばります。それではまたね。


10.15.2000 (Sun):『ナイト・ムーヴス』

■こんにちは。昨日・土曜といえば、ここ数カ月ほどグッタリ曜日の暗くなってからおでかけ曜日、というラジオネームspinnさんからのFAXでした。今週もまた何ごはんか判らないごはんをすませて渋谷へ行ったそうです。リクエストはアート・リンゼイのリミックス盤『ECOMIXES』。お聴きください。

■このCDは、CALMやChari Chari、竹村延和、Da Lata他による、アート・リンゼイのリミックス+ライブ音源というもの。各種の秋のうち「読書の秋」よりの、繊細でリラックスした感じが心地よいです。そいつをHMVで買ったあと、今日はいつものレコ屋巡りではなく、本屋めぐりを久々に。

■とはいえ既に時刻は20時をまわっていて、開いてる店も限られています。22時までやってる道玄坂のBook 1stから渋谷駅をこえ、22時まで開いてる青山通りのABCまで歩き、22時までのスターバックスで小休止入れて、こどもの城前から21時23分・東京駅行き最終バスに乗って六本木へ。23時閉店のあおい書店と、朝5時?までのABCをみて回る。すっかり夜モードの街の中で、頑ななまでに昼っぽく楽しんだぜ。探してた本も買えたしね。

■そして最後にデザート。まずは六本木から歩いて、夜の麻布十番の静けさ(スウェーデンセンターって建て替えてるの?)をじんわり味わう。目指すのは、先月できた地下鉄・南北線の麻布十番駅だ。

■いやーこういう新駅の、過剰なキレイさが大好きなんだよね。完璧に白い蛍光灯。キズひとつないアクリルのサイン。工事中の大江戸線に向かうコンコースが閉鎖されてたりとか、そんな未完成ぶりも愛らしい。しかも南北線から東急多摩川線→東急東横線までは、相互乗り入れが続く楽ちん回廊。六本木から自宅に帰る新しいルートを楽しんで、うん、ごちそうさまでした。

■さて、今日の更新は久々の*ridersであり、#46にミイマさんがエントリー。確かに今までギリギリ接点なかったかも、ですね。いつかお会いしたら、MESS/AGEの話でもしましょう。コーリッタリラーン。続いて#47には漢・RICK DOMのたぐさん。gonzapさん経由でウワサだけは聞いてたりしますよー。ウワサだけの世紀末。ヒロシゲが帰ってきたら、Rock.jpに見参したい所存。そして#48にはコミ・タクヘイさん。活動範囲を見るに、大阪-神戸方面の方ですね。芦屋は僕が生まれた場所でもあり、祖父の家があったから懐かしくもあり。

■みなさん、今後ともよろしくです。それではまたね。


10.22.2000 (Sun):『オートマッピング』

■こんにちは。相変わらず夜毎の散歩を続けているspinnです。昨日も午前3時から、ふらっと近所のセブンイレブンに行ったあと、家に帰りがてら小一時間ほどテクテクと。

■セブンイレブンから北上し、半年後には桜並木になる、小さな川沿いを3分ほど歩いたところで右折、静まり返った住宅街の中を東へとあるきます。初めて通る道を楽しんでいると、やがて行く手が明るくなってきました。「こんな所にも商店街があるのか〜なんだ、えらく巨大なサンクス(コンビニ)があるんだな‥‥」‥‥ってあれ?ここは知ってる道、最初のセブンイレブンの並びの道では!これは知ってるサンクスでは!

■どうも4角形「□」の左下の頂点から時計回りに歩いてたつもりが、実際は△のまわりを歩いていた模様。恐らく最初の「北上」が「北東上」だったとかそんなカラクリだと思うけど、そのカラクリはどうでも良くて。楽しかったのは、新発見だと思ったサンクスが見慣れたサンクスだとわかった途端=南北方向の道だと思っていたのが東西方向の道だとわかった途端、頭の中のマップがぐにゅーっと曲がっていく気持ちがしたんだ。0.3秒くらいの時間をかけて、頭の中でぐにゅーっとね。何かが曲がる感じがした。無意識のうちにオートマッピングされてた地図が、一気に修正されていく感覚。

■新しいと思ってたものが、見慣れたものへと変わる瞬間。激しく久しぶりの友達に偶然出会うとか、イントロの後しばらくして突然CMで聞き憶えたサビが流れるときとかもそうだよね。その時の、一瞬無重力になってから着地する感じって、非常にキャッチーで誰でも共有できる面白ジャンルだなとか思った。いいね。こいつはいただきだよ。

■さて、そんな日々の中での更新は、*utilitiesの#01・『渋谷レコードマップ』です。移転したムテキレコーズと、2店に増殖したシスコハウスについての更新。今後も真面目に更新していくから、レコード好きのお友達にも教えてあげてくださいね〜。

■ムテキ移転のおしらせは、総合音楽系サイト・『OOPS!』内にある掲示板で、ムテキ移転を知ったのがきっかけ。フリーの編集者である川崎和哉さん主宰のこのサイトは、非常に「好きでやってる度」の高い音楽野郎ページになっていて、応援しています。WWWの古い人向けにコメントすると、システム設計はあのアナテロのイチノセらしいですよ。

■昨晩の散歩では、買ったムースポッキーを食べながら歩いてたんだけど(←コドモ)、食べ終わるころには△の最初の頂点に戻ってきました。買ったポッキーのゴミを買ったセブンイレブンで捨てて、手ぶらで家に帰りましたとさ。それではまたね。


10.29.2000 (Sun):『私が欲しい?』

■こんにちは。明日は早起きなので速攻でまとめていきたいspinnですよ。友達のサークルの売り子として、同人誌即売イベントに朝6:00起きで行く仕組み。時間的には野球や釣りと似てるけど、めちゃめちゃインドアだ。えへん。

■で、そのサークルは前回、数千冊を1〜2時間で完売したっつーいわゆる「大手サークル」。僕もその場にいたんだけど、千のオーダーのプロダクトが一瞬で(しかも手渡しで)完売する様子は圧巻。「飛ぶように売れる」の解説図みたいだったよ。そして、ニーズって奴のむき出しの姿を見せられて、逆に自分がいかに日頃、「売れる」って事象と縁遠いのかを思い知らされたんだ。僕が仕事で関わってるものだって、何十万のオーダーで売れてる筈なのにね。毎日の開発作業がある種の引きこもり状態になってるのでは?とか、そんな感慨も大満喫。

■これが音楽だったら、ライブとかコンサートがあるわけだよね。そこでは、彼が作っている音楽そのもの・彼女がうたっている歌そのものを、オーディエンスが求めたり/求めなかったりする姿に触れることができる。これは想像でしかないけど、ミュージシャンってCDが売れていれば売れているほど、ライブで何かを確認したくなるんじゃないかなって思うんだ。

■だってCDの販売枚数だったら、例え売れなくても「B'Zと発売日一緒だったからねー」とかいって自分の失敗をごまかせそうだけど、ライブの反応はごまかせない。そして多分、握手会じゃダメなんだ。握手会だと音楽じゃなくて、有名人としてのミュージシャンに会いにこられちゃうもんね。例え嬉しくても、意味が違う。

■ここで、僭越ながら自分の仕事に無理矢理置き換えてみました。うーん、産業のシステムとしてライブがあり得ない=オーディエンスと離れた場所で何かが作れちゃう場合、ほんのちょっとのキッカケで、裸の王様になれちゃう気がするよ。こわ。こえー。泣きそうです。

■携帯電話とか自動車とか、他のマスプロダクトを作ってる人はどうしてるんだろう? もし何か知ってたら、掲示板*open storageにでも書き込んでください。よろしくです。

■さて、そんな日々を送りながらの更新は、*ridersの#49にtsukanoさんがエントリー。いやー久しぶり。こちらも僕の旧ページ・pickles spinnから見てくれてた方であり、感謝のキモチは汲めども尽きません。このニモスピも、ひとつ末永くよろしくね。

■何にせよ、自分が絶海の孤島にいるってことは覚悟しといた方が良いのかも知れないっすね母上様〜by一休。byはやめとけ一休chang。changもやめとけ。それじゃまた。


11.04.2000 (Sat):『メンタル・ローテーション』

■こんにちは。3連休の1日目、高校のときの仲間と新宿で中華のspinnですよ。健康法なんて言葉がちらつくくらいに伸び伸び笑い・涙し・意外な恋バナに驚愕したりの、超時空ステキ3時間を過ごすことができました。みんなも経験あると思うけど、気のおけない仲間トーク特有の、高速でつながっていく発言と発言、ガンガン展開していく感じが、うん、楽しかったー。

■これって僕らが日頃会社なんかで話すときにやる、「こんなこと言ったらみんなはどう思うかな?」etc.の事前配慮って名前の計算プロセスが、親密さによって滅茶苦茶にキャンセルされてるってことだよね。他人の発言→(配慮)→(発言してOKと判定)→発言って過程の中間が抜け、ダイレクトで接続することによって、通常の何倍ものシャア専用スピードでトークが展開していくんじゃないかなって先生は思いますが、どうか。

■そして突然だけど、学生のときにやった楽しい実験を思い出したのでつきあってください。2つのマークが同じかどうかを判定するっていう、ご家庭で誰でも気軽にできる簡単な仕事です。説明するよ。

■見せるマークはL  」 、漢字の「了」と・それを左右反転したものの2種類です。僕はここから2つを選んで並べて提示するので、みんなはその2個が同じものかどうかをすばやく判定してください。ただし僕はイジワルとして・左側を回転させて提示します。だからみんなも頭の中で左をぐるっと回して、僕のイジワルに対抗してください。
それでは、いくよ‥‥‥

   (a)「 」 これは?   (b)「 L これは?

■‥‥‥はいやめー。では答え合わせ。隣の人と答案用紙を交換してー。まず(a)、これは左右同じマークだよね。左を時計まわりに90度まわすと、左右とも同じ記号=反転した「了」タイプになります。続いて(b)はというと、これは左右で違う記号。左をぐるっと180度まわしても、同じマークになりません。

■これは、「心的回転(mental rotation)」っていう認知科学系の実験。何がオモロいかっていうと、こういう判定を500問とか1000問とかやって測った判定時間を平均すると、頭の中で90度回転させる(a)タイプより180度回転させる(b)タイプのほうが、誰がやっても笑うほどキレイに判定時間が2倍かかるんだよね。

■それってつまり、非常に短い間でも頭の中で「んんーーー」つって、律儀に等速でマークを回転させてる=回転を想像してるってことになる。おかしいよね。何よりも自由なはずのボクラの想像の翼にも、わりとベタな物理法則が影響してるこの事態。というより、僕たちの気持ちで行われる想像って、現実に見た動きを・現実に見たようにトレースしながら行われてる、ってことなんだろうな。きっと。

■で、想像の翼をさらに拡げていきたい人類と私とみんなと宇宙船地球号の乗組員と僕らなら、想像時にトレースする「動き」の種類をもっと多種多様に見ておきてーとか思いました。サッカーを観てると思いもよらないパスワークに驚かされることがあるけど、それって彼ら一流選手が僕が持ってないような動きのイメージを持ってるってことだし、逆に動きがイメージできれば、(少なくとも想像上では)華麗なパスワークが決められるんじゃないかなって思うんだよねー。

■てなところで、すげー長くなっちゃった今日はおしまい。それでは、またね。


11.11.2000 (Sat):『オールウェイズ・オン・マイ・マインド』

■こんにちは。前回「心的回転」話を書いて以降、*open storageにて認知関係の楽しい本を教えてもらってるspinnです。みんなサンキュー。日々の通勤電車で鬼読書、そんでちょっとだけ夢睡眠。僕も会社でソフトの企画/設計とかやるようになってるから、学生のときより突っ込んだ興味(またはゲスな下心)で読めちゃう。楽しいです。

■そんな訳で久々に本を読んでて気がついたんだけど、黙読で文字を追ってるとき、僕の頭の中で「声」がするんだ。‥‥‥って違うって違うって!電波とかそういうウンザリしちゃうヤツじゃなくて、「黙読」とかいいつつ確かに僕は気持ちの中で、一語一句読み上げてるんだよね。今こうやってテキストエディタで文章を打ってるときもそう、何やら頭で声がする。この文章を読んでるみんなもそうじゃない?黙読中に、頭の中に声が聴こえてないかな? どう? 少なくとも無音じゃなくない?なくなくなくなく、なくなくない?

■ノックノック!! WHO IS IT? 俺スチャアニin the place to beなんて具合に僕は気持ちを集中させ、その声(以降「脳内くん」と呼びます)に耳を澄ましてみた。誰だろう? 29年間付き合ってきた僕の声?ためしに自分で声を出してみる。違う。僕の声じゃない。僕の知ってる、誰の声でもない気がする。

■そんなことをしばらくやって気がついたのは、どこまで聴いても、この「脳内くん」にはキャラクターを特定するような特徴が全然ない、プレーンな声だってこと。例えて言うなら「声のワイヤーフレーム(骨組み)」っつーか、すべての修飾要素をとりはらった100%純粋な言葉として、聴こえてる気がするんだ。こっからは完璧に僕の個人的予想になるんだけど、人間の頭の中では、言葉の意味を表すワイヤーフレームの部分と、それに色や香りを付け・フェティッシュな演出をするテクスチャー(模様)に分割して認識/記憶されてるんじゃないかな。

■そんでもって、僕やみんなが黙読するときは、そのワイヤーフレームの部分=「脳内くん」だけを使ってると。だから、黙読中の声に気持ちを集中しても、「○○さんの声」とかってキャラが聴こえてこないいじゃないかと思ったんだけど、どうか。

■そこで思い出したのが、自分が読んでた漫画がアニメ化された時のこと。それまで漫画を読んでたとき、「脳内くん」の声で再生されてた声が、アニメを見た途端に「アニメの声優の声」で読むことも可能になっちゃう。まるでスイッチをon/offするように、声優バージョンで読んだり・「脳内くん」で読んだりすることができます。是非みんなもやってみて吉だし、こんなことからも、声がワイヤーフレームとテクスチャーに分かれて認識されてるのかもなんて、考えたりもしました。

■また長くなっちゃったな。今回は更新もあるので早速行きましょう。*ridersの#50には、VJのふみねさんがエントリー。maf*maf経由でやってきた彼は、学祭でのプレイも成功した模様。これからもよろしく。続いて#51には、5月のイベントで一緒にDJさせていただいた、パーティ「in dust-real」も主宰するベテランDJ・pomさん。2枚のレコードを自在に混ぜ、ウネリを作るその技に、「これが実戦?」とか「これがメジャー?」的なショックを受けたものです。凄かった。今度は遊びに行きますね。ニモスピもどうぞよろしく。

■そして他のみんなもエントリーよろしくと重ねつつ、それではまた。


11.19.2000 (Sun):『リタルダント』

■こんにちは、spinnですよ。こうして文章を打っている間にも、シャーデーの新作アルバム・『Lovers Rock』を聴いています。

■前作『Love Deluxe』(名曲「Kiss of Life」収録)と比べると、シンセやサックスによるキレイで硬めのツヤが抑えられ、重たいリズムの上に生ギターが乗る、枯れた土っぽい音になっています。「ラヴァーズ・ロック」と言うだけあってラガやダブの要素も顔を出してるけど、どの曲もストイックな佇まいで美しく、もちろん、その上にはシャーデー・アデューの艶やかな最高のボーカル。低音出てるから、FM→カーコンポで聴くより、部屋でじっくり聴くといいかも知れない。

■それにしても、実に8年ぶり(!)のアルバムだっていうから驚くよね。16年のキャリアでアルバム5枚。しかも前作だって「4年ぶりの新作」だったから、倍々でスローダウンしている格好いいマイペースぶり。彼女たちの時間に対する感覚って、僕とは全然違うものなんだろうなと想像した。

■そしてついでに思い出したのは、僕が小学生の頃のこと。僕は毎年やってくる2学期が、長くて長くて憂鬱だったんだよね。4月の上旬が休みになってる1学期に比べ、約10日ほど長い2学期。さらに言うと、一週間のうちでも、6時間目まである火曜日が長くて憂鬱だった。

■ゆっくりと1年が巡る、長い長い子供の時間。‥‥‥そこで思うに、彼らにとって「2年ぶりにでる続編TVゲーム」って、非常に非常に気の長い存在なんじゃないだろうか。つーか、きっと2本のゲームの間の連続性を感じてないんじゃないかな。

■ところが一方で、実際に大人としてゲーム制作の仕事をしていると、続編が2年ぶりに出るのってすごく自然な期間なんだよね。僕はCD-ROM以降のゲーム制作しか知らないけど、準備して・会議して・作って・泣いて・笑って・完成するまでの1年〜2年は、あっと言う間に過ぎていく。僕らの時間感覚ならそれで納得できるけど、子供にとっての2年って、ほとんど永遠に近い・未体験の時間感覚だったりするんじゃないかな。

■で、だ。今度は逆に、お年寄りにとっての2年ってどんな感じがするんだろう?と考えてみる。10年は夢のよう?100年は夢また夢?きっと僕らより、ずっと短く感じてるんじゃないかな。そして、あらゆるサービスにはタイミングがあり、何かしてあげるには間隔のとり方が大事なら、相手の時間感覚を測るテクが必要ってことになるんじゃないかなと思った。シャーデーを考えたら、時間感覚を変える要素って、年齢だけじゃないみたいだしね。

■そんな近頃、いつになく*open storageの書き込み活動も活発です。みんなで記憶したい話がある方は、遠慮なく書き込みよろしく。それではまたね。


11.26.2000 (Sun):『by your side』

■こんにちは。僕の名前はspinnであり、相変わらずシャーデーをリピート再生中。ぐっと気温が下がってきたからか、シャーデーの他にも「室内度の高い曲」がしっくりきちゃうような、いわば静高闘低・冬型の血圧配置が続いています。

■そんなこの頃、ちょっと面白い遊びを見つけたので紹介します。名前は「思い出サイドカー」(←だいぶ適当)。遊び方は簡単。ネットにつながってるコンピューターを用意し、誰か近くにいる人を一人捕まえます。条件は、あなたが20歳以降に知り合いになった人で、彼女とかダンナとか、親しければ親しいほどいいです。彼(彼女)のことは、以降「ドライバー」と心の中で呼びましょう。

■ドライバーを捕まえたら、手元のコンピューターからGoogleなどの検索エンジンにつなげて、ドライバーがかつて通った高校の名前で検索します。もちろん大学とか専門学校とかでもOK。大抵のドライバーは「オレの学校なんて絶対無いって〜」とか言いますが、比較的心配ご無用。卒業ほやほやの若い人とか、当の学校自体がホームページを持ってたりするからね。あなたは検索されたリンクを頼りに、ドライバーがかつて通った「校舎」とか「校門」とかの写真を探し出します。ここは腕の見せ所。がんばっていい画像にたどり着いてください。

■で、だ。無事に写真がモニターに表示された途端、あなたの横にいるドライバーの思い出バイクが緊急発進して、懐かしスーパーハイウェイを爆走しちゃうんだよね。中庭の写真に思いを馳せちゃう。やたら大変な恒例行事のこととか、思い出波止場にTSUNAMIが押し寄せてきちゃう。

■そして、この遊びの何が面白いかっていうと、横にいるあなた自身が、彼の気持ちを完璧に全然ちっともサッパリ共有できないってことなんだ。ドライバーは何だか豊かな気持ちを引き出してるんだけど、あなたには何てことない教室の写真だし、平凡な校舎・ありきたりの風景にしか見えない。日頃親しくして、同じような冗談を言い、毎日を共有してる人が、100%理解できない存在に変わる。その距離感が開く瞬間の速度が、他に類を見なくて楽しいんだよね。ドライバーも懐かしい気持ちを楽しめるし、ぜひ試してみて。いいです。

■さて、そういう僕にも学生時代があり、今日は高校からの先輩であり年間200日以上出張する漢・halsigeさんを*ridersの#52にエントリーしました。現在はシアトルに出張中とか。数年前から僕のページを見てるネット・トラベラーズのみんなには、「CLUB春紫苑」の彼、と言えばピンとくる方もいる筈。数学の美しさを知っているhalsigeさんには、*open storageで僕がやった積分の検算をして欲しいところですけど、日本に帰ってきたら遊びましょう。よろしく〜。

■他のみなさんも、「思い出サイドカー」共々*ridersにエントリーよろしく〜。それではまたね。


12.05.2000 (Tue):『ペイント・イン・ウォーターカラー』

■こんにちは。やや時間を空けて更新しているのはspinnです。飲み過ぎ→頭痛→後悔そして自分にフテ寝→朝、とかって弱めの週末をくぐり抜けた月曜深夜、明日は早起きだし早速今日のお話いってみよう。とりゃー。

■このページの上のほうに、3つのブロックの画像があるでしょう? これは懐かしの景観作成ツール・KPT Bryceで作った3次元CG。僕が使ってるVer.1はもう6年前のものだけど、非常に簡単なマウス操作で山を築いたり霧を焚いたりとかってトランシーな機能を持つ一方で、僕好みのする「直角ブロック」とか「完璧な球」などプリミティブな物体も作れるので愛用しています。現在は「Bryce 3D」って名前で出てるの?よく知らないんだ。ごめん。

■で、だ。例えば「青い箱の絵」を作ろうと思ったら、僕はBryceを起動して・空間に箱を置き・自分好みの青に塗るわけだ。そして光源の位置を決め→カメラ(視点)の位置を決め→レンダリング(描画)してみると‥‥‥これがさ、最初に狙った青い色にはならないんだよねー。何故かっていうと、カメラに写る箱の色は、その箱の表面色だけでは決まっていないからなんだ。

■KPT Bryceだと、瞳に届く箱の色を決めるものは他に2つあって、それが箱にあたる「光源の色」と「環境光の色」なんだ。空間に置かれた箱の色は、表面に柔らかくあたる環境光と、世界の果てから箱を照らし影を生み出す光源の色によって変化し決まってくる仕組み。でも、それが嫌だからって環境光も光源も無くしてしまうと、そこにはただ、真っ暗な空間があるばかり。そりゃそうか。難しいねどうも。つらいけど、光なくして色はカメラに伝わらないんだ。

■そして思うに、この複雑さと誤解と惨劇と眠られぬ夜の仕組みは、なんだか言葉のフィールドにも当てはまる気がするがどうか。つまりさ、誰か(例えば僕の友達)が伝えたかった言葉の色=意味も、文脈とかシチュエーションとかって環境光と、聞く相手の光源=解釈によって変化してしまう。そして誤解、もどかしい気持ち。かといってさー、僕の友達の言葉から文脈や相手の解釈を外したら、それは単なる僕の友達の独り言に過ぎないわけじゃない? それってちょっと悲しかったんだよね‥‥‥じゃないや、悲しかったらしいんだよね、僕の友達は。

■そんなわけで不確実さの森に迷ってしまいそうになるけど、まあなんての、大人なので全然大丈夫でーす。1発で意味とか色を正確に伝えるのって無理だし、実はそんな厳密さに大して意味とかないわけじゃない? 色も意味も手段な場合、その手段で目的にしてた事件とか状況が起きてるかどうかが真の目的・究極のラスボスなのだった。よくぞ見破った。そうでした。思い出しました。1発でダメなら2発だ。大人は、時間をかけるってことができるのだ。

■以上、やや自戒含みにお送りした冬の夜長のリトル・ストーリー。これにて了。そして次回。それじゃまたね。