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11.15.2001 (Thu):『ハーダー・ベター・ ファスター・ ストロンガー』

■こんにちはto theテラモトです。しし座流星群の夜まであと4日の11月中旬は、すなわち今年もあと1ヶ月半ですよ奥さん。年賀状、クリスマス、大掃除。コミケの人はそろそろ準備のリミットがくるし、全くもって早いよね。
■これって恐らくみんながユウツな話だろうけど、ほら、時間が過ぎ去る感覚ってどんどん短くなる気がするよね。子供の頃にはあんなに長くて鬱陶しかった2学期(9月〜12月)の4ヶ月が、大人になった今では一瞬ですぎる気がするなんて、そこが空でも地上でも、誰にでも同意の得られるとこじゃないかな。
■そして、その理由を説明するストーリーのひとつに、『人は時間を相対的に感じてるから』ってのがあるよね。10歳の子供にとっての1年は全人生の1/10だけど、30歳の人には1/30に過ぎないんじゃないかっていう考え方。いい方をかえると、小学4年の頃に比べて現在の僕は3倍の速さで時間が流れてて、60歳になったら更に倍のスピードで時間が流れるわけだ‥‥‥ってなんだろね、この逃げ道のない・冷酷な未来予想図は。そんなのあまりに悲しくて、そっとひそかに涙して、僕はひとつ、違うアイデアを編み出していきたいと思うのが今回。いきます。
■突然だけど、チェスを例にあげてみるぜ。チェスの場合、自分(プレイヤー)は16個の駒をもってて、それぞれいろんな方向に動かせる。中には何マスでも動ける駒や1歩しか進めない駒があるんだけど、ざっくりと「1つの駒には4つの動かし候補がある」と仮定すると、次の1手の選択肢は4×16=64通りになる。もう1手先を読んで2手分考えると64通り×64通り=4096通り。3手先なら643で約26万通り、4手先なら1677万7216通りになる計算だ。かなり乱暴な計算だけど、要はその選択肢の多さに注目してほしい。
■これだけ大量の選択肢があるのに、チェスの名人は戦略上の隙がないようによく考え、でも待てる時間で考えて駒を動かす。1677万通りの選択肢を各1秒で考えても、1677万秒=4658時間=194日=半年強なのに、うそうそ!僕が知ってる限り名人はもっと早く手を打つし、そんなに待たせたら大抵の対戦相手は家に帰っちゃうよ。
■熟練した名人が、膨大な選択肢の中から最適な方法を見つけるやり方‥‥‥このヒミツは多分、盤面上の出来事を「パターン化」して覚えるところにあると思うんだよね。素人の僕には見えないパターン、よくいう「定石」とか「型」を盤面から読みとって、ありえない手をはじき出し→計算を早め→相手が帰らない程度に短い時間の中で、先の先まで読んでるんじゃないかなって思うんだ。
■そしてね、時間の流れをゆっくり感じてた子供時代って、いわば日々の素人であり・名人のチェスみたいな「パターン化」ができてない状態だったんじゃないだろうかと。雑草の1本・ちいさな雲の形を読みとるにも時間がかかり、意味やつながりがいちいち気になることで、認知的に負荷がかかり、時間の流れがゆっくり感じられていたんじゃないかと思うんだよね。
■そして僕らは大人になり、「定石」を手にいれ・認識が早まり・(チェスの名人と同じく)日々の先の先まで読む力を手に入れてるはずじゃないかなって思うんだ。深く深く、もっともっと先まで読めるようになってると思うんだよね。
■となれば、僕は大人としてわけもなく先の先まで読んでいきたいんだけど、どうか? 確かに時間の流れが早くなっちゃう副作用はあるけど、その分遠い未来のことまで考えて、子供にはできない大きめのリザルトを編み出していきたい。毎日ダラダラいくのも好きだけど、1年〜2年〜3年〜とロングスパンの準備を(仕事だけじゃなく)遊びで仕込むなんてのも、かなり大人ならではの妙味じゃないの? なんて思いつつ、それじゃ、またね。