*検索エンジン経由でお越しの方へ:

このページは、文章系個人サイト『ニーモニック・スピンSR』の旧記事アーカイブの一部です。もしよかったら、以下の本体サイトもご覧いただけると嬉しいです。






09.24.2001 (Mon):『サーチング・オン』

■こんにちは。前回(→)の文章を見直してみても、テロ当時の強烈なストレスがよみがえるテラモトです。とはいえあれから2週間・それなりに楽しいこともあって、イトコの結婚式に行って(ヨシヒロくん・ナオコさんおめでとう!)親戚イベント特有の空気感を楽しめたり、中目黒のgiggle cafeって店が気に入ったり、まさに今聴いてるAS ONEの新譜「problems」があーすげー格好いいわ〜。なんでたった4分で終わるのさ〜。素敵憎い。

■あとはそうだ、すでにお気づきの方も多いかもしれないけど、ここニモスピのトップページ渋谷レコ屋ガイドにアクセス解析用cgiを設置してみました。ニモスピ再起動から1年強たった今、実際ここが「どういう見方をされてんの?」っていうシンプルな疑問で初めてみたら面白げな結果がでたので、是非お話していくそれが今回なのです。

■まずトップページについて言うと、こっちは80%以上が「お気に入り・ブックマークからのアクセス」なんだよね。つまりほとんどリピートで来てる方々ばかりであり、この場を借りてほんとにありがとう。でね、それに対して渋谷レコ屋ガイドの方は、これがほぼ100%検索エンジンからのアクセスなんだ。しかも90%以上が「1回目のアクセス」の人で、つまり僕とアイツは「渋谷 レコード」とかって検索語でパッと探して見つけて読んでオシマイっていう関係だってことだ。アクセス数が毎日ほぼ一定なのも(更新日以降なだらかに減少していく)トップページと対称的です。

■でもね、全然悲しくないんだよ。強がるわけじゃないけど、例えばこの3連休を利用して渋谷にレコード買いにいこう!って思った人の役に立ててたらなんて妄想は、あー素直に嬉しいものです。エヘン(←得意顔)。そしてさらに言うと、こういう検索エンジン経由のアクセスを前提としたページ作りってあるんじゃないかなって思うんだよね。

■7年前くらい前?に「e-zine」とかって雑誌的な編集がWWWに導入されて、僕も含めてたくさんの雑誌好き・編集好きがWWWページ作りをしてきました。当時は「リンクを辿る」ことがWWWブラウジングの基本だったから、ページがいかに構成されてるか?は、探したいネタを見つける上でとても重要な要素だったのも事実。

■そして時はながれ、WWWには猛烈な量のネタがアップされるようになってきました。例えばさ、Yahoo!オークションなんてかなり濃い情報アーカイブになってるよね。WWWがまだ無かった時代に生まれ・時間の向こうに消えるはずだった雑誌やレコード他さまざまなブツが、多数の人によって撮影され・コメントをつけられてアーカイブされてる。しかもさ、それが一発検索できるようになってるんだよ。この意義深さには目眩がしそうだし、それを利用可能にしてるのはやっぱり検索エンジンだ。

■もしこれが現実の博物館だったとしたらとても見切れないよね。もう大英博物館正倉院宝物殿も検索できたら良いのにって虚構と現実を一緒にしながら思うのは、今ではたぶん、検索ブラウジングの方が(アクセス数的には)スタンダードなんじゃないかなってことなんだ。リンクを辿ることよりも、検索エンジン主体のブラウジングの方が単純に便利じゃない?

■だけど、このブラウジング方法だと「雑誌的な構成」の意味って割と2次的になっちゃう。検索エンジンから単語レベルでピンポイントに飛んでくる人にとってみれば、飛んだページの構成や設計は(「見やすさ」ってレベルのデザイン以外に)そんなに重要じゃないんじゃないかって。

■でもね、全然悲しくないんだよ。確かに雑誌的な構成が好きな僕だけど、検索エンジンの前に「編集」は死んだりしなくて、むしろ検索ブラウジングに対応した別なタイプの編集工学がありそうでドキドキするぜ。楽しそう〜。例えば、*open storageで出てくるような小さくて面白い話をアーカイブしてみるとかやってみたいと思いつつ、それじゃまたね。


09.29.2001 (Sat):『ライブ』

■こんにちは。お世話になった会社先輩が辞め際わざわざ来てくれたのに、挨拶もそこそこオフィスを飛び出したテラモトaka不義理侍です。だって彼ったらなんだか優し過ぎるんだもん。わたし、あれ以上笑顔でいられる自信なかった。

■なんて冗談はともかく、実際は楽しみにしてたネイサン・ヘインズの日本公演があったんですよ。ネイサンについては、アルバム『SOUND TRAVEL』の『surprising』のサンプルを聴いてみてください。非常に現代的な、最新型のジャズ。ごめん大好きなんだ。悲しい気持ちにカツを入れ、むしろこんな日に辞めないでよと逆ギレ気味にたどり着いたのは、東京・南青山にあるブルーノート東京だ。やや不相応なおしゃれ空間を強襲です。予想以上にキマり過ぎのフロアをくぐりぬけ、幸いステージに近い席に案内されたあと、飲み物を注文・開演時間を待つぜ。

■それにしても、開演5分前で相席になった35くらいの実業家と彼女風の2人が、微妙なエロ波動を放ってるのが気になる〜。開演前に流れるビバップBGMに、異常にノリノリな実業家(仮称)。フォークでチンチキとリズムとっちゃいますか。あーなんで男の方は薬指にユビワしてて、彼女の方はしてないのかなー? 36通りの妄想ストーリー(含む妹オチ)が僕を襲うけどガマン。種として正しいのは彼らじゃないか。少なくとも一人で来てる、音楽だけ目的のオレの方じゃないよな、とか何とか。

■そして21時半過ぎ、ショウが始まります。ドラム・ベース・パーカッション・キーボードがリズムを刻みはじめ、ややあってからネイサン登場、ソプラノサックスを吹き始める‥‥‥ああああ、こりゃ格好いいわ‥‥‥。サックスだけじゃなくフルート、そして歌まで聴かせる長身のネイサンが素敵過ぎ。そしてリズムセクションのキレが凄過ぎ。たまらん。1時間半の昇天タイムです。実業家(仮称)のことなんて、きれいに忘れてた。

■僕が日頃全然ライブにいかないからかもしれないけど、音楽自体のスーパー格好よさと同じくらい驚いたのが、そのダイナミックレンジの広さなんだよね。消え入りそうに小さくて繊細な表現から→バンド全体で鳴らす爆音の高揚感まで、変化の幅と豊かさには本当に衝撃を受けた。後から加わった男性/女性ボーカルも、ささやく声から歌い上げる迫力まで豊かすぎるメリハリで酔わせるぜ。憎いね。例えになるかわからないけど、MDのボリュームが1から10までの幅だとするなら、0.001から100くらいまである感じなんだよね。うーん。もてなされたなあ。

■もちろんCDにはCDの魅力(買って帰れる、とかって大事な機能)があるし、実際今もネイサンヘインズのレコードを聴きながら余韻にひたってるわけだから、僕はライブ至上主義を唱えるつもりはないんだ。でもなんつーか、日頃触れてるパッケージメディアでは味わえないような・そして爆音主体のクラブでも味わえないような豊かなダイナミックレンジを味わったとき、僕自身の音楽に対する想像力が拡張されるような、そんな気にもなれたんですよ奧さん。

■で、これって音楽だけの話じゃなくて、きっと視覚も一緒なんだろうなって。日頃見ている風景だけじゃなくて、例えば熱帯雨林ツンドラを/フィヨルド砂漠サバンナを/男の子好きする近代都市や有機的なイスラムの街をライブで見たとき、僕やみんなや世界や時間の想像力も拡張されるんじゃないかなって。そういえば辞めた先輩も言ってた。スイスアルプスの山や湖なんて、ライブで見ると卒倒するほどキレイらしいじゃないですか。

■そういう世界の・ライブのダイナミックレンジにもっと触れていきてーぜとか思わされたんだけど、どうか。経済のこともあるから悩むとこだけど、それが僕やみんなが編み出すものとか、その出力特性に影響するならなおさらだ。まいったな。まいったところで、それじゃ、またね。


10.16.2001 (Tue):『ワールドワイド』

■テヌート気味にこんにちは、お久しぶりのテラモトです。WWWを失礼している間、僕は世界機械のNLKさんに初めてお会いしたりなど出会い系イベントを発生させていました。彼のWWWページは7年前から見てたのにね。とても爽やかで気持ちいい人だった。いいな。またオモシロ話しましょう。

■そしてまた、僕の出会い系イベントはもう1つ発生していて、ハウス系トップDJの1人であり・最近アルバム『Timeless』をリリースした福富幸宏さんにお話をうかがってきました。これはalterope遠藤さんの新雑誌・『Splash!』でのインタビュー企画として、ナノサウンズのオオクボさんといっってきたという仕組み。詳しい内容は雑誌のほうでぜひ見て欲しいんだけど(よろしく〜)、なんかね、物腰のやわらかさと・内にひそんで対称的な強い意志が印象的だった。

■ところで。この番組で再三お伝えしている通り、福富幸宏だけじゃなく僕はハウス他のダンスミュージックが大好きなんだよね。で、そのステキ要素で理由のひとつが「確かなワールドワイドさ」なんだ。例えばレコ屋では、主なところで英/独/仏/伊/米/日本といった国からきたレコードが、12インチという同一サイズで並んでる。値段もだいたい1000円前後だ。そして、そんなレコードの栄枯盛衰を何週間・何カ月・何年と追いかけてると、お互い影響しあいながら、うねるように大きく変化してるのが感じられるんだよね。

■世界のどこかで作られた音質感やリズムの構成が、世界の他の場所にいる誰かに影響し、そしてまたレコードがつくられる。それはオリンピックや国連といったものより遥かに確かに、僕に世界のひろがりやつながりを感じさせるんだ。ロンドンやニューヨークのレコ屋にいっても、基本的には同じレコードが並んでたり、とかね。

■でさ、その一方で残念で気になるのが、このWWWの今一つなワールドワイドさ加減なんだよね〜。なるほど英語が読めるとWWW巡りも広がるし、かつて(6年くらい前)は「英語じゃなきゃ世界への情報発信じゃない」とかゆって日本語/英語のバイリンガルを暗に強制する風潮があったものです。僕もちょっとだけ経験あるけど、確かに英語でサイトをつくれば、思いもよらない海外の皆様に自分の文章が読んでもらえたりする。その価値はすごくよくわかる。

■でもさ、「日本語で書いた文章を英語でもう1度書く」っていう手間が面倒くさくない、ですか? ネイティブで自由に使える日本語でだって同じことを2回書くのなんてまっぴらなのに、第二外国語で・2回同じ書くのなんて嫌です。告白します。「2回」がとにかく嫌なんです。

■そんなわけで、言語があまり関係ないダンスミュージックと比べて・テキスト主体のWWWがあんまりワールドワイドに使えなくて残念なんだ。ポテンシャルはあるのにね。ここで進化の方向としては、やっぱりieやNetscapeといったブラウザが強力な翻訳機能を持つ=見る側が自動化される方が正しいと思うんだ。もちろん今はまだ英語で2回書くのが最善の策だと思うけど、文字を書く・手間がかかるほうがラクできる仕組みを、ぜひ研究&開発してほしいと先生は思います。

■さて、今回はひさびさに*ridersにも新しいお客様がエントリーです。それはUnderSky AmbienceをてがけるALH8401さん。ハイテックなジャズを愛し素敵ダンスミュージックを紹介しまくる彼のサイトは*linkageからすでにリンク済み。これからもよろしくです。イアン・オブライエンと4Heroの新譜、楽しみですね。

■同じくワールドワイドな感じのF1も最終戦を迎えた週末、海外のレース情報サイトを無理矢理読みながらそんなことを考えてみた今回。それじゃ、またね。


10.30.2001 (Tue):『フェアプレイ』

■秋も深まり東の空にはオリオン座、そんな季節を胸いっぱい吸い込んで・そっとつぶやく言葉はテラモトです。こんにちは。そして僕様の休日は、横浜・桜木町にて開催中の横浜トリエンナーレ2001に行ってきました。

■当日はすっかり大雨だし、内容も現代美術だしとタカをくくっていったところ、

    『会場は人で超いっぱい』  A VENUE FULL OF GUESTS
     建物、人、プロジェクター、なんか機械(ミクストメディア)  2001年
とかって盛況ぶりで、デート・親子・マダム・学生で大賑わい。素直にいい感じです。

■とはいえ混んでる場所がニガテな僕は赤レンガ倉庫会場しか見てないんだけど、2800枚の観光写真を完全ドライに並べまくったフィッシュリ&ヴァイスと、女性の染めた髪(またはウィッグ)をグロテスクに拡大した笠原恵実子がよかったので入場料2000円分はOKでした。なんかスクリーンに映像うつしたり、Mac並べて身体がどうとかいう作品は‥‥‥うーん、なんか十年一日の感が(←意味違う)。

■僕がフィッシュリ&ヴァイスや笠原恵実子の作品に感じた素敵さって、まずはそのフェアさ加減なんだよね。ほら、作家がアイデアや核心をわざとボカしてもったいぶることで、作家としての権威やオーラをキープするやつがあるでしょう? 「未来身体」とか「欲望都市」とか、自慢の特製四文字熟語なんか繰り出したりしてさ。

■作家はただでさえ「最初に作品を置く」なんて特権を持っているのに、作品に意味をいくつも重ねて防御して、さらに「見る人が自分の感じるままを感じて欲しい」なんて言ったり、ね。でもそれって作品だけじゃ最初っから核心やアイデアがバレない仕組みで、なんつーかフェアじゃない。何様だよとか思うし、本当はアイデアなんて無いの?とか疑っちゃうよ正直。

■その点フィッシュリ&ヴァイスの作品は、会場に置かれた一式を見ることだけでちゃんとコンプリートできるようになっていた。おそらく世界の20箇所(?)で撮影された2800枚もの美しい風景写真を、夢見るような昼・夜・夕方の景色を、(反射光ではなく)スライドの透過光で=本来の光かがやく世界に近い状態で見られようにしてある。これが彼らの作品の全てだし、隠しダマなんてない。フェアなプレイで、フェアにサーブを打つんだ。

■そして僕らときたら、全ての写真から慎重に排除されたストーリーによって、一切感情移入できない・疑似体験ができない仕組みになってる。結局「この写真はロサンジェルスだよね」なんてナケナシの知識をかき集めることしか出来ない、そんな経験をすることになるんだ。全く、見事なショットにホレボレするよ。

■特権を利用したヒミツの意味を作らない。これこそフェアプレイだと思うし、フェアじゃない勝負や作品なんて楽しめないよ。反則プレイで守った他人のエゴなんて興味ない‥‥‥そんなことを思った週末だったのでした。

■さて、今回も*ridersの更新いってみます。#63にはC.B.Jimさんがエントリー。どうも大学の頃に一度会ってる方のようですが‥‥‥いただいたヒントからでは降参です。ほんとすみません。良かったらメールで答えを教えてください。よろしくです。そして#64にはちょくだいさん。大学の先輩・いみだすさんのBBSではお目にかかっていました。僕のページも楽しんでいただければいいんですけど。

■せめて出力する時くらい、いつでもフェアにいきたいものです。自戒をこめて、それではまたね。


11.15.2001 (Thu):『ハーダー・ベター・ ファスター・ ストロンガー』

■こんにちはto theテラモトです。しし座流星群の夜まであと4日の11月中旬は、すなわち今年もあと1ヶ月半ですよ奥さん。年賀状、クリスマス、大掃除。コミケの人はそろそろ準備のリミットがくるし、全くもって早いよね。

■これって恐らくみんながユウツな話だろうけど、ほら、時間が過ぎ去る感覚ってどんどん短くなる気がするよね。子供の頃にはあんなに長くて鬱陶しかった2学期(9月〜12月)の4ヶ月が、大人になった今では一瞬ですぎる気がするなんて、そこが空でも地上でも、誰にでも同意の得られるとこじゃないかな。

■そして、その理由を説明するストーリーのひとつに、『人は時間を相対的に感じてるから』ってのがあるよね。10歳の子供にとっての1年は全人生の1/10だけど、30歳の人には1/30に過ぎないんじゃないかっていう考え方。いい方をかえると、小学4年の頃に比べて現在の僕は3倍の速さで時間が流れてて、60歳になったら更に倍のスピードで時間が流れるわけだ‥‥‥ってなんだろね、この逃げ道のない・冷酷な未来予想図は。そんなのあまりに悲しくて、そっとひそかに涙して、僕はひとつ、違うアイデアを編み出していきたいと思うのが今回。いきます。

■突然だけど、チェスを例にあげてみるぜ。チェスの場合、自分(プレイヤー)は16個の駒をもってて、それぞれいろんな方向に動かせる。中には何マスでも動ける駒や1歩しか進めない駒があるんだけど、ざっくりと「1つの駒には4つの動かし候補がある」と仮定すると、次の1手の選択肢は4×16=64通りになる。もう1手先を読んで2手分考えると64通り×64通り=4096通り。3手先なら643で約26万通り、4手先なら1677万7216通りになる計算だ。かなり乱暴な計算だけど、要はその選択肢の多さに注目してほしい。

■これだけ大量の選択肢があるのに、チェスの名人は戦略上の隙がないようによく考え、でも待てる時間で考えて駒を動かす。1677万通りの選択肢を各1秒で考えても、1677万秒=4658時間=194日=半年強なのに、うそうそ!僕が知ってる限り名人はもっと早く手を打つし、そんなに待たせたら大抵の対戦相手は家に帰っちゃうよ。

■熟練した名人が、膨大な選択肢の中から最適な方法を見つけるやり方‥‥‥このヒミツは多分、盤面上の出来事を「パターン化」して覚えるところにあると思うんだよね。素人の僕には見えないパターン、よくいう「定石」とか「型」を盤面から読みとって、ありえない手をはじき出し→計算を早め→相手が帰らない程度に短い時間の中で、先の先まで読んでるんじゃないかなって思うんだ。

■そしてね、時間の流れをゆっくり感じてた子供時代って、いわば日々の素人であり・名人のチェスみたいな「パターン化」ができてない状態だったんじゃないだろうかと。雑草の1本・ちいさな雲の形を読みとるにも時間がかかり、意味やつながりがいちいち気になることで、認知的に負荷がかかり、時間の流れがゆっくり感じられていたんじゃないかと思うんだよね。

■そして僕らは大人になり、「定石」を手にいれ・認識が早まり・(チェスの名人と同じく)日々の先の先まで読む力を手に入れてるはずじゃないかなって思うんだ。深く深く、もっともっと先まで読めるようになってると思うんだよね。

■となれば、僕は大人としてわけもなく先の先まで読んでいきたいんだけど、どうか? 確かに時間の流れが早くなっちゃう副作用はあるけど、その分遠い未来のことまで考えて、子供にはできない大きめのリザルトを編み出していきたい。毎日ダラダラいくのも好きだけど、1年〜2年〜3年〜とロングスパンの準備を(仕事だけじゃなく)遊びで仕込むなんてのも、かなり大人ならではの妙味じゃないの? なんて思いつつ、それじゃ、またね。


11.29.2001 (Thu):『コールド・カット』

■こんにちは。風邪で有給休暇中のテラモトです。「平均的なアメリカ人は年に3回風邪をひく」というのをD.A.ノーマンの本で読んだ途端、そのうち1回がオレに襲いかかった昨日・今日。これって何かの呪い?

■‥‥‥なんて単なる偶然にさえ何らかの意味を見いだしちゃうのは、人間の認知機構がもつクリエイティブで素敵な機能なんだって。そうさ、あの時の勘違いも・そして切ない気持ちや誤解や傷つき迷った日々さえも、人間の認知機構がもつ素敵な機能の甘く悲しい結末なのです。だからダーリン、泣いちゃだめだよ。涙を拭いて・ねえ笑って。

■さて、今回はイベント告知をもって更新とさせていただきます。*open storageにも書いたけど、今日(11/29日)の夜19時から、渋谷のCLUB宙にて「splash! night vol.1」というイベントが行われます。僕はそこで雑誌「splash!」執筆者の一人として、30分ほどレコード係をする予定です。僕の受け持ちは19:40から。クラブイベントとはいえたぶんクラブ系ダンストラックは殆どかからない、リラックスした感じの楽しいイベントになると予想されます‥‥‥ってことは、レコード係からすると逆にフリーフォームすぎて難しい感じ。しかも雑誌の雰囲気からして、頭とセンスが良くて面白いことにウルサい洗練された若者が集まりそうな予感。そんな彼らにちゃんと楽しめる30分の音波を提供すべく・風邪を押していろいろと仕込みもしましたが‥‥‥さてどうなる?

■結構、自分でも楽しみな試合です。平日の夜におこなわれる1,000円+1ドリンクのお気軽なイベントなので、よかったら是非遊びにきてください。よろしく。

■そしてもう1つ、今日は来訪者リストこと*ridersにも1名様エントリー。#65にオバタさんを登録しました。埼玉が生んだ繊細さと芯の強さを併せ持つナイスガイ・ふみねさんのLINKからきてくださった、こちらもまたナイスガイのオバタさん。先日彼らとは*mafすぎのさんを交えてお会いする機会があったんだけど、友達同士4人がみんなナイスガイでまいった。きみら気持ち良すぎ。これからもよろしく。

■そんなわけで、最近なんだか自分よりも若い人たちと会う機会が増えてきました。勝ち負けとかじゃなくて、ちゃんと年いってるなりの・大人の役割を果たしていきたいと強く感じます。それじゃ、またね。


12.10.2001 (Mon):『インストゥルメンタル』

■こんにちは。デス+イルな毎日をクロールする、利己的遺伝子spinnだぜ。小学校以来のヒザの曲がったバタ足じゃ・なかなか前に進めないんだけど、日曜には95年くらいから交流のあるWWW野郎共とのオフ会(←あれはどう考えてもそうでしょ)に行きました。今もそれぞれの活動を続ける漢や乙女と過ごした時間は、うん、本当に楽しかったです。また是非よろしく・そして有り難う>関係者

■さあそして月曜からは、また僕たちのライフが始まるわけです。そこでは前述の通りデス+イル/そうさアップサイドダウン/だから時には心と考えが煮詰っちゃう、なんてストレスは現代人にはつきものですよね。なので今回は、我が「移動するひきこもり」の名にかけて、心穏やかな時間を過ごせる深夜〜明け方のレコメン散歩道を2本ご紹介します。

■まず1本目。それは僕が毎日カイシャ帰りに歩いている、横浜は第一京浜(国道15号)。ここ京浜工業地帯の夜は人通りも極端に少なく、オレンジ色の街灯の点光源に照らされて、道路標識が歩道にくっきり不動の影を落としています。港湾のソリッドな静寂の中・新型の道路舗装でミュートされたクルマの走行音が幾重にも反復する、インダストリアル経由のミニマルチューン。地図の右上・新町を過ぎたあたりから→左下・東神奈川駅に至るその道は、歩いてだいたい15分。ちゃんとリフレッシュされたら、ゴール駅前のTSUTAYAで立ち読み&ビデオレンタルが習わしです。

■そして2本目、こちらは渋谷と代官山の間にあります。渋谷・道元坂上にある神泉交差点から折れ、マレーシア大使館前から代官山へ至る旧山手通り。この道は(第一京浜と違って)日本有数のオシャレ地帯&高級住宅街らしいオーガニックなゆとりを感じさせる、ディープな(住宅地だけに)ハウスミュージック。地図の左上・マレーシア大使館前を過ぎるあたりからは、夜だけでなく昼に歩いても素敵げな空気が堪能できるぜ。西郷山公園に近所のワンちゃまが集まるのを眺めたりね。フェラーリ360・モデナが普通に止まってたりして、スーパーカー好きには平常心が難しいのが要注意。神泉町の交差点から代官山駅までだと、再生時間は約25分ってところかな。

■紹介した2本の道に共通していえるのは、「←in」とか「半額」とか「24時間」といった言葉がない=目に飛び込んで気持ちを刺激するプロンプトが少ないってことなんだよね。意味や考えが渦を巻いて茹だった頭には、そんな視覚的なインストゥルメンタル・トラックがとても気持ちいいと思うんだけど、どうか?

■さらにいうと、市街地に育ち・市街地に生きてきたからか、僕にはこういう市街地景観が、話にきく「ふるさと」みたいな親しさ・暖かさで感じられて仕方がないんだ。2001年もあと20日、年越し前にNHKとかで繰り返しイメージされる素朴な「ふるさと」より気持ちに伝わる、そんな歩道をゆっくりと歩きながら‥‥‥今回は以上。それでは、またね。


12.25.2001 (Tue):『スターバースト・オーバー・オリオン』

■こんにちは。ここ数日の冬らしく透明度の高い空気が心地よくってご機嫌で、寒いのかまわず歩き回って遠くを見ているバカと煙に続く第3の高台ファン、それはテラモトです。

■そんな僕様も正月には実家に帰ってミカンなど貪り食う予定なんだけど、両親が現在いる西葛西に僕自身は住んでたことがなくって、正直ちっとも「帰郷」って気分はないんだよね。折角のイベントなのに、いつもそれだけがちょっと残念だ。

■僕は子供の頃から7回ほど引越をしていて、しかも移り住んだどの街もビルが建っては壊されるような・決して安定することのない半端な市街地ばかりだったんだよね。街の景色は常に変化するものだし、なんつーか、変わらないものなんてなかったさ。

■ところで、学生の頃にサークルの合宿で福島に行ったことがあるんだけど、その時暗くなってから旅館について→さんざん騒いだその朝、窓の外に、堂々とそびえる磐梯山を見たんだよね。動かざること山の如しとかいいますが、そのマッシブで圧倒的な存在感に、この場所で生まれ育った人にとって、きっと磐梯山って変わることのない頼もしいカタチとして完璧に親しまれてるんじゃないかなって思わされた。そしてこれは推測だけど、彼らはどれだけ長い間留守にしていても、一度その稜線を目にすれば、いつでも「帰ってきたな」って思えるんじゃないかなって。

■一方、こちら市街地専用・引越野郎の僕の中には、そんな磐梯山的な存在はないわけだ。卒業した小学校の真横には知らない間に高速道路が走ってるらしいしさ、ちぇ〜なんだよ〜磐梯山羨ましいよな〜って思って何年も過ごしてきたわけだけど‥‥‥いやいやどうして、実は磐梯山並の存在感を持つ・頼もしいヤツが僕にもいました。それはそう、このページにも頻出するあいつ、冬の星座のトップスターことオリオン座ですよ奥さん。

■ヤツはいいね。僕が知ってる限り小学生の頃から全く同じ配置のまま・天の赤道の上で輝いている。あの有名な三つ星・左上の赤いベテルギウス・右下の青白いリゲル・赤く広がるM42散光星雲‥‥‥とキャラも豊富なオリオン座。タクロウさんページの世論調査企画「dottchi?」で北斗七星に完勝してたけど、いくら北極星とタイアップしてるからってそりゃキャラの厚みが違うよね。例えるならモーニング娘Dreamみたいなもんですか?

■ほんとに笑うくらい、建物は今もどんどん壊され建築される。そしてこれまた笑うほど、カンペキに同じ配置で輝く夜空そしてオリオン座。太陽の1000倍=太陽系で例えると木星軌道くらいまでのサイズにまでブクブク膨らんだ赤色巨星・ベテルギウスが星の終わりっぽくてやや気になるけど、きっと僕が爺さんになったときでもオリオンは今のカタチで冬の空を彩っていて、僕は濁った目でそれを見上げるのだろう。いや、むしろその時のために、いまからオリオンを見て様々な思い出や冗談を積極的に連結しておきたいぜ。

■白状すると、すでに僕はオリオンに対しては今でもなんだか切ないような甘いような気持ちになります。高校のとき学校で徹夜した夜のこととか、よくあるいろんないろいろをね、思いだし装置ですわ。そしてこれってブラジルの人がいう「サウダージ」ってやつかも知れないとか、ちょっと思った。

■さてさて、突然ですが明日の火曜深夜は会社の音楽系センパイチーム・ナノサウンズが西麻布のお店でイベントをやるということで、僕もレコード係でお手伝いしてきます。受け持ち時間は午前4時くらいなので、西の空に沈んでいくオリオン座のことなど考えながら甘い曲をかけていく予定。もし良かったら・時間があったら遊びにきてください。それでは、またね。


1.4.2002 (Fri):『リンク・ユー・アップ』

■こんにちは。いつだって容赦なく明ける新しい年に、100万の幸あれかしと膝ついて祈るspinnですよ。相変わらず最高に澄み切った空が気持ちいい横浜市から、オレという名の利己的ミームいろいろ夢の旅の新たなる1ページ。何を偉そうに。

■さて今回はいつになく更新らしい更新情報でいってみます。それはニモスピの外部リンクページ・*linkageの改修、詳しく言うと16OUTの新リンクでマグネットコーティングしてみた仕組みです。

■リンクさせていただいたサイトを紹介すると‥‥‥まず、ここニモスピにも再三登場してもらってるフクダのページ・maf*mafと、大阪でVJとして活躍した後→首都圏へとやってきた若武者ふみねくんのTHE POODLE PARADE、さらにVJイベントNTSCで知り合ったタクロウさんの5 to designをリンクしました。

■続いては永川NLKさんのSEKAIKIKAI MOTOR SOUL、demiさんのBeltorchicca へのリンクを接続。以前から微妙に知り合いだったお二人なのですが、去年の後半くらいからお会いする機会も増えて、真に勝手乍らハートがハートが急接近させていただきました。こういったネット系統では、雑誌でインタビュー記事も書かせてもらった遠藤さんのsplash!と、フジイさんのsawada special、2001年冬の渋谷なのにログイン話で共に涙した(ウソ)あべ++さんのピカメケもリンクしています。

■カイシャ関係では、以前からリンクしてーなと思いつつ後回し過ぎたウデツさんのウデツ式。タカナベのラヴフールは彼の退社を記念してカイシャカテゴリーから移動しました。これからもマジ期待してるよ。そして、カイシャじゃないけど小学生以来=18年来のつきあいになるタクミのM.A. Factoryを大学エリアにリンク。なんかとっくにリンクしてた気になってました。ごめん。これからもよろしくね。

■他には、以前から読んでるマニア系ニュースサイト・粉塵工場をリンクしたり、お馴染みgoogleや地図サイト・マピオンworld meter、共同通信社の世界年鑑ONLINECD NOWといったツールサイトを繋いだ次第であり、以上のみなさんよろしくお願いしますと何度でも重ねて表明していきたいです。白状するとリンク依頼メールはまだ出してません。不都合があったらご連絡ください

■ところで、こうしてリンクページを改修しながら感じたのは、このMS0627SRII・ニモスピSR 自体が最近なんだか浮き世離れしてたなーってことなんだよね。昔やってた音楽CDレビューもやらなくなってたし、実際世界から離れて、モロにWWWなページとしてやりすぎたんじゃないかと。

■そこにはある種のピュアで研ぎ澄まされた感覚があって、モノトーンの服=カコイイみたいな陶酔状態に突入してた気がするんだよね。でも、正月に帰省した実家で日頃のWWW巡回生活から強制的に離れたとき、ふと、そんな狭さをつまんなく感じてしまったんだ。モノトーンも悪くないけど、そればっかりってのもつまんねーなと。うーん参った。ちょっと失敗してた、かもね。

■そんなわけで2002年はしばらく、ニモスピと毎日のリンクを心に1・2と数えてやっていこうと思っています。芭蕉に「旅に病んで、夢は枯れ野を駆け廻る」っていうドライブ感満点の句があるけど、時にはゲスな冗談やウワゴトじみた妄想も織りまぜながら、枯れ野=実際世界のワイルドランドを拙者ドライブしたい所存でござる。これからもよろしく。それじゃ、またね。


1.8.2002 (Tue):『これはパイプではない』

■こんにちは。冬の雨音を聞きつつ更新するのは横浜市にお住まいの会社員・spinnです。前回のリンクページ更新について、早速反応してくれたウデツとふみねくんにジャイアントサンキュー。あべ++さんのピカメケからもリンクしていただいたし、嬉しいなあ。みんな有難うです。

■一方僕のほうも、リンクページ改修をきっかけに更新熱が一気にヒートアップ。この機に乗じて、昔の*days flow記事が読めるように過去記事アーカイブこと『*past flow』をバリバリと作ってみました。ここ*days flowでは、右にいくほど薄くなって消えちゃうっていう経時劣化を真似っこした仕様でお送りしているわけだけど、1)何人かの方から「昔の読みたい」って嬉しい要望を受けていたし、2)今年のニモスピはワイルドに幅を拡げる方針だって決めたから、3)だってわたし・もう迷わないって決めたから、4)とりゃーっと作ってみた仕組みなのです。

■とはいえ、実際のところ「過去記事が読める」ってだけだとちょっと物足りない感じもしたので、全体の色調を落とすだけでなく・画像と文字を使ったネタも1つやってみました。もうお分かりの方も多いと思いますが、あれです、映画DVDに入ってる「チャプターリスト」で遊んでみました。

■映画のDVDって、本編の主だったシーンに直接アクセスできる機能がついてるよね。まるでCDでランダムに曲を選ぶように、いきなりコンピューターが歌をうたったり・豪華客船が沈むシーンにジャンプできる素敵機能。DVDを起動して→メニュー画面から「チャプターリスト」を選べば、映画の各シーンがアイコン形式で何枚も並んでいて、キミはそこから自由に選ぶことができるんだ。うーん、未来だ。

■で、僕はこの「チャプターリスト」画面が好きで好きで仕方ないんだよ。(照れながら)どこが好きかって? ほら、各シーンアイコンの下に「人類の目覚め」とか「北欧家具の奴隷」とかって、言葉でキャプションがついてるところさ。誰がつけてるのか分からないけど、僕はこの「アイコン」と「キャプション」の衝突が愛しい。愛しすぎて怖い。(本編を見るまでは)宇宙飛行士が楽しく宇宙遊泳してるようにしか見えないアイコンに→「船外事故」なんて不穏なキャプションがついてたり、とかね。言葉は絵を縛ろうとするし、絵は言葉から逃げようとする。またはその逆。何でもないシーンほど面白い。そんなイメージの衝突が起きる環境が、僕は大好きなんだよね。

■更に嬉しいのが、この「アイコン+キャプション」がいくつもTV画面に並ぶことで、わけもなくドラマチックな感じがしちゃう効果もあるってことだ。どんなに無意味な羅列でも何とか意味を読みとろうとする人間の認知機能の野蛮さと 、悲しいサガがひしひしと伝わります。かわいいなあ、人間の認知。

■‥‥‥そんなわけで、先の過去記事アーカイブ・『*past flow』では、僕のチャプターリストへの気持ちを歌にしてみたのです。3枚の組み合わせからでもドラマチックな気持ちがしちゃう現象をみんなにも楽しんでもらえたらいいなって思うし、今後追加される画像にもご期待くださいです。まだ2000年の9月末分までしか搭載できてないしね。

■イメージの衝突については、3単語名前へのラブとか他にも書きたいことがあるけど、いい加減長くなってきたし今日はこのへんで。それじゃ、またね。