ピアノについて。




 ピアノ。

 みなさんの中でピアノの鍵盤に触れたことのない人は恐らくいないだろう。親からピアノを習え、とか、ピアノでなくてもエレクトーンやヴァイオリン、といった楽器を習いに行け、と言われた経験がきっとあるだろう。なぜ、親は子供に習わせたがるのであろうか。

 僕は3歳の頃からピアノに習いに行き始めた。もちろん3歳の子供に自発的にピアノを習いに行く意志があるはずもなく、親の、特に母親の強い希望であったようだった。ピアノの先生は、母親の高校時代の音楽の先生だった人で、母親も昔、習ったことのある先生であった。その先生は主に音楽大学に進学するような生徒をメインに教えていた。僕がいくら知り合いの子供だからといっても、そんなすごい先生にいきなり教えてもらえるはずもなく、若い、他の女の先生に習うことになった。

 ちょうどその頃、同じ先生に習ってた男の人で、僕よりも5歳位上の人がすっごく上手で、発表会でも聞き惚れるくらいの腕前でした。僕は先生とかに「○○君みたいに弾きたい!!」とずっと言っていました。僕が転校して、名古屋や東京でも続けて習っていて、大阪に戻ってきたときに、先生に「○○くんはとっくに辞めたんやで!」と言われ、すっごいショック。いつかは追いこしてやろう、って思ってたのに・・・。

 ピアノ。52個の白鍵と36個の黒鍵。この楽器から、様々な音楽が奏でられ、人々の心を癒してきた。一般的に名作曲家と言われてきた偉大な音楽家もこの同じ楽器に向かいあって座っていたのだ。当然ながら、昔のピアノは今のものとは異なるだろうが。

 僕はピアノを弾くことが楽しく、面白かった。でも、段々弾けるようになってきた頃から練習をピタッとしなくなった。ピアノなどの楽器を習いに行ったことのある人ならわかるであろうが、レッスンの日に次のレッスンまでの課題を出されて、それまで家で練習するのだが、ある時、練習せずにレッスンに行き、課題をクリアしてしまったのだ。こういうことがあったら練習なんてしやしない。しかも、その時、我が家のピアノは、2階の一番奥の部屋に置いてあり、子供心には近寄りがたい場所であった。しかも冬など寒い時には一段とその場所は寒く、もっと立ち寄らなくなってしまった。

 それに気付いた母親のとった行動は・・・・。

 ピアノに鍵をかけてしまったのだ。

 ピアノを弾こうと思ってピアノに手をかけた瞬間、それに気がついた。すっごいショックな出来事であった。まさかこんなことになるなんて。母親に「練習しなさいよ」と言い続けられてきたのを再三再四にわたって無視し続けた、その代償であった。

 僕は泣いて母親に鍵を開けてくれるよう、頼んだ。「そんなに練習したくないんだったら、辞めたら良いでしょ!!」と怒られた。辞めろ、と言われたら、「いや、辞めない」と言ってしまう。これがへそ曲がりと言うやつでしょうか。やっとのことで鍵を開けてもらい、それからと言うもの、練習をする様になった。そうしたら、その寒い部屋に電気ストーブをつけてくれた。今から思えば、わざと寒い部屋にしといて、僕のやる気を試していたのでは・・・、と思ってしまう。

 「男がピアノを弾く」、というのは、女の子にとっては尊敬の対象となるが、男の子にとっては様々な印象を与える。「男のクセに・・・」と言われてしまう。しかし、どう考えても格好良い、と思うのだが・・・。

 これまで僕は色々な場所でピアノを始めとする楽器を演奏してきた。幼稚園対抗の音楽リズム発表会とかで木琴をひいたり、ティンパニーを叩いたり、・・・、それもこれもピアノをやってたことで身についた音感とリズム感の賜物だった。ピアノは、発表会に出ること10数回。小学校や中学校での校内の合唱コンクールや、学校対抗の合唱コンクールなどでは常に伴奏をしていた。男の子が伴奏していたら、注目を浴びるから、という理由で伴奏を命じられたのかもしれないが、その時には、「今までピアノを辞めずに続けてきて良かったなあ」としみじみ思ったものだ。

 東京の中学校の友達から僕の転校に際して、作詞集を渡されて、「この詞に曲をつけて送ってきて!!!」と言われたこともあった。その作詞集は分厚いノートにきっちり書いてあって、とても全部は作れなかったものの、気に入ったいくつかの詞にはきちんと作曲をしてテープに録音して送ったこともあった。でも、その時に僕は悟った。「作曲家になるのは無理だな」と。

 テレビドラマとか、CMで流れるピアノの曲を気に入ったら、すぐにその楽譜を買いに走る、という習性は今後も治らないでしょうね。なつかしい所では、「101回目のプロポーズ」での「別れの曲(ショパン)」、「戦場のメリークリスマス」での「Merry Christmas for Mr. Lawrens」、「三共・リゲイン」のコマーシャルでの「ウラBTTB」。まだまだいっぱいあるんだが・・・。

 さて、現在、僕は25歳。周りがそろそろ結婚、ってことになってきた。そいつらの為に、いつでも弾いてあげられるように今でも時間を見つけて練習をしている。今では「昔取った杵柄(きねづか)」とも言うべきか、今までの貯金みたいなもので間に合わせている、といったところか。

 僕のピアノでの目標は、親友や先輩・後輩の結婚式でパイプオルガンで「結婚行進曲」を弾き、披露宴ではピアノで祝福の曲を弾く。これを絶対にやってみたいです。何度かはやったことはあるんですけど。1回やったら病みつきになるので。

 どなたか結婚の予定が決まったら、そして御希望であれば管理人までメール、乃至は連絡を。


 お待ちしていますよ。

2000.04.15



 御精読、ありがとうございました。


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