米大統領選挙のしくみ




 4年に1度、オリンピック開催年はアメリカ大統領選挙の年である。言うまでもなく去年、2000年はシドニオリンピックが開催され、11月には選挙が行われてブッシュ候補とゴア候補が歴史的な大接戦を演じた。もう御存じかもしれないが、簡単にその仕組みを紹介することにする。

 大統領選挙に出馬する候補者の資格は、合衆国憲法第2条に記載されている。「第一にアメリカで生まれた生来に合衆国民であること」「年齢は35才以上で、しかも14年以上アメリカに住む市民であること」と規定されている。

 約1年5ヶ月にも及ぶ大統領選のスタートは、選挙前年の8月ころ。この時点で立候補を表明し、選挙に必要な支持と資金集めにとりかかる。選挙年と迎えると、2月から各州の予備選挙 Primary党員集会 Caucusが始まる。これが選挙戦の本格的な幕開けとなる。予備選挙のトップはニューハンプシャー州、党員集会のトップはアイオワ州と決まっていて、この2州での結果は選挙戦を占う試金石とされている。

 6月までに予備選挙・党員集会も全州が終わる。この間、3月上旬に全米約20州で一斉に行われるものをスーパーチューズデー Super Tuesdayと呼ぶ。6月の段階で共和党・民主党の2大政党の候補者がふるいにかけられ、残った者だけが次にすすむ。

 7〜8月にかけて、通常4日間で開催される全米党大会がある。それには全米各地から数千人に及ぶ党員が集まる。ここで予備選挙を勝ち抜いた候補者の中から党としての正式な大統領候補と副大統領候補が選出・指名される。党大会が終了後、両党の候補者どうしが戦う後半戦に突入!全米を遊説してまわり、テレビCMでの支持も訴える。10月にはテレビ討論が実施され、この頃には大詰めとなってくる。そして大統領本選挙の日を迎える。

 本選挙の日は11月の第1月曜日の次の火曜日と決まっている。この選挙が僕らも知っている選挙で、選挙人選出の為の選挙であり、これは直接選挙である。州ごとに選挙人の数が決められていて、各州で優勢の候補がその数を総取りする、という方法である。

 選挙人は全米で538人存在しているので、その過半数の270人を獲得した方の候補者が、その選挙人による最終投票後、翌年の1月6日にワシントンDCの連邦上下両院合同会議の場で正式に大統領の当選が決まる。

 今回の場合はこの過半数付近での激戦になった為に州として選挙人を25人を抱えるフロリダ州に注目が集まったというわけだ。アメリカの大統領選挙は実質的には直接選挙のように見えて、形式的には間接選挙なのである。そこに民主主義のリーダーを自負する合衆国の矛盾するところが現れた結果となった、今回の選挙について言われている。

 そしてやっと仕上げは、1月20日の大統領宣誓式。
 ここでの宣誓式を終え、そのままホワイトハウスへとつながるペンシルヴァニア通りをパレードし、大統領官邸・ホワイトハウスへと入るわけである。

 周知の通り、新大統領・ジョージ=W=ブッシュは先々代大統領・ジョージ=H=W=ブッシュの息子であり、親子で大統領を経験するのは2代・ジョン=アダムスと6代・ジョン=クインシー=アダムス以来2例目。ゴア候補はワシントンDC出身者として初の大統領かと言われていたが惜しくもそれを逃してしまった。


2001.01.21



 御精読、ありがとうございました。


御意見・御感想をいただければ有り難いです。    


BACK             NEXT