浪人について





 さて、浪人とは。もちろんsamurai(侍)でもなければ、a man out of work(失業者)でもない。学校に入ろうとしても入学試験に合格できなかったpre-studentのことである。もちろん一般的に大学受験に失敗した高卒を指すのだろうけど、実際には中卒の浪人もいるし、就職浪人もいる。浪人の定義は何なんでしょうか??入学試験に失敗し、なお来年の入試を期して勉学中の人ということらしい(講談社・日本語大辞典より)。僕はふつうの人よりは浪人生活が長かった。3年もあったから(笑)。

 さてさて、浪人時代はみんな目の色を変えて勉強するものなんでしょうね。やっぱり。しっかし僕は勉強しなかったなあ。何をしてたんか、と言えばテニス、テレビでドラマを見る、ゲーセン、・・・。パチンコにハマって朝からモーニングサービスに並びに行くような奴もいた。いまから思えば、あれほど自由な時間はなかったんじゃないかな。まあ、うちは母親がちゃんと起こしてくれていたので、朝一番から予備校に行くことができたことは、単にダラダラ過ごすということがなくて良かった。いままで一番遊んだのは浪人時代で、何かと楽しかった。しかしさすがに親戚には顔向けはできなかったが。色々心配してくれればしてくれるほどに辛かったのは確か。親戚とかはあんまり受験のことがわかってないから、「大学入試、って大変ねえ」とかばうようなことを言ってくれてそれをいいことに自由きままな日々を送っていたのだ。大学にやっと合格して、浪人のあの気ままな生活がもう送れないのか、と思うとちょっぴり悲しかったけど。

 さて、ここからが本題。浪人というのは非常に立場の弱いものです。大学生と年齢もそうは違わないのにもかかわらず、世間一般の見方が全然異なるのです。もともと浪人という言葉の意味は、「所領・俸禄のない武士」ということです。つまりは自分では生活能力が無い武士、ということです。それでも何とか生活を送ろうと傘はりとかをして生計を立てている姿や、どこかの悪徳商人の用心棒なんかをしてる姿を時代劇で見かけます。かの有名な赤穂浪士ももともとは赤穂藩の家来であった者が赤穂藩の取り潰しによって所領・俸禄を失い、浪人となってしまったんです。現代で言えば、一般的に言うところの浪人生や会社から解雇された元会社員、職に就けない無職の者、とかが含まれることになります。みんな自分では安定した生活は送れない人ばっかりです。

 ここで問題なのは、大学入試に合格してキャンパスライフを楽しんでいる大学生もそういう意味では浪人と何ら違いはない、ということ。大学に通えば確かに先々、どこかの会社に就職してそれなりに生活を送っていける、ある意味での保証が得られます。一流の大学であればあるほどにその就職先の条件が良くなるんですね。その保証が浪人生には無い、というだけ。

 でも、ここが大事なのだが、大学に通ってる学生のどれくらいがどの程度の目的意識を持って通学しているのか、ということ。そりゃあ大学生の中には自分のしっかりした夢に向かってがんばってる学生もいるだろう。が、大半の学生が大学に通う現代ではそうした大学生ばかりではない、逆に大学生のほとんどが入試の時に思っていた自分の夢や希望をどこかに忘れてきているのが実態である。それに対して浪人生の中には大望を抱いて必死で勉強している学生がいる。少なくとも大半の大学生よりは。しかし、そんな浪人生でも一旦大学に入ってしまえば大半の大学生と変わらないような大学生になってしまう。

 これが日本の大学制度、入試制度の欠点なんだろう。こうしたことはあちこちで問題になっている。必死で勉強していた学生達が入試に合格した途端に目標を失って、burn out 、燃え尽きてしまう、という問題である。それを語りだしたら、このページだけでは全然足りなくなってしまうけど。特に燃え尽きてしまいやすいのは、医学部とか、名門国立大学とかに入学した学生らしい。それはかのオウム真理教の事件の時に話題になったのを覚えているでしょう。まあ、そんな学生ばかりではないだろうが……。

 さあ、こんなことを書いている私はどうなんでしょう???こんな偉そうなことを書いてても良いものなんでしょうかね?そう言われないようにしないと・・・・・・。


2000.04.07



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