僕とテニス




 僕がテニスと出会ったのは中学校1年。まだ東京にいた時だ。母親がスクールに通っていたこともあってクラブ活動として始めた。軟式だった。まず、顧問の男の先生が大好きだったので、土曜日とかは放課後に先生を交えて打ったりするのだが、先生に褒めてもらいたくってローテーションで打っていく練習の時には必ず先生の1人前に並んだ。「ナイスショットー」って言ってもらいたいが為だけに。

 中学校2年になって大阪に戻って来た。編入した学校には硬式テニス部しかなかった。それが硬式テニスとの出会いだ。大阪市内の中学校で硬式テニス部をもっている学校はなぜか少ない。みな軟式なのだ。だからちょっとした大会があったら顔を合わせる連中は決まっていた。中学校ではなかよしクラブみたいだったから高校ではがんばろう、って思って高校では学校一キツいと言われた硬式テニス部に入部した。

 高校3年間はテニス馬鹿そのものだった。朝早く起きて朝連。早弁して昼連。そして放課後の本連。1日24時間のうち1/4は黄色いボールと戯れて居た。練習は毎日。土日だって関係なかった。休みは御盆と年末年始のみ。強豪の学校の特待生みたいな扱いだった。練習中に倒れる者、吐きだす者が後を立たなかった。夏の練習中には救急車だって来たくらいだ。それをほぼ高校3年間やり通した。なんたってセンター試験の前日までテニスをしていたくらいだから。そら多浪もするわな(泣 笑)。

 さて、テニスとはまずどういう競技なのか?簡単に言ってしまえば相手のいない所を狙って打つゲームである。こう言ってしまえば元も子もないが、実際そうなのだ。相手のオープンスペースにストロークやパッシングショットやスマッシュを決める。紳士と言われるイギリスの貴族の間に広まったにしてはタチの悪いスポ−ツなのだ(笑)。

 テニススクールでコーチなんぞをやっていたら色んなことがわかる。会社帰りのおっちゃんでフォームとかはめちゃくちゃなのにスゴい球を打ってきたりする。こっちも良い球を打ってはいるのだが何故か返ってくるのだ。そのうちに焦った方がミスをしてしまう。おっちゃんテニスは強いのだ。ただしダブルスに関してだけだ。シングルスとなると体力的なものも関係してくるからどうしても若者が強くなってしまう。どうしてこんなことが起きるんだろうか?

 思うにおっちゃん達は楽しんでテニスをしている。だからちょっとミスってもお互いに笑って「どんまい」って言いあえる。しかしながら学生の、しかも体育会系のものは少し違う。1ポイント1ポイントをしっかりと取ろうとしすぎて固くなってしまってミスをする。楽しんでいないのだ。その違いなのではないだろうか。僕も大学でやってたテニスはそうだった。特に上級生と組まされてのダブルスなんて本当にしんどかった。

 楽しくないのである。だからプレッシャーが余計に腕にかかり、体全体までもが固くなってしまってなんでもない球をミスしたりしてしまう。そういう時期があった。まだダブルスの作戦とかコンビネーションがわかってなかった、ということもあった。だからわかるようになってからは楽しくなってはきた。何よりも僕は勝つことによってそのプレッシャーをはねとばすことができた。

 シングルスは楽しかった。まあ横で見ている先輩にプレッシャーをかけられたりはしたが。ひどいときは「1ゲーム取られたらグラウンド10周な!」と言われた時だ。これにはまいった。しかしながらすごいプレッシャーではあったが、組み立てを考えたり、相手のショットを予測したりするのが凄く好きで得意だったこともあって、先輩の御要望通り(?)6−0 6−0で完勝した。さてここに問題がある。

 テニスは上手いものが勝つわけではないというものだ。まあ、みなさんがテレビとかで見るようなプロ選手はこの際、脇にでもおいておこう。さて一体どういうことだろう?それについては強い選手と上手い選手で改めて述べることにする

 やっぱりテニスは楽しくなけりゃあいけない。これはおっちゃん達に再認識させてもらった。だからと言ってうちのテニス部の後輩のやっていることを否定しているわけではない。しんどい、くるしい先にはちゃんと光は差しているのだ。試合をやってて楽しいな、と思えるように自分をコントロールしていければ、今まで以上に強くもなれるし楽しく思うこともできるだろう。


2000.06.11



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