眼鏡ノ端ニ踊ル影・第三話。
登場!!超電○ロボ・ハカーレ君!
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・地名などは一切関係ありません。

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今日も血飛沫舞うGストアー。

「まいどありあとやんすー。」
「こちらのフレームどっすか?ダン○ル。」
「はぁ・・・。」
「ご一緒に超薄型で汚れの付きにくいコートを練りこんだレンズ、どっすか?」
「はい・・・。」
「UVカット、どっすか?」
「んー、じゃあそれでお幾ら?」

「会計は10万じゃー!!」

「そんな額払えるかー!!」

「じゃあ帰れー!!おーりゃーッ!!!」


積山の木刀「夢一夜」が唸りを上げ、客と言う名の敵の鳩尾を抉る。
格ゲーならゲージ2消費でガード不可と言った所か。

吹っ飛ぶ客が撒く血しぶきで、吐血したウサギを模したキャラが更に赤く染まった。

「・・・チッ、ファーストフード調で高く売りつける策は失敗ですね、店長・・・。」

「イヤ、そんな無理して高く売らなくても良いんだよ・・・。うちらは客を屠るのが仕事なんだから・・・。」

たるそうな声の館川店長だが、そんな状況でも超弾性フレームを曲げ伸ばしするガキンチョの額にハッカ飴を6発ヒットさせて少林寺にしている辺り、スルーマスターの称号は伊達ではない。

「そういえば、今日は新しいフレームが来るんですよね・・・。」
曲げるのめんどくせぇ、と付け加えて積山。

「そうだよー。どうやら今流行のス○ラー波を防ぐとか何とか。」

「店長・・・それは違うし、微妙に古いし、危険ッス。」

ヒュッ!!
カツーン!!


的確に眉間を狙う塩飴を夢一夜でギリギリ弾く積山。

「最近こなれてきたねー、積山君も。」
「これで手加減してるんですか?スゴイですね。」

一応ツッコミ時も気が抜けない店舗なのだ。

「んで、さっきの話に戻りますけど・・・。」

「うん。そのフレームと一緒にその電磁波を測定するロボも来るらしいよ。」

「あぁ、本社指示にあったヤツですね。確かハカーレ君とか・・・。」

シュタッ!!
「御免!本社からフレームを持ってきたでござる!!」

「おわぁッ!!」

「おや、失敬。新入社員さんでござるか。」

「さすが、本社の商品課は気配を感じさせないねー。」
と館川。どうやら気付いていたようだ。

「はっ。配達は迅速に。隙あらば社員と言えども容赦しないのが商品課でござるゆえに。」

「はい、血判。ごくろーさん。」

「確かに。それでは、一人でも多く屠ってくだされ。」
シュタッ!!

「アレが・・・本社・・・。」

「うん。商品課の濃河(こいかわ)さんだ。」

「いつか・・・あの人の気配も読めるようにならないとですね・・・。」

「まぁ、あせらないことだよ。」

本当に気が抜けない店舗らしい。

〜2〜
「んで、これがその電○波を防ぐとか防がないって言うフレームですか・・・。」
お世辞にも素敵とは言えないデザインのフレームに積山は顔をしかめる。

「どうやらこの部分に埋め込まれた素材がその電○波を防ぐらしいね・・・。」
まぁ、適当にひん曲げて置いといて。と館川。

「あーあ、めんどくさいっすねー。夢一夜使って良いですか?」

「破壊したら弁償だぞ。」

「う・・・。やめときます・・・・。」
そう、「ひん曲げる」と「破壊する」は別物なのだ。結構力の入れ具合が微妙である。
館川店長は遠くからフレームをぶん投げ、叩きつけて曲げると同時に設置場所におくと言う離れ業をやってのけるが、積山は所持武器が木刀な為、分が悪い。

「しゃーない。手で曲げるか。」
手間がかかるが一番確実な方法を積山がとろうとしたとき。

「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

とんでもない怒号が加工室から飛んできた。

「どうしました!店長ッ!!」

「積山君!!これを見ろッ!!!」

店長の右手にはクリップ。
左手にはフレーム。

「・・・・・??」
このシュールな状況から、どうして店長の怒号が飛んだのか想像できない積山。

「いいか。よく見ろよ。」
フレームの「電○波を防ぐ」らしい素材が埋め込まれている部分にクリップを近づける店長。

カチッ。

フレームにクリップがくっつく。
軽く振っても落ちてこない。

「・・・・・・。」
「・・・・・・。」

店長と積山が顔を見合わせる。
そこにある「電○波を防ぐ」らしい素材。聞いた限りでは相当ハイテクだ。
しかし二人が思い浮かべた素材はそんなものではない。

ガキンチョが真っ先に体験する不思議の対象。
砂場を引っ掻き回して猫の糞にぶち当たる記憶。
NとSがあるアレ。


「じっ」
「じっ」

「「磁石じゃねェーか!!!!」」


双子でもこうは行かないシンクロ。

「ナメたまね・・・」
店長がフレームを投擲。

「しやがってぇッ!!!!!」
積山の夢一夜がブリッジ(レンズとレンズの橋渡し)部分に炸裂!

一閃!!

折れるか折れないかの絶妙な曲がり具合でフレームが地面にめり込んだ・・・。

「はぁ・・・・はぁ・・・・。」

「なんてもん寄こすんだ・・・本社も・・・・。」
違う方向に疲労した二人が肩を落とす。

「まぁ・・・積山君が武器によるフレーム曲げをはじめて成功させただけでもよしとするか・・。」

「いやー・・・。もう破壊するくらいの勢いでやりましたからねぇ・・。」

「イヤ、それで良いんだよ。力は最大限に。でも壊さないと言う覚悟。この二つがあれば。」

「そういうもんですか・・・。」

「そういうもんだ。」


意外と勢いで何とかなるらしい。

〜3〜
「んで、もう語りたくも無いんですけど・・・・ハカーレ君はどうなったんですか。」

「あれ?そういえば無いな・・・。商品課に電話してみるか。」

受話器を手に取る店長。
必ず電話する時は背中を壁に寄せる。がら空きになるのを避ける為だ。

「はい・・・はい・・・はぁ!?

始めは普通に応対していた店長の声が1オクターブ上がった。
大抵こういうときはろくな事がない。

「はい・・・ワカリマシタ。」
ガチャ・・・。

「店長・・・・?」

「渡したらしい・・・・。」

「いや?だって貰ってないですよ。」

「そう。俺らは貰ってないな・・・。」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

二人の想像が最悪な所で一つに重なった時。

「でしゅ!!でしゅ!!」

どこかで聞いたような声が聞こえた。

〜4〜
おい!しょこのガキ!!何も言わずにしょの手に持ったうまい棒をわたすでしゅ!!」

「あー。なんだこのポンコツロボー。だせー。」

「なっ!だしゃいとはしつれいな事を言いましゅね!!
この超電○ロボ・ハカーレ君に向かってッ!!目からビームでしゅッ!!」

「いてッ!!ビームとか言いながらたたきやがった!!」


「・・・・・・」
「・・・・・・」

店の外に出た積山と館川が見たものは
先○者クラスのポンコツロボ(しかも上半身のみ)をかぶったリチャード・・・・。

しかも子供からうまい棒をせしめようとしているらしい。


「アレが・・・ハカーレ君・・・・。」
「ロボ○ッチャの方がまだましだ・・・・・。」
「店長・・・。」
「すまん、失言だったか・・・。」
「イエ、俺もそう思います・・・・。」
「そうだよな・・・。」
「どうします?止めます?」
「・・・匿名で警察呼んで。俺は速攻で店を閉めとくから。」
「・・・・イエッサー。」


二日後、ハカーレ君をかぶりっぱなしで警察から解放されたリチャードに
「ハカーレ君をかぶって鎮座する」という新たな仕事が増えるのだった・・・・。

〜続く〜

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