バーレスク

BURLESQUE
脚本・監督 スティーヴン・アンティン
出演 クリスティーナ・アギレラ  シェール  カム・ジガンデー  スタンリー・トゥッチ  クリステン・ベル  ジュリアン・ハフ  エリック・デイン  ピーター・ギャラガー  アラン・カミング  ダイアナ・アグロン
撮影 ボジャン・バゼリ
編集 ヴァージニア・カッツ
音楽 クリストフ・ベック
音楽監修 バック・デイモン
2010年 アメリカ作品 120分
好き度☆☆☆☆


歌とダンス。ショーアップされたステージ・パフォーマンスを満喫。
大満足。

じつをいえば、クリスティーナ・アギレラの歌は、あまり聴いたことがなかったのだ。
こんなに、すごいパワーで歌う人だったんだね。完璧ノックアウトです。
でもでも、そうだよ、大好きな「ムーラン・ルージュ」のなかの歌「レディ・マーマレード」のボーカルのひとりだったんだよね!
たしかに、パワフルだった!

以前からマリリン・モンローさん風の格好をしたりしてくれるので、マリリン・ファンな私としても、うれしいなーと思っていたのだが。
なんとっ!
“Diamonds are a girl's best friend”が映画で使われているではありませんか!
マリリンが「紳士は金髪がお好き」で歌った曲。
マドンナが「マテリアル・ガール」のビデオで、その真似をしたり、「ムーラン・ルージュ」でニコール・キッドマンが歌ったり、ほかの歌手たちも歌っている。

ショーのダンサーは口パクだから、歌はマリリンの声。
この曲が歌われるのを知らなかったから、聞こえてきたときの喜びったら、もう天国やん!!!!!

クリス(日本ではアギレラと呼ぶのが多いらしいが、もっと愛着を込めて呼びます)がマリリン好きなら、この選曲には、もしかしたら彼女の意向があるのかもしれない。
映画では、クリスがまだウエイトレスの立場のときに歌われる曲なので、ステージでは違うダンサーがパフォーマンスをしている。
曲の後半になって、クリスが自分でステージに立って歌うのを想像するシーンが入ってくるのだ。

この店で歌いたい! となれば、まずは強引にウエイトレスの仕事を「もぎとる」。
チャンスをつかむには、積極的にいかなければ。
クリスが歌手として成功してきた過去と、シンクロしているのかもしれない。
アメリカのショービジネスで頭角をあらわすのは、並大抵のことではないだろう。
歌の才能があっても、それだけで、うまくいくとは限らないはず。チャンスを逃がさないこと。これを実際にやってみせているのだ、クリスはこの映画で。

お話のほうは、クラブのスターにのし上がって夢をかなえる一方で、恋愛では三角関係っぽくなったりで、よくあるストーリーじゃないかってことですが、それでいいんです。
へたに難しい話にしなくてもいいのだ。
歌とダンス、ステージの魅力に9割くらいのパワーを注ぎ込んで作ったっていい。そこに惹かれるんだから。

とはいいながらですよ、お話だって決して悪くない。
クリスは映画デビュー作なんでしょう? それなのに、この自然な演技は何!? うまいですよ。
かわいいし、、、(…なぜか、いろんな顔に変わるような気もするが、基本的には、かわいいんじゃないか?)

相手役のカム・ジガンデーも感じがいいし、ライバルのエリック・デインだってカッコイイでしょ。
スタンリー・トゥッチのゲイ・マネージャー(?)も、ぴったんこのハマリようだし、忘れちゃいないよ、もちろん、シェールだって歌唱力を見せつける。
思い出したけど、最初クリスはカムが厚化粧してるからゲイかと思って、安心して一緒に住むんだよね。
ゲイだから女性は安心、というパターンが「キック・アス」でもあって、なんだか男は狼なのよ気をつけなさいって感じ。(そのとおりだけどさ。笑)

ミュージカル好きな私としては、今年は「NINE」の、ひとり1曲単発ミュージッククリップ歌合戦で欲求不満のまま、2010年のミュージカル映画経験を終えようとしていたところに、こんな楽しい音楽映画がやってきた。うれしいの一言である!
ミュージカルというより、もしかしてクリスのライブショーに近いかもしれないが、とにかく楽しければいいのだ。ゴージャスならいいのだ。
クリスのド迫力の歌に圧倒されて感動し、ダンサーたちの、きらびやかなショーに酔いしれたら、それでいい。

こんなに音楽で気持ちを高揚させてくれて、楽しませてくれる映画は久しぶり。
音楽好き、ミュージカルショー好きな人なら、見逃せないよ。




〔2010年12月19日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋〕


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