モールス

LET ME IN
脚色・監督 マット・リーヴス
出演 コディ・スミット=マクフィー  クロエ・グレース・モレッツ  イライアス・コティーズ  リチャード・ジェンキンス  カーラ・ブオノ  サーシャ・バレス  ディラン・ケニン  クリス・ブラウニング  リッチー・コスター  ディラン・ミネット
原作 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
撮影 グレッグ・フレイザー
編集 スタン・サルファス
音楽 マイケル・ジアッキーノ
2010年 アメリカ作品 116分
好き度☆☆☆★


ハリウッド・リメイク。オリジナルを観て話を知っているから、どうしても新鮮な驚きはないのだが…。

原題は「私を入れて」ということだが、招かれないと入ることができないというのが、ふたりの微妙な関係性を象徴していて、いいのである。
マット・リーヴス監督はオリジナルの「ぼくのエリ 200歳の少女」を完璧と評したそうだが、それでもリメイクを引き受けたとすれば、大変な挑戦だっただろう。

幸い、主役の子役ふたりのキャスティングは悪くはなく、かなりオリジナルに沿ったストーリーを作り上げてきた。元が良い脚本は、それほど、いじらなくてもいいということか。
「パパ」のドジさ加減も一緒だし。。。

舞台はスウェーデンから、本作はアメリカに移った。土地が異なると、やはり印象も変わる。
森閑とした北欧の雰囲気はなくなっている。それは悪いわけではないが、オリジナルの雰囲気が好きだった私は、やはり比べてしまうのだ。
1年後にリメイクを見るのは、オリジナルの記憶がはっきりとありすぎるのか。何十年後のリメイクなら、もっと新鮮に見られるのだろう。

ハリウッド製だなあと思うのは、「はっきりしている」こと。
うまく言えないが、すべての面での印象が、はっきりするのだ。
感覚的なことだが、そこも、その映画が好みかどうか、というところにつながってくる。

オリジナルの「ぼくエリ」を見ていない人にとっては、本作のオリジナリティは新鮮だろうと思う。
つまり、どちらを先に見るかによる早い者勝ち的な部分があるかもしれない。
比べて見るべきではないのだが、私の場合、全体的には、オリジナルのほうが好きなものだから、やっぱり比べてしまうのだよね。

ひとつ引っかかるのは、彼が「彼女の正体」(あいまいに書きますが)を完全に知ったのかどうか、ひいては観客にも「彼女の正体」がオリジナルのように明確には伝わっていないから、このリメイク版がどう解釈させようとしているのかが、はっきりしないこと。
まあ、はっきりしなくてもいい、ということなのかとも思うけれど。

俳優の面では、「キック・アス」クロエ・グレース・モレッツちゃんが出ているのは注目点で見どころだが、男の子・コディ君は、役柄にピタリだった。
クロエちゃんは、これまでの出演作でも知られているし、どうしても少女に見えるから「私は女の子じゃない」と言われても、ウッソー?と思っちゃうよね。

スティーヴン・キングが2010年のお気に入り映画ナンバー1に選び、「この20年で最高のスリラー」と言ったようだが、彼はオリジナルの「ぼくエリ」を見ていないんじゃないかなと想像する。
見ていたら、ほとんど同じ内容のリメイクの本作を、それほど絶賛はしないと思うのだが。
…と思ったら、チラシなどには、この20年のアメリカで最高のスリラー、って書いてあった。アメリカで、か…。




〔2011年8月6日(土) TOHOシネマズ 六本木ヒルズ〕


映画感想/書くのは私だ へ        トップページへ